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「心機能・心力学」がやさしく正しく理解できる!

心臓の機能と力学

  • 著:山本一博(鳥取大学教授)
  • A5判・146頁・2色刷
  • ISBN 978-4-8306-1923-6
  • 2014年6月発行
定価 3,780 円 (本体 3,500円 + 税)
あり
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内容

序文

主要目次

苦手意識を持つ人が多い心機能.そんな“心機能アレルギー”の方々へ送る,アレルギー克服のための入門書.ひとつひとつ,喩えも使ってわかりやすく解説することで,心機能・心力学が正しく分かる構成となっている.心エコー,MRI,CTなどの画像診断または心カテで心機能を評価したい人,血行動態や心機能を理論的に理解して心不全の診断・治療を行いたい人など,心機能をこれから学ぶ人や自信がない人はまず手に取ってほしい1冊.
☆図版66点

序文

 心機能,心臓力学.聞くだけで気が重たくなるような言葉と思う人が多いのではないでしょうか? 血管が狭い,心室が拡大している,心室壁が厚い,など形態異常の評価を行う際には目で見た通りをそのまま述べればいいので,ここまでであれば問題なくできる人は多いと思います.しかし心疾患の病態は機能の異常によってもたらされているので,機能を評価できなければ病態も理解できないし,そうなると適切な治療選択肢から選ぶこともできません.機能異常を伴わない形態異常には手出しする必要はありません.逆に形態異常がなくとも機能異常があれば治療対象となります.ですから循環器診療に携わる者は心機能を理解することが必須になってきます.
 「食わず嫌い」という言葉があります.これは「食べたこともなく,味も知らずに嫌いだと思い定めること」あるいは「妙味や真価を悟らないでわけもなく嫌うこと」を指します.多くの人が「心機能」という言葉に対して抱いているネガティブな印象は,この「食わず嫌い」に該当するのではないでしょうか?「何となく難しそうだから」という理由で目をそむけていませんか?少し腰を落ち着けて「心機能」について知ろうとするだけで,「思ったほど難しいわけではない」と必ず気づくことができます.そして患者さんの診療にあたる上で心機能の評価から逃げないようになれば,これまであやふやであった病態に対する理解を深めることができ,より充実感をもって診療にあたることができるようになるでしょう.
 「食わず嫌いではなく,かつて心機能について勉強しようとしたが難しくて挫折してしまい,それ以降は心機能と聞くだけで考える気力がなくなってしまう」という方もおられるかもしれません.このタイプは「心機能アレルギー」とでもいうべきでしょうか? アレルギーを克服することは不可能ではありません.平易なところから,少しずつ理解を進めていけばいいのです.
 本書は,できるだけ心機能というものを理解してもらえるように,図を用い,平易な記述としています.心機能は突き詰めれば突き詰めるほど学問として難しくなりますが,本書はそこまでのレベルの話をしているわけではありません.まずは最低限ここまで知っておけば患者さんの診療には困らないと思われる内容としています.
 本書を用いて「食わず嫌い」を克服し,あるいは「心機能アレルギーに対する減感作療法」を行って,日常診療の中で躊躇なく心機能を考える癖をつけていただくきっかけにしてもらえればと思います.

鳥取大学医学部病態情報内科
山本一博

Ⅰ 基本的に知らなければならないこと
 01 心臓の構造と心周期
 02 弁の役割
 03 心筋細胞の収縮と弛緩
 04 前負荷とは?
 05 後負荷とは?
 06 心房-心室連関
 07 心室の協調運動の必要性,QRS幅はなぜ大切か?
 08 心室機能とは?
 09 Elastic recoilとは?
 10 弛緩(relaxation)とは?
 11 スティフネス,あるいはコンプライアンスとは?
 12 心室に対する外圧の影響
 13 拡張にはエネルギーが必要.最もエネルギーを必要としない時相を拡張期と誤解して
   いないか?
 14 心房にも収縮機能,拡張機能があるのか?
 15 血管機能を構成する因子は? windkessel model
 16 Wave reflection(反射圧波)とは?
 17 波形で示す左室圧,左房圧,大動脈圧の関係
 18 左室拡張末期圧,左室収縮末期圧はどこで測定するのか?
 19 心周期における左室,左房の容積の変化
 20 心臓に求められる仕事の最終成果である心拍出量の求め方(熱希釈法,Fick法)
II 心機能,血管機能をどのように評価するか
 01 一回拍出量や心拍出量で収縮機能を評価できるのか?
 02 圧-容積関係とは?
 03 左室の外的仕事量 一回仕事量とは?
 04 前負荷,後負荷を変化させると圧-容積関係はどのように変化するのか?
 05 左室外からの圧排の影響を圧-容積関係で考える
 06 収縮性が低下すると圧-容積関係はどうなるのか?
 07 End-systolic elastance(Ees)は何を表わしているのか?
 08 スティフネス/コンプライアンスと左室拡張末期容積の関係
 09 拡張末期圧-容積関係は何を表わす?
 10 圧-容積関係で考える
   収縮障害がある場合,血圧が上昇するとどうなるのか?
 11 圧-容積関係で考える
   収縮障害がある場合,血圧が低下するとどうなるのか?
 12 圧-容積関係で考える
   スティフネスが亢進している場合,血圧が上昇するとどうなるのか?
 13 圧-容積関係で考える
   スティフネスが亢進している場合,血圧が低下するとどうなるのか?
 14 圧-容積関係で考える
   スティフネスが亢進している場合,前負荷が上昇するとどうなるのか?
 15 拡張性の悪い左室圧波形
 16 収縮性の悪い左室圧波形
 17 Dip and plateauはなぜ起こる?
 18 心室壁運動から収縮機能を評価する代表的指標とは?
 19 Wall motion score indexとは?
 20 左室駆出率は収縮機能だけではなく心拍数,血圧の影響も受ける
 21 僧帽弁閉鎖不全症例における左室駆出率のピットフォール
 22 大動脈弁閉鎖不全症例における左室駆出率のピットフォール
 23 左室壁肥厚症例における左室駆出率のピットフォール
 24 左室内腔狭小化症例における左室駆出率のピットフォール
 25 収縮期左室壁厚変化率(wall thickening;収縮期radial strainに相当)は収縮機能の
   指標か?
 26 左室-動脈連関とは?
 27 脈波伝播速度(PWV)は何を表す?
 28 増大圧係数(AI)とは?
III 予備能
 01 収縮予備能とは?
 02 前負荷予備能(preload reserve)とは?
IV 心機能障害と心不全
 01 心疾患患者における収縮機能障害,拡張機能障害の出現,心不全発症
 02 労作などにおける心拍数上昇の影響
 03 労作などにおける血圧上昇の影響
 04 労作時の心拍出量増加における予備能の役割
 05 心機能障害例における徐脈・心房-心室連関の異常・伝導障害の影響
 06 慢性的に左室拡大,左室駆出率低下をきたしていても心不全症状がなぜ出現しない?
 07 左室拡大がなく駆出率が正常であっても,心不全症状が出現するのはなぜか?
 08 拡張不全におけるEesは?
 09 機能性僧帽弁逆流の心不全発症における役割
 10 収縮性心膜炎における呼吸性変動はなぜ起こる?
 11 うっ血があるから水を引くという安直な考えは危険
 12 左室駆出率低下症例だから強心薬が必要というわけではない
付録 圧,左室形態の計測値の正常範囲/典型的圧波形/よくある不適切記録
索引