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糖尿病患者を合併症も含めて包括的に治療するための一冊!

徹底解説!糖尿病合併症 管理・フォローアップ

包括的治療のポイント

カバー写真
  • 編集:麻生好正(獨協医科大学主任教授)
  • B5判・204頁・2色刷
  • ISBN 978-4-8306-1397-5
  • 2021年2月25日発行
定価 4,950 円 (本体 4,500円 + 税10%)
あり
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正誤表

内容

序文

主要目次

糖尿病では,糖尿病性腎症,糖尿病網膜症,糖尿病性神経障害,糖尿病性足病変など,さまざまな合併症が引き起こされることが知られている.また,患者の高齢化に伴い,認知症,フレイル・サルコペニアなどの併存症にも注意が必要であり,糖尿病は合併症や併存症も含めた包括的な治療が必須である.本書は,さまざまな合併症や併存症に対して,どう治療し,どう管理・フォローアップしていくかを具体的に解説した,糖尿病患者を診療する機会のあるすべての臨床医に必携のテキスト.
序 文

 糖尿病治療の究極の目標は,糖尿病合併症,とりわけ,細小および大血管合併症の発症抑制・進展阻止により健康人と変わらぬQOLの維持と健康寿命を確保することにある.糖尿病治療が不十分な場合,全身の臓器が障害され,まさに“頭のてっぺんから足のつま先まで”侵される.したがって合併症の予防には,まず,我々,糖尿病治療に携わる医療従事者が,多彩な糖尿病合併症の診断と治療に精通する必要がある.
 糖尿病の合併症は,急性と慢性に大別される.急性合併症としては,致死性で重篤な高血糖性クリーゼが代表的であり,慢性合併症としては,細小血管症(3大合併症)が糖尿病特有な合併症として知られている.その他には,心筋梗塞などの動脈硬化疾患の発症リスクも高い.近年では,心不全あるいは一部の癌のリスクと糖尿病との関連が注目されている.
 合併症,特に血管合併症の予防・進展阻止には血糖コントロールに加え,心血管疾患の危険因子(高血圧,脂質異常,喫煙,肥満)の是正などを含めた包括的な治療が必須である.最近では,SGLT2阻害薬あるいはGLP-1受容体作動薬のように,血糖低下に依存しない合併症改善効果(心・腎保護作用)を示す薬剤が明らかにされ,糖尿病治療を大きく変えている.
 本書は,我が国の糖尿病合併症のそれぞれの分野のSpecialist・Expertの先生に執筆頂いた.また,今後,我が国のリーダーとなる新進気鋭の先生方にもご協力を頂いた.まさにAll star castで臨んだ作品に仕上がった.明日の臨床に役立つ,実践的で具体性の高い診断と治療を学べる本であると自負している.本書のコンセプトは,“To know diabetic complications is to know whole of medicine and to save life of people with diabetes.”である.糖尿病治療に携わる医療従事者の皆さんに本書を活用して頂き,多くの糖尿病の人々が糖尿病合併症を発症せず,健常者と変わらぬ人生を,そして,Happy lifeを全うすることを願ってやまない.

2021年1月
麻生好正
Ⅰ章 糖尿病合併症の基本知識
 1 糖尿病合併症とは:気づきのポイントは?
 2 チーム医療と医療連携
 3 包括的治療の重要性

Ⅱ章 急性合併症の管理
 1 糖尿病性ケトアシドーシス
 2 高浸透圧高血糖状態
 3 乳酸アシドーシス
 4 低血糖

Ⅲ章 慢性合併症の管理
 1 糖尿病性腎臓病
 2 糖尿病網膜症
 3 糖尿病性末梢神経障害
 4 糖尿病性自律神経障害
 5 虚血性心疾患
 6 脳血管障害
 7 下肢末梢動脈疾患
 8 心不全
 9 NAFLD
 10 糖尿病性足病変
 11 骨病変
 12 フレイル,サルコペニア
 13 歯周病
 14 認知症
 15 癌

Ⅳ章 症例から考える合併症管理の戦略
 1 糖尿病性腎症の症例
 2 有痛性神経障害の症例
 3 拡張不全の症例
 4 NASH・肝硬変合併例
 5 起立性低血圧の症例
 6 高血圧・脂質異常症の合併症例:心血管疾患(CVD)既往あり

Ⅴ章 付録
 1 合併症外来
 2 埼玉県における糖尿病性腎症重症化予防プログラムの現状と今後の課題
 [COLUMN]糖尿病医が知っておくべき透析症例の血糖コントロール
 [COLUMN]無自覚性低血糖患者の管理

巻末付録 糖尿病性合併症に関係する臨床試験一覧