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他書の追随を許さない乳腺画像診断テキストの決定版!

ケースで考える乳腺画像診断戦略

『画像と病理との対比』から迫る病態の本質

  • 編集:戸﨑光宏(相良病院放射線科主任部長)
  • 著:戸﨑光宏(相良病院放射線科主任部長)
  •  大井恭代 (相良病院病理診断科部長・副院長)
  •  佐々木道郎(さがらパース通りクリニック放射線診断センター長)
  •  中原 浩(さがら病院宮崎放射線科部長)
  • B5判・228頁・4色刷
  • ISBN 978-4-8306-3763-6
  • 2021年11月29日発行
定価 7,700 円 (本体 7,000円 + 税10%)
あり
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内容

序文

主要目次

掲載全症例,ケースごとにマンモグラフィ・超音波・MRI・病理すべての画像を同一症例で揃えることにこだわり,徹底的に乳腺画像診断のポイントを詰め込んだ至極の一冊.マンモグラフィ・超音波・MRIそれぞれのカテゴリー判定や画像の特徴についての丁寧な解説は,放射線科医のみならず乳腺診療にかかわるすべての医師やその他の医療スタッフも必読.放射線科医と病理医による詳細な議論とキャッチボールに基づく解説により,乳癌の「病態の本質」に迫ることができる.画像と病理双方に精通した編者と,国内有数の症例数を誇る乳癌専門病院所属の執筆陣による,他書の追随を許さない乳腺画像診断テキストの決定版.
序 文

 『画像と病理との対比』は,筆者の放射線科医としての原点であり,医学生の頃から取り組んでいた大きなテーマであった.画像診断と病理診断の双方からの形態情報を正確に融合し共有することは,病態の解明に必須だと考えていた.2002年から2年間,文光堂の「病理と臨床」の中で「画像からみたマクロ病理―病理医のための画像診断―」を24回連載する機会に恵まれ,一つの目標を達成することができた.全身の画像診断に興味を持っていた筆者はこの連載の終了後,「乳腺」診断を専門にすることにした.複雑な乳癌の進展パターンの解明,乳管内進展など誤解されやすい病理学的用語の改訂,非浸潤性乳管癌 の亜分類,薬物療法による治療効果予測の研究,いまだ不完全な(癌死の減らない)乳がん検診の改善,過剰診断に相当する病変の探求,などに急速に発展する画像診断の情報がもっと利用されるべきであると考えたからである.
 乳癌の病態を理解するには,マンモグラフィ,超音波,MRIの全てに精通している必要があり,病理医と会話できるレベルの知識は必須である.本書は,乳癌の病態を理解するために筆者が考えてきたことを,若手の医師やその他の医療スタッフに共有するために執筆した.「ケースで考える」構成を主体として,補足的な内容はStudyやLectureとして解説した.病理に関しては,大井恭代先生に全症例の解説をお願いした.詳細な議論とキャッチボールを行うことで,画像と病理の双方からの形態情報が正確に融合し「病態の本質に迫る」ことができたと考える.
 第1章ではWHO分類第5版(2019年)に沿って症例を提示し,マンモグラフィ,超音波,MRIのそれぞれのカテゴリー判定や画像の特徴を解説した.第2章ではMRIが威力を発揮する領域を中心に症例を提示し,最後はMRIガイド下生検の経験を解説した.第3章では教育的な症例をピックアップして解説した.第1章,第3章は相良病院の症例を佐々木道郎先生に提示して頂き,第2章はさがら病院宮崎の症例を中原浩先生に提示して頂いた.なお刊行にあたり,文光堂の照屋綾乃氏には大変お世話になった.この場を借りて深謝したい.
 最後に,近年のAI(人工知能)の発展で画像診断は劇的な変化をとげるであろう.しかし,診断学がどのように進化しようとも病態の本質を理解することの重要性は変わらない.本書が乳腺診断学の発展と進化の一助となれば幸いである.

2021年10月
戸﨑光宏
第1章 病理診断別の総合画像診断
 Study 1 カテゴリー分類
 Study 2 乳腺腫瘍WHO分類第5版(2019年)のポイント
 Case 001 多形腺腫
 Case 002 腺筋上皮腫
 Case 003 乳管内乳頭腫
 Case 004 被包型乳頭癌
 Case 005 充実乳頭癌
 Case 006 非浸潤性小葉癌(LCIS)
 Case 007 非浸潤性乳管癌(low grade DCIS)
 Case 008 非浸潤性乳管癌(high grade DCIS)
 Case 009 超音波から見るDCIS(腫瘤形成)
 Case 010 超音波から見るDCIS(囊胞内腫瘤)
 Case 011 超音波から見るDCIS(乳管拡張)
 Case 012 超音波から見るDCIS(低エコー域)
 Case 013 超音波から見るDCIS(構築の乱れ)
 Case 014 超音波から見るDCIS(clumped pattern)
 Case 015 超音波から見るDCIS(多発小囊胞)
 Case 016 浸潤性乳癌非特殊型(膨張性発育パターン)
 Case 017 浸潤性乳癌非特殊型(硬性浸潤パターン)
 Case 018 浸潤性乳癌非特殊型(髄様パターン)
 Case 019 微小浸潤癌
 Case 020 浸潤性小葉癌
 Case 021 管状癌
 Case 022 篩状癌
 Case 023 粘液癌(hypocellular type)
 Case 024 粘液癌(hypercellular type)
 Case 025 浸潤性微小乳頭癌
 Case 026 アポクリン分化を伴う癌
 Case 027 化生癌:紡錘細胞癌
 Case 028 化生癌:扁平上皮癌
 Case 029 化生癌:骨・軟骨化生を伴う癌
 Case 030 腺様囊胞癌
 Case 031 過誤腫
 Case 032 線維腺腫
 Case 033 葉状腫瘍:良性
 Case 034 葉状腫瘍:悪性
 Case 035 葉状腫瘍:境界悪性
 Case 036 乳頭部腺腫
 Case 037 Paget病
 Case 038 放射線後血管肉腫
 Case 039 顆粒細胞腫
 Case 040 偽血管様間質過形成(PASH)
 Case 041 悪性リンパ腫(diffuse large B-cell lymphoma)
 Case 042 BRCA関連乳癌

第2章 MRI が威力を発揮する典型例
 Study 1 乳房MRIの適応と読影方法
 Case 001 石灰化症例(乳腺症1)
 Case 002 石灰化症例(乳腺症2)
 Case 003 石灰化症例(DCIS)
 Case 004 マンモグラフィで構築の乱れを示す症例(硬化性腺症)
 Case 005 マンモグラフィで構築の乱れを示す症例(右:硬化性腺症内非浸潤性乳管癌,左:硬化性腺症)
 Case 006 マンモグラフィで構築の乱れを示す症例(右:硬化性腺症内浸潤性乳管癌,左:DCIS)
 Case 007 血性乳頭分泌(乳管内乳頭腫)
 Case 008 血性乳頭分泌(非浸潤性乳管癌)
 Case 009 血性乳頭分泌(浸潤性乳管癌)
 Case 010 腋窩リンパ節転移を初発とした乳癌
 Study 2 術前薬物療法におけるMRIの役割
 Case 011 化学療法症例:CR,pCR
 Case 012 化学療法症例:non-CR,浸潤癌の残存
 Case 013 化学療法症例:non-CR,DCISのみ残存
 Case 014 化学療法症例:CR, non-pCR(置換型,炎症性乳癌)
 Case 015 化学療法症例:CR, non-pCR(置換型,再増殖)
 Case 016 化学療法症例:CR, non-pCR(MRI過小評価)
 Study 3 MRIガイド下生検
 Case 017 MRI detected lesion(超音波でみえた症例)
 Case 018 MRI detected lesion(超音波でみえなかった症例)

第3章 レクチャー&ケースカンファレンス
 Lecture 1 遺伝性乳癌とハイリスク検診サーベイランス
 Lecture 2 男性乳癌の超音波所見の検討
 Lecture 3 mucocele-like lesionの超音波所見の検討
 Case 001 妊娠関連乳癌
 Case 002 非浸潤性乳管癌を伴う乳頭腫(限局性)
 Case 003 非浸潤性乳管癌を伴う乳頭腫(区域性)
 Case 004 浸潤性乳癌非特殊型と線維腺腫の併存
 Case 005 温存術後の脂肪壊死とその近傍に発生した再発腫瘤
 Case 006 病理学的特徴が類似していたが PET/MRIの集積が異なる2症例
 Case 007 乳癌広がり診断におけるMRI過小評価例(1)非浸潤性乳管癌
 Case 008 乳癌広がり診断におけるMRI過小評価例(2)非浸潤性小葉癌
 Case 009 乳癌広がり診断におけるMRI過小評価例(3)リンパ管侵襲

索引