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胆道癌・膵癌の病理診断のスタンダードをめざした腫瘍病理鑑別診断アトラス!

腫瘍病理鑑別診断アトラス

胆道癌・膵癌

カバー写真
  • 編集:鬼島 宏(弘前大学教授)
  • 編集 福嶋敬宜(自治医科大学教授)
  • 監修:腫瘍病理鑑別診断アトラス刊行委員会
  • 編集協力:日本病理学会
  • B5変型判・340頁・4色刷
  • ISBN 978-4-8306-2247-2
  • 2015年4月16日発行
定価 19,800 円 (本体 18,000円 + 税10%)
あり
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正誤表

内容

序文

主要目次

核磁気共鳴画像法 (MRI) や内視鏡超音波 (EUS) を用いた正確な治療前診断など,胆道癌・膵癌を対象とした近年の画像診断学・治療の目覚しい発展により,病理医はより緻密な診断を求められている.本書は,上記の状況を鑑み,最新のWHO分類,TNM分類,癌取扱い規約,さらには内外の診療ガイドライン等を踏まえ,全国で標準化・均霑化された病理診断が行われ,適切な診療に反映されることを目的として,胆道癌・膵癌について,詳細に解説を施す.
☆図版35点,表組60点,カラー写真340点,モノクロ写真42点,イラスト・線画28点
序文

 胆道癌・膵癌を対象とした近年の画像診断学・治療の発展は目を見張るものがある.従来の画像診断法に加えて核磁気共鳴画像法(MRI)や内視鏡超音波(EUS)により正確な治療前診断が行われるようになってきた.治療法においても幽門輪温存膵頭十二指腸切除術など機能温存を目指した外科切除や化学療法の進歩なども注目されている.このような医療進歩を背景として,より緻密な胆道癌・膵癌の病理診断が求められるようになってきている.一方,外科切除材料の蓄積に伴い,胆道腫瘍・膵腫瘍の病理診断にも新たな展開がみられている.2010年に改訂されたWHO分類(WHO Classification of Tumours of the Digestive System)では,神経内分泌腫瘍が臓器を越えて統一的に分類されるようになった.膵では,膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)の診断・病態が知られるようになってきたのに加えて,膵管内管状乳頭腫瘍(ITPN)や膵上皮内腫瘍性病変(PanIN)の概念が確立されてきた.胆道においても,これらに相当する病変(counterpart)として胆管内乳頭状腫瘍
(IPNB)や胆管上皮内腫瘍性病変(BilIN)が提唱されている.さらに,硬化性胆管炎(PSC,IgG4関連胆管炎)および自己免疫性膵炎などは,臨床的に胆道癌・膵癌との鑑別が重要な疾患である.2013(平成25)年には,胆道癌取扱い規約第6版,膵癌取扱い規約第6 版補訂版が出版されている.
 「腫瘍病理鑑別診断アトラス」の共通の趣旨に沿いながら,上記の現状を鑑み,最新のWHO分類,TNM 分類,癌取扱い規約,さらには内外の診療ガイドライン等を踏まえて,胆道癌・膵癌の全般について,詳細に解説するガイドブックとして本書が企画された.第1部は「検鏡前の確認事項」として,癌取扱い規約とWHO分類との相違,生検・細胞診・手術切除標本の取扱い,有用な免疫組織化学を含めての基本的事項が解説されている.第2部の「組織型と診断の実際」では,腺癌の亜型,頻度が低い組織型の腫瘍,腫瘍と鑑別を要する非腫瘍性疾患に加えて,胆道癌・膵癌の深達度診断と断端評価が解説されている.第3 部「鑑別のポイント」は,第2部を補うものとして,病理診断の現場で悩みの種となりうる病変の鑑別診断,および術中迅速診断の対応について,そのポイントと具体例を提示した.最後の第4部「臨床との連携」では,画像診断・内科・外科の立場から
病理に役立つ情報を提供していただくとともに,診療ガイドラインで問われる病理事項,治療効果判定,病理診断報告書の記載を提示した.
 本書により,癌取扱い規約が難解で,ややもすれば敬遠されがちな胆道癌・膵癌の病理への理解が深まり,全国で標準化・均霑化された病理診断が行われ,適切な診療に反映されることを願っている.

 平成27年4月
 鬼島  宏
 福嶋 敬宜
第1部 検鏡前の確認事項
 I.胆道・膵腫瘍組織分類の現状:癌取扱い規約とWHO分類の概要と相違
  1.胆道腫瘍
  2.膵腫瘍
 II.病理標本の取り扱い方
  1.生検,細胞診標本
  2.手術切除標本
 III.胆道・膵腫瘍の肉眼所見
 IV.胆道腫瘍診断に有用な免疫組織化学
 V.膵腫瘍診断に有用な免疫組織化学,遺伝子検査
第2部 組織型と診断の実際
 Ⅰ.胆道病変
  1.腫瘍様病変(ポリープを含む)および腺筋腫症
  2.胆道癌の前癌病変(IPNB,BilIN,ICPN を含む)
  3.胆道癌腺癌および稀な上皮性腫瘍
  4.神経内分泌腫瘍(NET)および関連腫瘍(パラガングリオーマを含む)
  5.稀な非上皮性腫瘍および腫瘍様病変
  6.胆管の炎症性疾患:PSC,IgG4関連硬化性胆管炎
  7.胆囊の炎症性疾患(黄色肉芽腫性胆囊炎を含む)
 II.膵病変
  1.漿液性腫瘍
  2.粘液性囊胞腫瘍(MCN)
  3.膵管内腫瘍(IPMN,ITPN)
  4.浸潤性膵管癌(亜型,前駆病変を含む)
  5.腺房細胞癌
  6.神経内分泌腫瘍
  7.solid pseudopapillary neoplasm(SPN)
  8.稀な膵腫瘍-非上皮性腫瘍,腫瘍様病変
  9.転移性膵癌
  10.自己免疫性膵炎
第3部 鑑別ポイント
 Ⅰ.膵癌の胆管浸潤 vs 胆管癌の膵浸潤
 II.管内発育型胆管癌 vs IPNB vs BilIN
 III.乳頭部腺腫 vs 早期乳頭部癌
 IV.PanIN vs IPMN
 V.膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)由来癌 vs 通常型膵癌 vs 併存癌
 VI.生検による鑑別診断アプローチ
 VII.胆汁,膵液,FNAを含めた細胞診における鑑別診断
 VIII.術中迅速診断における鑑別,判定,報告(細胞診の併用)
  1.胆道
  2.膵
第4部 臨床との連携
 Ⅰ.画像診断の病理への応用
 II.胆膵領域の内視鏡診断
 III.胆道癌・膵癌の進行度と治療方針・予後
 IV.胆道癌・膵癌の進展度診断と断端評価
 V.診療ガイドラインで問われる病理関連事項
  1.胆道
  2.膵
 VI.組織学的治療効果判定
 VII.病理診断報告書の記載
  1.生検,切除検体
  2.細胞診
索引