TOPページへ

婦人科腫瘍・疾患の全体像が,この一冊で把握できる!

一冊でわかる婦人科腫瘍・疾患

周産期疾患,生殖・内分泌疾患,乳癌を含む

カバー写真
  • 編集:片渕秀隆(熊本大学教授)
  •     森谷卓也(川崎医科大学教授)
  • B5判・176頁・4色刷
  • ISBN 978-4-8306-3123-8
  • 2017年7月発行
定価 8,640 円 (本体 8,000円 + 税)
あり
在庫
電子版販売サイト

※電子版の購入方法は,各販売サイトにてご確認ください.

内容

序文

主要目次

婦人科でみられる疾患を理解するためには,各疾患ごとの臨床検査画像と病理画像の両方を合わせて理解してゆくことが求められる.本書は1年目~専門医試験を目指すレベルの婦人科医を対象に,主な婦人科の腫瘍・疾患を,臨床検査画像(エコー,CT,MRI)と病理画像を対比しつつ多面的に解説した.専門医試験に出る範囲をカバーし,かつ病理診断が重要になる産科・不妊関連の疾患,乳癌も含めて解説している.どの疾患もコンパクトに見開き2ページでまとめており,読者の利便性にも優れている.多岐にわたる婦人科疾患を理解するための入り口として最適の一冊.



 人体に発生する疾病の実体や原因を究明する医学の始まりは,紀元前3世紀のプトレマイオス王朝時代のアレキサンドリアで行われていた人体解剖にさかのぼるといわれている(難波紘二.病理解剖の現状と意義. 病理と臨床.1998;16臨時増刊号:2-6.).宗教の勃興とその勢力の拡大の中で医学は発展あるいは変遷したが,15世紀に北イタリアで病理解剖学,すなわちマクロ病理学が誕生し,19世紀には,オーストリア・ウィーン学派のRokitansky KF(1804-1878)とドイツ・ベルリンのVirchow RLK(1821-1902)によって病理解剖学が系統化された.その一方で,16世紀末にオランダで顕微鏡が発明され,ドイツのZeiss CF(1816-1888)による技術革新によって,19世紀末には今日の光学顕微鏡につながる飛躍的な発展を遂げた.ときを同じくして,ヘマトキシリンによる核染色,続いてエオジンとの重染色の考案,パラフィン包埋法の創出,ミクロトームの開発と薄切標本の作製,標本のホルマリン液固定と続き,顕微鏡で細胞を観察するミクロ病理学が確立するに至った.その中で,他の悪性腫瘍に先んじて,ドイツの病理学者であったRuge CA(1846-1926)と婦人科医のVeit J(1852-1917)の2人によって,子宮頸癌,子宮体癌それぞれの生検による組織診断が世に紹介された.まさに外科病理学の夜明けである.
 20世紀後半には,臨床診断は革命の時を迎えた.イギリスEMI社によって考案されたCT scanは1975年に日本に上陸し,さらに核磁気共鳴現象を利用したMRIが1990年代には臨床の場でも汎用されるようになった.加えて,産科婦人科学の領域では,超音波断層法検査はBモードに始まった経腹式から経腟式へと改良され,子宮体部や卵巣などの不可視臓器が生理的環境を反映してリアルタイムに描出されるようになった.
 婦人科腫瘍学のかつての巨星たち,例えば,Pfannenstiel HJ(1862-1909),Cullen TS(1868-1953), Sampson JA(1873-1946),Hertig AT(1904-1980),Okagaki T(1933-2010)はいずれも産科婦人科学の臨床と病理を一体として研鑽し,この姿勢はつい最近まで臨床医学,特に婦人科学の基本となるものであった.現在,産婦人科の臨床医は,理学的所見を踏まえたうえで,画像診断と腫瘍マーカーを駆使し,可視領域では生検を併行する.そして,臨床と病理によって作成されている「取扱い規約」を認識し,病理診断報告書を自らの進めている臨床診断と治療を確証する存在としている.
 臨床と病理が共に欠かせないカウンターパートであるというスタンスで,『一冊でわかる婦人科腫瘍・疾患〜周産期疾患,生殖・内分泌疾患,乳癌を含む〜』を上梓した.本書の総論では,8つの婦人科腫瘍の臨床進行期と組織学的診断の最新の分類,疾患の理解の導きとなる病因と疫学(疾患の成り立ち),そして病理ミクロ診断に欠かせない概念(用語)を解説し,各論では,代表的な婦人科腫瘍・疾患に加え, 病理診断が一助となる周産期疾患と生殖・内分泌疾患,産婦人科医が知っておきたい乳癌も収載した.1つの疾患が一目で理解できるように見開き2頁を基本とし,それぞれ,「疾患のポイント」で概要し,画像 診断をはじめとする「臨床診断」,マクロとミクロの「病理診断」,「鑑別診断」,そして組織学的診断の正 診には欠かせない「免疫組織化学」の記述や図に添付した解説など,敷衍に努めた.また,一部の疾患ではより理解を促すために「Memorandum」を設け,関連する7疾患については特に「Column」として1頁を割いた.さらに,今日の婦人科病理診断の確立を先導した11人の「婦人科病理学の偉人たち」を紹介した.
この一冊が,婦人科腫瘍学を学ぶ臨床医,病理医,そして医学生を知識の習得と確認へと導く一助となることを祈念してやまない.最善を尽くして完成させた本書ではあるが,日々の臨床の進歩・発展は目覚ましく,本書を手にされた方々にご叱正をいただければ幸いである.
 最後に,本書の発刊にあたり執筆をご快諾頂いた26名の方々に満腔の敬意と謝意を表する.また,編集の過程で昼夜を問わずご苦労頂いた株式会社文光堂の日野水邦之氏に心から感謝申し上げる.

片渕 秀隆 森谷 卓也

Ⅰ章 総 論
1.分 類
2.病因と疫学(疾患の成り立ち)
 1)子宮頸癌
 2)子宮内膜癌
 3)卵巣癌
 4)卵管癌
 5)腹膜癌
 6)子宮内膜症
 7)絨毛性疾患
 8)子宮筋腫・子宮肉腫
 9)子宮腺筋症
 10)外陰癌
 11)腟 癌
3.概念(用語)解説
 1)化 生
 2)上皮内腫瘍
 3)浸 潤
 4)脈管侵襲(LVI)
 5)組織学的異型度
 6)切り出し法
 7)免疫染色
4.免疫染色一覧表
II章 各 論
1.子宮頸部腫瘍・疾患
 1)子宮頸管ポリープ
 2)尖圭コンジローマ
 3)子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)
 4)子宮頸癌:扁平上皮癌
 5)子宮頸癌:腺癌
 婦人科病理学の偉人たち(1)Herman Johannes Pfannenstiel
 婦人科病理学の偉人たち(2)Claud Whittaker Taylor
2.子宮体部腫瘍・疾患
 1)子宮内膜炎
 2)子宮内膜ポリープ
 3)子宮内膜増殖症・子宮内膜異型増殖症/類内膜上皮内腫瘍(EIN)
 4)子宮内膜癌:類内膜癌
 5)子宮内膜癌:漿液性癌
 Column Lynch症候群
 Column Cowden症候群
3.卵巣腫瘍
 1)上皮性腫瘍:漿液性腫瘍
 2)上皮性腫瘍:粘液性腫瘍
 3)上皮性腫瘍:類内膜腫瘍
 4)上皮性腫瘍:明細胞腫瘍
 5)上皮性腫瘍:漿液粘液性腫瘍
 6)性索間質性腫瘍:線維腫,莢膜細胞腫
 7)性索間質性腫瘍:顆粒膜細胞腫
 8)性索間質性腫瘍:セルトリ・ライディッヒ細胞腫,セルトリ細胞腫
 9)胚細胞腫瘍:未分化胚細胞腫/ディスジャーミノーマ
 10)胚細胞腫瘍:卵黄囊腫瘍
 11)胚細胞腫瘍:胎芽性癌
 12)胚細胞腫瘍:非妊娠性絨毛癌
 13)胚細胞腫瘍:奇形腫
 14)転移性卵巣腫瘍
 婦人科病理学の偉人たち(3)Gunnar Teilum
 婦人科病理学の偉人たち(4)Robert E. Scully
4.卵管腫瘍・疾患
 1)卵管癌
 2)骨盤内感染症(PID)
5.腹膜腫瘍・疾患
 1)腹膜癌
 2)子宮内膜症
 婦人科病理学の偉人たち(5)Thomas Stephen Cullen
 婦人科病理学の偉人たち(6)John Albertson Sampson
6.絨毛性疾患
 1)胞状奇胎,侵入胞状奇胎
 2)絨毛癌
 3)胎盤部トロホブラスト腫瘍(PSTT),類上皮性トロホブラスト腫瘍(ETT)
 Column 妊娠早期胞状奇胎
 Column 存続絨毛症
7.子宮筋腫・肉腫
 1)子宮筋腫
 2)子宮腺筋症
 3)子宮平滑筋肉腫
 4)子宮内膜間質肉腫
 5)子宮癌肉腫
8.外陰・腟腫瘍
 1)外陰扁平上皮内病変
 2)外陰癌
 3)外陰パジェット病
 4)悪性黒色腫
 5)外陰・腟の囊胞性腫瘍と充実性腫瘍
 6)腟 癌
9.周産期疾患
 1)自然流産
 2)異所性妊娠
 3)多胎妊娠
 4)絨毛膜羊膜炎(CAM)
 5)妊娠高血圧症候群(HDP)
 婦人科病理学の偉人たち(7)Javier Arias-Stella
 婦人科病理学の偉人たち(8)Ancel Blaustein
10.生殖・内分泌疾患
 1)機能性子宮出血
 2)不妊症
 3)多囊胞性卵巣症候群(PCOS)
 Column 男性不妊症
 婦人科病理学の偉人たち(9)Arthur T. Hertig
11.その他
 1)乳 癌
 Column 遺伝性乳癌卵巣癌
 Column 腹膜偽粘液腫
 婦人科病理学の偉人たち(10)Robert Meyer
 婦人科病理学の偉人たち(11)岡垣 敬 Takashi Okagaki
索引