TOPページへ

病気の成り立ちを理解し,病気に立ち向かう技術を身につけるためのマップ&ガイド

病理組織マップ&ガイド

カバー写真
  • 編集:深山正久(東京大学教授)
  • 編集協力:伊藤智雄(神戸大学教授)
  • 編集協力 宇於崎宏(帝京大学教授)
  • B5変型判・384頁・4色刷
  • ISBN 978-4-8306-0474-4
  • 2014年4月14日発行
定価 6,050 円 (本体 5,500円 + 税10%)
あり
在庫
電子版販売サイト

上記の電子版販売サイトのボタンをクリックすると,外部のサイトに
移動します.電子版の購入方法は各販売サイトにてご確認ください.

正誤表

内容

序文

主要目次

病気を理解するには,病気によって臓器,組織がどう変わるのか,その地形図を把握しておくことが大切です.本書は,標本を実際に観察するように写真を構成し,一枚一枚を矢印,枠などを使って丁寧に解説していくことで,疾患の地形をガイドします.臨床医学の旅を続けていらっしゃる臨床医の方々にも,本書で臨床像の奥にある病理組織の地形の変化を再確認することで,患者さんにわかりやすく,体の中に起きている変化を手に取るように指し示すことができるでしょう.
☆図版46点,表組24点,カラー写真615点
病理組織マップ&ガイド
このアトラスを手に取った医学生,臨床医の皆さんへ

 病気を理解する一歩を踏み出そうという時,病気の臓器,組織の地形を頭に入れておきたい.病気によって臓器,組織はどう変わるのか.そう思った時に,このマップ&ガイドを手に,まずは,標本を見てみましょう.
 とくに医学を学ぶ旅の途上にいる医学生の諸君.皆さんは,解剖学で人体の構造を理解した.さらに,生理学,生化学によって,形と機能のかかわりを学び,微生物学,免疫学で生体の防御の仕組みを知ることができた.そして,いよいよ病理学です.病気の成り立ちを理解し,病気に立ち向かう技術を学ぶ入り口です.マップ&ガイドを片手に入っていきましょう.

病理組織標本を手に取ってみよう.
 ガラス標本を顕微鏡の観察台にのせてみましょう.ただ,その前に,病理組織標本を手に取って全体像を見るのが大事です.全体の形状をおおまかに頭に入れて,これが病気の臓器の一部から取り出されたことを思い浮かべましょう.臓器は病める人からのもので,標本の先には,病める臓器があり,そして診療で対面する患者さんがいます.
 多くの標本はヘマトキシリン・エオジン染色標本です.細胞の核はヘマトキシリンで紫色に,細胞,細胞外の基質はエオジンで微妙に異なる色調で染色されています.軟骨や石灰化はヘマトキシリンに染まり,紫色です.正常と異なっているところはどこでしょうか.違っている部分を見つけたら,何がどう違っているか,分析してみましょう.こうして特徴を自分で見つけ,確認する.納得するには,時に他の標本と見比べることも必要です.

マップ&ガイド,それをマスターすれば自信をもって体の中の変化を解説できる.
 このアトラスでは,従来のものとは異なり,標本を実際に観察するように解説しました.一枚,一枚を矢印,枠などを使って,丁寧に解説しています.まさに,マップ&ガイドです.
 医学生の皆さん,このマップ&ガイドの各章を読み終えたら,今度は従来のアトラスや教科書の該当章を見ることを勧めます.掲載されている写真一枚一枚に,実はいろいろなメッセージがこめられていることに気付くことができ,それを呑み込めるようになります.これを繰り返す.すると,実習標本の大半は典型例なので,既に自信をつけた皆さんは「これは何の臓器で,どのような異常があるのか」すぐに解説できるようになっているはずです.
 臨床医の皆さん.皆さんは臨床医学の旅を続けていらっしゃいます.このマップ&ガイドで,臨床像の奥にある病理組織の地形の変化を,今一度,再確認できたはずです.患者さんにわかりやすく,体の中に起きている変化を手に取るように指し示すことができるでしょう.

平成26年4月
深山 正久
Introduction
1 心・血管
[心・血管]総論
 1 心筋梗塞
 2 感染性心内膜炎
 3 非細菌性血栓性心内膜炎
 4 心筋炎
 5 心外膜炎
 6 肥大型心筋症
 7 拡張型心筋症
 8 心アミロイドーシス
 9 心臓粘液腫
 10 粥状硬化症
 11 腹部大動脈瘤
 12 大動脈解離
 13 結節性多発動脈炎
 14 巨細胞性動脈炎
 15 深部静脈血栓症
2 口腔・頭頸部
[口腔・頭頸部]総論
 1 炎症性疾患
 2 鼻炎・副鼻腔炎および鼻ポリープ
 3 多発血管炎性肉芽腫症(Wegener肉芽腫症)
 4 乳頭腫
 5 扁平上皮癌
 6 リンパ上皮癌
 7 鼻咽喉血管線維腫(若年型血管線維腫)
 8 嗅神経芽腫
 9 悪性リンパ腫
 10 悪性黒色腫
3 唾液腺
[唾液腺]総論
 1 IgG4関連唾液腺炎
 2 Warthin腫瘍
 3 多形腺腫
 4 粘表皮癌
 5 腺様嚢胞癌
4 肺・縦隔
[肺・縦隔]総論
 1 大葉性肺炎
 2 気管支肺炎
 3 びまん性肺胞傷害
 4 肺真菌感染症
 5 肺結核
 6 肺膿瘍
 7 肺腺癌
 8 肺扁平細胞癌
 9 肺小細胞癌
 10 胸腺腫
 11 悪性胸膜中皮腫
 12 気管支喘息
 13 サルコイドーシス
 14 肺気腫
 15 慢性気管支炎
 16 過敏性肺炎
 17 特発性間質性肺炎
 18 誤嚥性肺炎
 19 肺血栓塞栓症
 20 肺高血圧症
5 上部消化管
[消化管]総論
 1 Barrett食道
 2 食道癌
 3 食道静脈瘤
 4 胃潰瘍
 5 慢性胃炎
 6 胃ポリープ
 7 胃癌
 8 胃腺腫
 9 消化管間葉系腫瘍
 10 胃リンパ腫
6 下部消化管
 1 Crohn病
 2 潰瘍性大腸炎
 3 循環障害に伴う腸疾患:虚血性腸炎と出血性壊死
 4 感染性腸炎:腸結核とアメーバ赤痢
 5 憩室症・Meckel憩室
 6 消化管ポリポーシス
 7 大腸発癌:腺腫内癌とde novo癌
 8 大腸癌:早期癌と進行癌
 9 消化管カルチノイド
 10 虫垂炎・虫垂腫瘍
7 肝臓
[肝臓]総論
 1 ウイルス性肝炎(肝炎ウイルス性肝炎)
 2 非アルコール性脂肪性肝障害
 3 アルコール性肝障害
 4 ヘモクロマトーシス・ヘモジデローシス
 5 自己免疫性肝炎
 6 薬物性肝障害
 7 うっ血肝
 8 原発性胆汁性肝硬変
 9 原発性硬化性胆管炎
 10 肝細胞癌
 11 肝内胆管癌
 12 肝細胞腺腫
8 胆道・膵臓
[胆道・膵臓]総論
 1 胆嚢炎
 2 胆嚢癌
 3 胆管癌
 4 膵炎(急性膵炎・自己免疫性膵炎を含む)
 5 浸潤性膵管癌
 6 膵管内腫瘍
 7 膵嚢胞性腫瘍(漿液性腫瘍・粘液性腫瘍を含む)
 8 膵神経内分泌腫瘍
9 腎臓
[腎臓]総論
 1 微小変化型ネフローゼ症候群
 2 巣状分節性糸球体硬化症
 3 膜性腎症
 4 IgA腎症
 5 管内増殖性糸球体腎炎
 6 膜性増殖性糸球体腎炎
 7 半月体形成性糸球体腎炎
 8 ループス腎炎
 9 腎硬化症
 10 尿細管間質性腎炎
 11 糖尿病性腎症
 12 血管筋脂肪腫
 13 急性尿細管壊死
 14 腎細胞癌
 15 多発性嚢胞腎
10 下部尿路・男性生殖器
[下部尿路・男性生殖器]総論
 1 膀胱尿路上皮癌
 2 前立腺癌
 3 良性前立腺過形成
 4 精巣セミノーマ
 5 腎盂腎炎
 6 外陰部尖圭コンジローマ
 7 精巣悪性混合性胚細胞性腫瘍
 8 男性不妊症
 9 精巣炎および精巣上体炎
 10 陰茎癌
11 卵巣・卵管・子宮・外陰
[卵巣・卵管・子宮・外陰]総論
 1 子宮内膜症嚢胞
 2 明細胞腺癌
 3 漿液性腫瘍
 4 粘液性腫瘍
 5 成人型顆粒膜細胞腫
 6 莢膜細胞腫・線維腫
 7 ディスジャーミノーマ
 8 卵黄嚢腫瘍
 9 奇形腫
 10 Krukenberg腫瘍
 11 卵管妊娠
 12 子宮内膜増殖症
 13 子宮体癌
 14 平滑筋腫・平滑筋肉腫
 15 子宮腺筋症
 16 子宮頸癌
 17 子宮頸部上皮内腫瘍
 18 胞状奇胎・絨毛癌
 19 外陰癌
 20 乳房外Paget病
12 乳腺
[乳腺]総論
 1 線維腺腫
 2 乳管内乳頭腫
 3 乳腺症
 4 葉状腫瘍
 5 非浸潤性乳管癌
 6 Paget病
 7 浸潤性乳管癌
 8 女性化乳房
13 内分泌
[内分泌]総論
 1 下垂体腺腫
 2 橋本病
 3 甲状腺乳頭癌
 4 甲状腺びまん性硬化型乳頭癌
 5 甲状腺濾胞癌
 6 甲状腺髄様癌
 7 甲状腺未分化癌
 8 副甲状腺腺腫
 9 アルドステロン産生副腎皮質腺腫
 10 副腎褐色細胞腫
14 皮膚
[皮膚]総論
 1 アトピー性皮膚炎
 2 水疱性皮膚症
 3 母斑細胞性母斑
 4 乾癬
 5 脂漏性角化症
 6 Bowen病
 7 基底細胞癌
 8 悪性黒色腫
 9 菌状息肉症
15 骨・関節
[骨・関節]総論
 1 骨折
 2 骨髄炎
 3 変形性関節症
 4 関節リウマチ
 5 骨軟骨腫
 6 骨巨細胞腫
 7 骨肉腫
 8 軟骨肉腫
 9 Ewing肉腫
16 軟部組織
[軟部組織]総論
 1 脂肪肉腫
 2 脂肪腫
 3 血管肉腫
 4 血管腫・リンパ管腫
 5 腱鞘巨細胞腫
 6 平滑筋肉腫
 7 横紋筋肉腫
 8 未分化多形肉腫
17 脳・脊髄・末梢神経/中枢神経系腫瘍
[脳・脊髄・末梢神経]総論
 1 循環障害:脳卒中,脳ヘルニア,硬膜外・硬膜下血腫
 2 中枢神経系の感染症:ウイルス感染症,細菌感染症,原虫感染症
 3 アルツハイマー病
 4 プリオン病
 5 パーキンソン病
 6 筋萎縮性側索硬化症
[中枢神経系腫瘍]総論
 1 毛様体性星細胞腫
 2 膠芽腫
 3 星細胞腫(アストロサイトーマ)
 4 稀突起膠腫(オリゴデンドログリオーマ)
 5 髄芽腫
 6 Schwann細胞腫
 7 髄膜腫・その他の腫瘍
18 眼
[眼]総論
 1 霰粒腫
 2 脂腺癌
 3 角膜ジストロフィ
 4 網膜芽細胞腫
 5 翼状片
19 造血器
[造血器]総論
 1 悪性貧血
 2 再生不良性貧血
 3 骨髄異形成症候群
 4 急性骨髄性白血病
 5 急性リンパ芽球性白血病
 6 慢性骨髄性白血病
 7 真性赤血球増加症
 8 本態性血小板血症
 9 原発性骨髄線維症
 10 多発性骨髄腫
20 リンパ節・リンパ組織・脾臓
[リンパ節・リンパ組織・脾臓]総論
 1 結核性リンパ節炎
 2 菊池・藤本病(亜急性壊死性リンパ節炎)
 3 濾胞性リンパ腫
 4 マントル細胞リンパ腫
 5 小リンパ球性リンパ腫
 6 Burkittリンパ腫
 7 びまん性大細胞型B 細胞リンパ腫
 8 Hodgkinリンパ腫
 9 T細胞性リンパ腫
 10 転移性腫瘍
21 小児病理
[小児病理]総論
 1 先天性嚢胞状腺腫様奇形/先天性肺腺腫様奇形
 2 胆道閉鎖症
 3 Hirschsprung病
 4 神経芽腫
 5 Wilms腫瘍(腎芽腫
22 全身性疾患
[全身性疾患]総論
 1 糖尿病
 2 痛風
 3 アミロイドーシス
 4 敗血症
 5 日和見感染:全身性真菌症など
 6 粟粒結核:全身性抗酸菌感染症
 7 播種性血管内凝固[症候群]
 8 膠原病:自己免疫疾患
 9 血管炎症候群
 10 サルコイドーシス
索 引