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患者満足度に直結する「最適な眼内レンズ選択」.そのすべてが分かる一冊!

もう迷わない!眼内レンズの選び方

患者の満足度を高めるためのコツと方法

  • 編集:佐々木 洋(金沢医科大学教授)
  • B5判・220頁・4色刷
  • ISBN 978-4-8306-5614-9
  • 2022年4月5日発行
定価 7,700 円 (本体 7,000円 + 税10%)
あり
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内容

序文

主要目次

「いかにして患者に最適な眼内レンズを選択するか」──これこそ,白内障術後の患者満足度を左右する最重要ポイントといえる.機器の進歩により手術の安全性が高まっても,患者が希望・予想していた見え方と術後の見え方が乖離し不満症例となれば,その手術は「不成功」となってしまうからである.本書は「最適な眼内レンズ選択」に特化した新しい書籍である.問診・検査に始まり,得られた情報を分析し,最適な見え方を実現する眼内レンズの理論・テクニック,さらに,Vision Simulatorや現在国内で使用可能なIOLスペック一覧表など最新情報まで余すところなく掲載した.白内障診療に携わるすべての眼科医必携の一冊.
序 文

 白内障手術は安全性,精度の向上に加え,眼内レンズ(IOL)による乱視矯正,明視域拡大による老視治療も可能になりました.一方で,眼科医や視能訓練士は患者に最適なIOLを選択する重責を担っており,大きな負担になってきていることも事実です.
 保険適用のIOLでも従来の単焦点 IOLに加え,低加入度数分節型IOL,高次非球面IOLが使用可能になり,先進医療から選定療養に移行した多焦点IOLに関しても, 2焦点, 3焦点,焦点深度拡張型,連続焦点型IOLなど,それぞれ特徴の異なるレンズが選択可能になりました.
 球面値と乱視の矯正精度は極めて向上しているので,術後の患者満足度を左右する最も重要なポイントは,「いかにして患者に最適なIOLを選択できるか」になります.白内障術後の不満症例は決して少なくはなく,原因の多くは患者が希望あるいは予想していた見え方と術後の見え方の乖離です.パソコンや携帯電話など,近年は日常生活において中間距離から近方を見る時間が増加しており,遠方から近方まで全距離での術後の見え方を術前にわかりやすく説明することが極めて重要です.最適なIOLが選択できれば手術はほぼ成功したといっても過言ではなく,逆に患者の希望とは違ったIOLを選択した場合は,手術が上手くいっても患者は決して満足せずその手術は不成功であったといわざるを得ません.
 本書では白内障手術のエキスパートの先生方に,IOL選択のポイントについてご執筆いただきました.現在国内で使用できるIOLの特徴,IOL選択に必須の術前検査,術前説明のコツ,IOL度数選択法,日常シーンに術後の全距離での見え方を提示できるVision Simulatorを使った最新のIOL選択など,最新の情報をすべて盛り込むことができたと自負しております.
 IOL選択に特化した書籍はこれまでほとんどなく,必ず実臨床で役立つはずです.本書の記載事項を実践することで,多くの患者さんが最適のIOLを選択され,高い術後満足度が得られると確信しています.本書が多くの眼科医,視能訓練士にとって令和時代の白内障手術における必読書となることを願っております.

2022年4月
佐々木洋
Ⅰ.眼内レンズの基礎
 1 眼内レンズにはどんな種類があるか
 2 各種眼内レンズの詳細
  a 球面・非球面単焦点レンズ
  b 着色・非着色レンズ
  c トーリック眼内レンズ
  d 低度数EDOFレンズ
  e 焦点深度拡張型レンズ(EDOF)
  f 多焦点レンズ(2焦点)
  g 多焦点レンズ(3焦点)
  h EDOF・多焦点
  i 国内未認可レンズ

Ⅱ.患者への問診
 1 初対面の患者とのコミュニケーション
 2 最適なレンズを選ぶための問診のコツ

Ⅲ.レンズを決める検査
 1 検査概論
 2 トーリックレンズの検査に必要な器具と使用方法
 3 眼軸長測定と度数計算方法
 4 術中収差解析
 5 瞳孔径検査
 6 全距離視力検査
 7 ドライアイの評価
 8 角膜形状解析
 9 屈折矯正手術術後眼の検査
 10 円錐角膜の評価

Ⅳ.レンズの選択
 1 患者の希望に合わせたレンズの処方パターン
  a 裸眼で遠距離を見たいなら
  b 必要時のみ眼鏡を使用し,日常は裸眼で過ごしたいなら
  c 裸眼で近距離を見たいなら
 2 老視矯正眼内レンズの処方パターン
  a 老視矯正眼内レンズ処方のポイント
  b コントラスト重視のケース
  c 近方視力重視のケース
  d 不快光視現象の有無を考慮するケース
 3 両立が難しい要望が重なったときの対処法
  a クレームの少ないレンズの選び方
  b こだわりの強い患者へのレンズ処方について
 4 屈折矯正・老視矯正を目的に眼内レンズを希望する場合の対応
 5 ビジョンシュミレーターを使用したレンズ選択
  a ビジョンシュミレーターとは
  b 使用することの利点
  c 実際の問診での活用法

Ⅴ.眼内レンズ処方の実際
 1 眼内レンズ選択の実際
  a チャートでわかる眼内レンズの選び方
 2 よくある失敗例と対処法
  症例1 屈折値が希望通りでなく不満
  症例2 予定通りの屈折値だったが乱視矯正により偽調節が消失し近方が見えなくなった症例
  症例3 白内障手術を勧められ受診したが高次収差が視力低下の原因
  症例4 多焦点眼内レンズ→単焦点眼内レンズへの入れ替え
  症例5 術後から影が見える(negative dysphotopsia)
  症例6 LENTIS® Comfort Toricの軸回転(両眼)とその補正
  症例7 不適切な眼内レンズ計算により術後屈折ずれを生じた症例

コラム
 1 インターネットで知識を得て診察に来る患者たち
 2 選定療養へ移行した多焦点眼内レンズ手術
 3 フェムトセカンドレーザー白内障手術の可能性

巻末付録 眼内レンズスペック一覧

索引