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日本骨髄腫学会による骨髄腫診療の決定版ガイドライン!

多発性骨髄腫の診療指針第5版

  • 編集:日本骨髄腫学会
  • B5判・146頁・2色刷
  • ISBN 978-4-8306-2061-4
  • 2020年9月25日発行
定価 3,520 円 (本体 3,200円 + 税10%)
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正誤表

内容

序文

主要目次

ゲノム解析の進歩などにより基礎研究の知見が蓄積され,新たな薬剤や併用療法の進歩が著しい多発性骨髄腫とその類縁疾患.本書では,多発性骨髄腫の定義から臨床所見,診断基準,治療,類縁疾患の診断と治療までを,最新の知見を踏まえて解説する.第5版では,“臨床現場で気軽に手に取り,参照できるガイドライン”を目指し,診療に関する膨大な情報を図表で整理しつつ,治療アルゴリズムや開発中の薬剤など,最新の動向も取り入れ紹介している.巻末には3,022例の臨床データをまとめた「資料編」を掲載.
第5版への序言

 『多発性骨髄腫の診療指針 第5版』が上梓された.日本骨髄腫学会編集による本診療指針は,2004年(平成16年)に第1版が発刊され,その後4年ごとに改訂を行ってきた.2003年にInternational Myeloma Working Group(IMWG:国際骨髄腫作業部会)によって新たな形質細胞腫瘍の診断基準が提唱された.その後,International Staging System(ISS:国際病期分類)の策定に日本骨髄腫研究会の貢献があり,IMWGからは統一治療効果判定基準を含め,国際的なエキスパートのコンセンサスを得た多くのガイドラインがまとめられている.
 20世紀末にサリドマイドの有効性が発見されて以降,免疫調節薬の開発やプロテアソーム阻害薬の開発が進み,支持療法の進歩も加わり,多発性骨髄腫患者の予後は著しく改善した.日本骨髄腫学会における観察研究の結果においても,我が国の骨髄腫患者の生存期間中央値は1990年代の38.9ヵ月から2001〜2012年には60.6ヵ月と延長してきたことが示された.この間,多くの新薬やその併用療法が登場し,数年毎に標準治療が代わってしまう時代であった.第1版から第4版の編集委員長を務められた名倉栄一先生のご尽力には頭が下がる思いである.2014年にはIMWGによる新たな形質細胞腫瘍の診断基準が提唱され,並行してゲノム解析法の進歩による形質細胞腫瘍の分子病態,骨髄微小環境や免疫病態などに関する基礎研究の知見も蓄積されてきた.第4版以降は,2013年に発刊された日本血液学会の『造血器腫瘍診療ガイドライン』との整合性についても十分に配慮した.
 第5版の発刊に先立ち,抗CD38単クローン性抗体薬が未治療の移植非適応骨髄腫患者に適応拡大され,標準治療が一変した.治療効果判定に関しても,完全奏効(complete response:CR)はもとより微小残存病変(minimal residual disease:MRD)を日常診療で調べることができる時代となった.さらに,B-cell maturation antigen(BCMA)を標的としたキメラ抗原受容体導入T細胞(chimeric antigen receptor-T cell:CAR-T)療法,二重特異性抗体や抗体薬剤複合体の開発も進んでおり,次期改訂までには日常診療に導入されることであろう.
 このように,多発性骨髄腫とその類縁疾患の診療はエキスパートにとっても進歩の著しい領域であるが,第5版の作成に当たって編集委員会で取り決めた方針は,臨床現場で気軽に手に取って参照できるガイドラインにすることである.執筆担当者には,膨大な情報は図表でわかりやすくまとめていただき,診療指針が第4版よりも厚くならないようにご配慮いただいた.本診療指針の執筆,査読,編集に携わっていただいた学会員の皆様と,文光堂の関係者の方々のご尽力に,心より感謝申し上げます.
 最後に,本診療指針が我が国の多発性骨髄腫の診療の質の向上に寄与し,多くの患者さんの診断と治療のお役に立てることを祈念しております.

令和2年7月
「多発性骨髄腫の診療指針 第5版」編集委員会
Ⅰ 定義および疫学
 1 定 義
 2 疫 学
  1)罹患率と疫学
  2)診断時の年齢と性
  3)多発性骨髄腫の死亡数と死亡率

Ⅱ 臨床所見と初診時検査
 1 臨床所見
  1)骨痛
  2)貧血
  3)腎障害
  4)高カルシウム血症
  5)易感染性
  6)神経症状
  7)その他
 2 初診時検査
  1)末梢血・血液生化学
  2)M蛋白
  3)骨髄検査
  [コラム]多段階発がん過程
  4)骨病変の画像検査

Ⅲ 診断基準と病期分類
 1 診断基準
  1)多発性骨髄腫
  2)くすぶり型多発性骨髄腫
  3)意義不明の単クローン性ガンマグロブリン血症(MGUS)
  4)孤立性形質細胞腫
  5)POEMS症候群
  6)全身性ALアミロイドーシス
 2 病期分類

Ⅳ 治 療
 1 治療開始時期
 2 治療効果判定
 3 多発性骨髄腫患者に対する治療アルゴリズム
  1)移植適応のある初発多発性骨髄腫患者
  2)移植非適応の初発多発性骨髄腫患者
  3)再発・難治性骨髄腫患者
  [用語解説]risk-adapted strategy
 4 PI・IMiDs・抗体医薬の併用療法のコンセプト
 5 初期治療
  1)移植適応例に対する初期治療
  2)移植非適応例に対する初期治療
  3)高齢者(frail)に対する治療
 6 維持療法
  1)THAL維持療法
  2)LEN維持療法
  3)BOR維持療法
  4)IXA維持療法
  [コラム]LEN維持療法後の二次発がん
 7 再発・治療抵抗性骨髄腫の治療
  1)再発・進行後の治療方針
  2)再発・治療抵抗例における治療レジメン
  3)再発・治療抵抗例における移植療法
  4)再発・治療抵抗例における治療選択
 8 開発中の薬剤
  1)モノクローナル抗体(MoAb)
  2)分子標的薬
  3)CAR-T療法
 9 研究的治療─同種移植(ミニ移植を含む)
  1)骨髄破壊的前処置による同種移植
  2)用量減量前処置による同種移植
  3)タンデムHDC-ASCT/ミニ移植
  4)同種移植後の新規薬剤
 10 放射線療法
  1)疼痛緩和を目的とする場合
  2)腫瘍の消失(縮小)を目的とする場合
 11 合併症に対する治療
  1)骨病変
  [用語解説]骨吸収抑制薬関連顎骨壊死(ARONJ)
  2)高カルシウム血症
  3)貧血
  4)腎不全
  5)感染症
  6)神経障害
  7)その他,過粘稠度症候群など

Ⅴ 類縁疾患
 1 POEMS症候群(Crow-Fukase症候群,高月病)
  1)所見と診断基準
  2)治療
 2 原発性アミロイドーシス
  1)アミロイドーシスの原因・分類
  2)原発性アミロイドーシス
 3 MGRS
  1)MGRSの概念
  2)MGRSの検査と診断
  3)MGRSの治療戦略
 4 原発性マクログロブリン血症
  1)定義と診断
  2)疫学
  3)遺伝子変異
  4)先行病態と治療開始基準
  5)治療

Ⅵ 患者に対する情報提供および支援活動

文 献
資料編
索 引