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肩の痛みへのFasciaリリース実践編!イラストと動画で治療手技がよく解る!

Fasciaの評価と治療  

肩痛・拘縮肩に対するFasciaリリース

肩関節周囲炎を中心に[Web動画付き]

カバー写真
  • 編集主幹:木村裕明(木村ペインクリニック)
  • 編集:高木恒太朗(羽生総合病院)
  • 編集 並木宏文(地域医療振興協会十勝いけだ地域医療センター)
  • 編集 小林 只(弘前大学医学部附属病院総合診療部)
  • B5判・226頁・4色刷
  • ISBN 978-4-8306-2737-8
  • 2018年7月21日発行
定価 6,050 円 (本体 5,500円 + 税10%)
あり
在庫
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内容

序文

主要目次

エコーガイド下生理食塩水注射によるFasciaリリースは近年,疼痛性疾患の治療法として,世界的な耳目を集めている.本書は,2017年3月刊行の入門編『Fasciaの評価と治療 解剖・動作・エコーで導くFasciaリリースの基本と臨床』に続く実践編として,肩関節周囲炎を中心に肩痛・拘縮肩の診療を解説するものである.基本診療フローチャートを中心に,可動域評価に応じた発痛源などの評価方法や頻度の高い治療手技を,豊富な動画と図版でわかりやすくまとめている.
序文

 2017年3月7日,「fasciaリリースの入門書」にあたる「Fasciaの評価と治療」シリーズの第一弾として「解剖・動作・エコーで導くFasciaリリースの基本と臨床」が刊行されました.大きな反響とともに,整形外科・ペイン・プライマリケア関係の各種学会,および各種メディアでも扱われるようになりました.2018年4月には「Medical frontiers(NHK)」を通じて,海外190ヵ国に本手技が紹介され,世界的にも注目されつつあります.また,6月には約30年ぶりの改訂となるICD-11(国際疾病分類の第11回改訂版)がWHO(世界保健機関)から公表されました.ICD-11にはfasciaがBody Tissues(体組成の基本構造)に追加されました.
 今回は,当初よりご要望をいただいていました各論の第一弾として,いわゆる“肩関節周囲炎”の評価治療に関する本書を刊行する運びになりましたが,刊行までの約2年間の執筆編集期間にはさまざまな試行錯誤がありました.
 病名や疾患に関する現状の定義では,十分に説明ができない事象も多く,用語レベルの議論が必要でした.特に,凍結肩とfrozen shoulderの国内外の定義の差異,肩関節周囲炎の「周囲」と「炎症」の定義など疾患概念自体の曖昧さ,そして治療対象としての解剖部位の表現の困難さを適切に扱うことは,本書を執筆編集する上の最大の課題でした.
 生理食塩水注射によるfasciaリリースは,筋膜だけでなく靱帯,腱,脂肪組織などさまざまなfasciaに有効なことを前書で記載しました.「肩関節周囲炎・凍結肩」に対して,烏口上腕靱帯および関節包+肩甲下筋腱のリリースが,可動域改善のブレークスルーとなりました.この解剖学的部位を臨床的・エコー解剖的・マクロ解剖学的に検討したところ,関節包および腱板筋群の筋内腱・停止腱は組織的には連続しており,エコーガイド下であっても治療対象として明確に分離することは現状で困難であることがわかりました.そのため,烏口上腕靱帯が,最近の解剖学的知見から烏口上腕靱帯複合体と理解されているように,本書では「関節包複合体(関節包とそれに付着する筋内腱および靱帯)」という新概念を提案しました.今後は,分類学としての解剖学(議論するための恣意的な解剖学的境界の設定)を「現物を現物として認識し,表現する」という観点で再考する必要性を感じています.関節包複合体に対するリリースは,実は肩関節だけでなく肘関節,股関節,膝関節などにも応用できます.frozen shoulderに対して,frozen elbow,frozen hip,frozen kneeとでも言う病態があると考えています.これらについては今後,それぞれの各論で詳しく論じていく予定です.
 本書は,肩痛・拘縮肩に対して,できるだけシンプルな一連の評価法と治療頻度の高い手技の融合を目指しました.基本診療フローチャートを中心に,各可動域評価に応じた発痛源評価,多様な診療現場で診療のヒントとなるような評価方法を,豊富な動画とオリジナルのイラストで丁寧かつ詳細にまとめました.その結果,当初予定していたより大幅に出版が遅れましたが,肩関節周囲炎の治療を根本的に改革する可能性のある充実した内容になったと自負しております.
 上述のごとく,発痛源は筋膜を含むfascia全体であり,治療対象となる疾患カテゴリーも筋膜性疼痛症候群(MPS)ではなくfascial pain syndromeとも言うべき新概念が必要になりつつあります.そのため,我々の所属する研究会も大きく変化しました.MPS研究会は廃止となり,新たに一般社団法人日本整形内科学研究会(JONS)が2018年4月に発足しました.JONSは,fasciaに関係する運動器疼痛および難治性疼痛などにおける診療・学術・教育・研究の発展を主目的として設立された,医師,歯科医師,医療系資格保持者などによる非営利型一般社団法人です.また,MPS研究会と同様に多職種連携による患者のQOLの向上を基本理念とし,既存の学会と適切な連携を通じた社会貢献を目指すものです.
 臨床的治療技術の進歩は著しいものですが,基礎的研究も進んできました.人体の異常なfasciaの電気生理学的特徴に関する研究に加えて,日本大学医学部機能形態学系生体構造医学分野 相澤 信教授のご協力のもと,御献体におけるエコーガイド下fasciaリリースの基礎研究を進めています.
 今回の書籍の執筆も「Fasciaリリースの基本と臨床」と同様に限定公開SNS上で進められ,校正の段階ではTV会議システムの画面共有機能を活用しました.羽生総合病院の高木恒太朗先生は,本分野を適切に伝えるためのカバーデザインをはじめ多くのオリジナルの図の作成や治療手技の文書作成などを手がけました.十勝いけだ地域医療センターの並木宏文先生は,全体の進行状況を執筆・編集の進捗管理をサポートしました.弘前大学医学部総合診療部の小林 只先生は,本書の理論的な記載の中心になっていただきました.特に発痛源評価では,次々に新しい手技が開発される中で,何回も根本的な改定を担いました.船橋整形外科病院の渡海守人先生は,凍結肩・肩関節周囲炎の病態理解に関する新たな仮説提示の深い議論をいただきました.塩釜鍼灸治療院の鳥居 諭先生は,注射によるアプローチが難しい部位への効果的なMYORUB®(ミオラブ)の活用方法を提示いただきました.株式会社ゼニタの銭田良博先生,中泊町国民健康保険小泊診療所の平野貴大先生,一般社団法人超音波鍼灸協会の吉村亮次先生には,動作分析・可動域評価の動画・写真撮影にご協力いただきました.
 最後に,勤務時間外に写真撮影などを手伝ってくださった当院看護師長の大谷桂子様,動画・静止画撮影に加えて,私の執筆・編集の補佐をしていただいた当院理学療法士の鈴木茂樹先生と浅賀亮哉先生,トリガーポイント治療院の黒沢理人先生,本書の発刊までいろいろ助言をくださった文光堂の中村晴彦様をはじめ,すべての関係者に心より御礼申し上げます.
 この治療法の劇的な効果を目の当たりにすることは,医師にとっても喜びです.fasciaへの理解がなかったがゆえに困っていた多くの患者達への福音となることを期待します.

2018年6月 編者を代表して
木村ペインクリニック院長/ 一般社団法人日本整形内科学研究会会長 木村裕明
1 肩関節の基本的機能解剖
 ① 肩の解剖
 ② 肩関節運動 基本編
 ③ 肩関節評価 発展編
  Column 骨盤と肩の関係
2 評価・治療
 ① 肩痛患者の診療アプローチ
  Column 肩疾患と画像診断の関係
 ② 肩関節周囲炎と凍結肩へのアプローチ方法の基本的考え方
 ③ 本書で提唱する肩関節周囲炎と凍結肩への臨床アプローチ法
  Column 炎症所見=ドプラ陽性ではない!
  Column 早期の凍結肩と棘下筋MPSの鑑別
 ④ 腱板断裂を合併している肩関節周囲炎
3 注射の治療手技
 ① アプローチ方法
 ② 前 方
  1)烏口肩峰靱帯
  2)烏口上腕靱帯(烏口突起側,上腕骨側)
  3)三角筋/肩甲下筋
  4)三角筋/小胸筋(烏口突起付着部)
  5)上腕二頭筋長頭腱/横上腕靱帯,上腕二頭筋長頭腱/結節間溝入口部
  6)大胸筋/小胸筋
  7)広背筋停止部
 ③ 後 方
  1)三角筋/棘下筋,棘下筋下脂肪体,後方関節包複合体(棘下筋+関節包)
  2)上腕三頭筋長頭腱/小円筋,四辺形間隙
  3)菱形筋
 ④ 側 方
  1)三角筋筋膜浅層
 ⑤ 外上方
  1)肩峰下滑液包,三角筋下滑液包
   Column SABとPBFのエコー解剖
 ⑥ 内上方
  1)前鋸筋上部線維,肩甲下筋起始部(上部)
  2)棘上筋+上方関節包(肩甲骨付着部)
 ⑦ 腋 窩
  1)肩甲下筋/前鋸筋
  2)烏口腕筋/広背筋
 ⑧ 関節包複合体
  1)総論(機能解剖,基本的評価・治療法)
  2)上前方関節包複合体(①棘上筋+関節包)
  3)上前方関節包複合体(②腱板疎部)
  4)前方関節包複合体(①上部肩甲下筋腱+関節包)
  5)前方関節包複合体(②中部肩甲下筋腱+関節包)
  6)下前方関節包複合体
 ⑨ 神経リリースの基本的評価法
  1)肩甲上神経+肩甲上動脈
  2)橈骨神経溝
4 注射以外の治療方法
 ① 総 論
 ② 鍼
 ③ 徒 手
 ④ 生活指導
  Column 局所血流
 ⑤ 薬物療法
5 【論考】fasciaからみた肩関節周囲炎の病態と治療
 ① 肩関節の可動域制限をきたす病態・治療方法
  Column 凍結肩の海外事情の1コマ
  Column 痙縮,固縮,拘縮の差異
  Column エコーでわかる?disuseの筋とoveruseの筋
索 引