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病気やケガから園児を守る必携の一冊!

園医がやさしくレクチャー!

園児のケガ・体調不良時の対処ガイド

  • 編集:稲見 誠(いなみ小児科院長,一般社団法人全国病児保育協議会理事)
  • B5判・136頁・4色刷
  • ISBN 978-4-8306-3042-2
  • 2019年4月3日発行
定価 2,750 円 (本体 2,500円 + 税10%)
あり
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内容

序文

主要目次

待機児童問題の深刻化,保育士の業務過多による保育の質低下が問題視され,子どもを預ける保護者の不安もあり,保育園における看護師のニーズが高まっている.「保育所保育指針」を改定するなど,国も制度変化を推し進めている.保育園で働く保健師・看護師の役割は広く「園児の健康を守る」ことであり,中でも,園児のケガ・体調不良時に初期対応し,園医・保育園職員と連携して,保護者に連絡をし,適切に園児の状況を説明し,場合によっては医療機関を受診させる,という業務は非常に重要である.本書は発熱などの諸症状やアレルギーなどで具合の悪い子,あるいはケガをした子を見つけたときに,まず保護者への連絡や医療機関への受診などをどのように判断して,実際にどのように対応するか?また,どのように予防すればよいか?ということが一冊で視覚的につかめる実践書.保育園保健師・看護師を中心に,保育士にもお薦めの一冊.
序 文

 保育園の待機児童の増加で保育園の増設が著しく拡大しています.その結果,保育士の不足,保育士の保育業務過多,新人の保育士の増加などによる保育の質の低下が問題になってきています.このような状況のなかで保育の質と安全性の向上のため,子どもの発達や病気の知識を持っている看護師の役割が重要になってきています.厚生労働省は将来的に全保育園に看護師を配置する方針を進めていますが,2010年の段階では看護師の保育園への配置は30%程度しかありません.今後すべての保育園への看護師の配置が望まれます.
 さて,保育園看護師の仕事は多岐にわたり,高い専門性も求められています.つまり園児の健康を守るばかりでなく,保育園全体の健康管理をしなければなりません.また,病気やケガの初期対応,病気の重症度の判定を行い重症なら医療機関に至急受診させる,流行性の病気が複数発生したときの対処,さらに保護者に病気やケガの家庭での看護方法を指導する,などさまざまな仕事があります.このように保育園看護師の業務は大変重要です.しかし,そのような内容の保育士向けの本はありますが,保育園看護師向けの本はありません.
 そこで今回,保育園看護師がわかりやすく参考にできる本を出版することにしました.本書の特徴として,保育園看護師が日常的に遭遇するであろう病気やケガの重症度の診断や保育園での対処,感染症の予防などを表や図を多用して視覚的にわかりやすく作りました.「はじめに」には保育園看護師の多岐にわたる役割を記載しましたが,すべてを完璧に行うことは難しいので,職員の協力を得てできることから始めるとよいでしょう.第1章「総論」は,子どもの発達の過程に関することです.子どもは年齢によって生理的発達・精神運動発達・バイタルサインが変化するので,そのことを理解して子どもを診なくてはいけません.第2章「症状とその対処」は,症状とその重症度の判断の助けになり,どのような症状があるときは緊急に医療機関を受診させなければならないかなどのことが,見やすい表で現わされています.第3章「感染症の予防」は,保育園で感染症から園児や職員を守ることが看護師の重要な役目であるが,そのために必要な各感染症の特徴と感染予防法や登園の目安などを記載しました.第4章・第5章は,保育園でよく見る病気とその対処を簡潔にまとめました.第6章「保育園での事故とその対応」では,事故を起こさせない環境整備や事故への対処方法などをまとめました.第7章「食物アレルギー」は,近年増加し死亡例まで報告されている食物アレルギー症状やアナフィラキシーについて,予防と対処をわかりやすく記載しました.第8章「気になる子ども,発達障害とその傾向のある子どもへの対応」では,最近増加していると言われているこれらの子どもが保育園で幸福に過ごし,問題を起こさせない指導方法などが参考になると思われます.最後に第9章「看護師・保育士の保育園・病児保育室での役割」は,看護師と保育士や嘱託医との連携が園児の安全と健康を守るために重要であることを解説しました.
 本書によって子どもたちの健康を守り,保育園・病児保育看護師が悩みを減らして働きやすくなることができれば幸いです.

2019年2月
稲見 誠
はじめに
第1章 総論
 1 子どもの生理的発達
 2 子どもの精神運動発達
 3 子どもの診方とバイタルサインの見方
第2章 症状とその対処(症状と重症度およびその対応)
 1 発熱
 2 鼻汁・鼻閉
 3 咳
 4 下痢・嘔吐
 5 脱水
 6 便秘
 7 けいれん
 8 呼吸困難
 9 意識障害
第3章 感染症の予防
 1 感染症の基本知識とその予防
   感染症の成り立ち/感染症の要素/感染症の予防/子どもの免疫とワクチン
第4章 保育園や病児保育室でよく見る病気(治療・看護と登園の基準)
 1 インフルエンザ
 2 溶連菌感染症(溶連菌性咽頭炎)
 3 咽頭結膜熱と流行性角結膜炎
 4 ウイルス胃腸炎
 5 手足口病
 6 ヘルパンギーナ
 7 伝染性紅斑(リンゴ病)
 8 水痘(みずぼうそう)と帯状疱疹
 9 単純ヘルペス感染症(ヘルペス歯肉口内炎)
 10 流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)
 11 麻疹(はしか)
 12 風疹
 13 RSウイルス感染症
 14 気管支喘息,喘息性気管支炎
第5章 保育園でよく見る皮膚の病気
 1 汗疹(あせも)
 2 ドライスキン(乾燥肌)
 3 虫刺され
 4 伝染性軟属腫(水いぼ)
 5 伝染性膿痂疹(とびひ)
 6 アトピー性皮膚炎
第6章 保育園での事故とその対応
 1 事故を起こさないための環境整備
 2 打撲傷(頭部・顔面・四肢)
 3 きず(擦り傷・ぱっくり傷・噛み傷)
 4 熱傷(やけど)
 5 熱中症
 6 異物誤飲と気道異物
第7章 食物アレルギー
 1 子どもの食物アレルギーの特徴
 2 食物アレルギーの予防と対応
 3 アナフィラキシーショック(エピペン®の使い方)
第8章 気になる子ども,発達障害とその傾向のある子どもへの対応
 1 発達障害
   発達障害とは/注意欠陥/多動性障害(ADHD)/自閉症スペクトラム障害(ASD)/学習障害(LD)/チック症,トゥレット症候群/吃音
第9章 看護師・保育士の保育園・病児保育室での役割
 1 看護師と保育士の連携,共有すべき情報
 2 基本的生活習慣の援助
 3 園医(嘱託医)との連携
 4 保護者への連絡と支援
索引