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チーム医療によるアプローチの効果を膨大な臨床研究データから吟味する!

心不全多職種介入の基礎知識46

エビデンスからみた病院・地域・在宅で支えるための46の可能性

カバー写真
  • 著:佐藤幸人(兵庫県立尼崎総合医療センター副院長・循環器内科長)
  • B5変型判・176頁・4色刷
  • ISBN 978-4-8306-1972-4
  • 2024年2月5日発行
定価 3,850 円 (本体 3,500円 + 税10%)
あり
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内容

序文

主要目次

心不全チーム医療の概念が広まり,慢性心不全認定看護師や心不全療養指導士を含む多職種での取り組みが進んでいるが,その効果は実際どれ程なのか,どのような介入方法があるのか,膨大な臨床研究データをもとに,分かりやすい文章と図表で紹介する.また,医療とケアに関する介護,在院日数やコストなどの政策的課題,患者や介護者の視点にも意識した骨格となっている.心不全に関わるすべての人へ,今後の可能性を見いだす一冊.
序文

 わが国の心不全における多職種による介入は,草の根運動的に取り組まれて発展してきた経緯があり,かならずしも多職種介入の理論を理解したうえで行われてきたものではありません.欧米では,40年ほど前から多職種介入に関する数えきれないほどの論文が発表されています.一方で,わが国では欧米の理論を翻訳したものはほとんどなく,貴重な知見が豊富な論文内容を知らない人が多い状況です.
 本書を執筆するにあたっては,心不全多職種介入の系統だった書籍の前例がないので,どのような切り口にするか,内容構成を考える必要がありました.さらに,それぞれの国で社会保障制度が異なるため,海外の文献を翻訳するだけではあまり意味がありません.そこで,すでにわが国で実践されてきた,もしくは2009年から当院で実践してきた多職種介入について,エビデンスを裏打ちする形式で書き進めました.筆者オリジナルの図については,そのようにまとめるのが適切かどうかという点に注意を払いました.また,医学的な見解だけでなく私の知る範囲ではありますが,医療とケアに関する介護,在院日数やコストなどの政策的課題,患者・家族などの介護者の視点にも意識した骨格にしました.将来的に考えた場合,このような項目の置き方が適切かどうかわからない部分もあり,独自の解釈になっているかもしれません.翻訳内容も正確性を心がけてはいますが,もしお気づきの点があればご指摘いただければ幸いです.
 なお,心不全の医学的な知識については,私が以前に執筆した『心不全の基礎知識100 第2版』(文光堂)をご参照ください.

 2024年1月
 兵庫県立尼崎総合医療センター副院長・循環器内科長
 佐藤 幸人
Ⅰ 理論
  1 本書を読む前に―多職種介入が必要な理由とその取り組み
  2 多職種介入における欧米の歴史と日本の模索
  3 多職種介入の効果を探る,メタ解析の歴史と考察
  4 日本の疫学レジストリーと心不全患者の社会・家庭背景
  5 多職種介入の評価項目と患者中心の視点
  6 日本の心不全多職種介入創成期における研究 
  7 患者の療養場所移動から考えるケアの断片化の危険性
  8 多職種介入からみた全身倦怠感・抑うつの考え方 
  9 患者だけでなく介護者の負担も考慮する

Ⅱ 実践 
 1)準備 
  10 心不全における疾病管理プログラムとは
  11 心不全経過中のセルフケア行動の変化と予後
  12 多様化するセルフケア支援ツール
  13 多職種介入のメンバー構成と心不全療養指導士制度
  14 心不全の認定看護師制度
  15 多職種介入における心臓リハビリテーションの意義
  16 多職種介入における栄養介入とその効果
  17 多職種介入における薬剤師の視点と役割
  18 多職種で緩和ケアを行う意義とその導入
 2)急性期からの介入
  19 当院における多職種介入の組み立て方
  20 急性期におけるせん妄は多職種介入を阻害する
  21 入院早期から開始する心臓リハビリテーション
  22 入院早期から開始する栄養介入
 3)外来への移行
  23 包括的な退院計画と退院後の早期支援の重要性
  24 退院サマリーの質と予後
  25 かかりつけ医と病院医のコラボレーション
  26 欧米における退院後の看護師主導ケアモデル
  27 欧米の看護師主導心不全外来と電話介入
  28 欧米の看護師主導在宅訪問介入
  29 遠隔モニタリングと入院の予防効果
 4)外来患者における検討事項
  30 入院回避―すべての心不全悪化の患者に入院治療が必要か?
  31 ポリファーマシー―心不全患者における処方薬剤数と予後の考え方
  32 減塩が食事摂取量に及ぼす影響
  33 心不全患者にみられる不眠とその介入
  34 心不全患者にみられる便秘とその介入

Ⅲ 政策的視点
  35 適切な在院日数の設定
  36 欧米にみる再入院削減プログラム(HRRP)の功罪
  37 医療経済的視点からみた多職種介入の利点
  38 生活保護受給,介護保険利用と心不全
  39 退院先と予後―介護施設,地域での疾病管理プログラム
  40 心不全患者の死亡場所とエンドオブライフケア

Ⅳ 今後の取り組み
  41 診療の質指標quality indicator(QI)
  42 ガイドライン推奨薬のunder use,under dose問題
  43 COVID-19パンデミックとオンライン診療
  44 心不全におけるアドバンス・ケア・プランニングの重要性
  45 心不全の予防・啓発
  46 心不全多職種介入の障壁

索引
あとがき