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循環器病を有する患者の機能障害・能力低下・社会的不利に対する介入を網羅.まさに循環器理学療法を“極める”ための1冊!

臨床思考を踏まえる理学療法プラクティス  

極める循環器理学療法

循環器病を有する患者の障害像に挑む

カバー写真
  • 常任編集:斉藤秀之(筑波大学グローバル教育院教授・日本理学療法士協会副会長)
  • 常任編集 加藤  浩(山形県立保健医療大学大学院保健医療学研究科教授)
  • ゲスト編集:木村雅彦(杏林大学大学院保健学研究科准教授)
  • B5判・304頁・2色刷
  • ISBN 978-4-8306-4582-2
  • 2020年7月23日発行
定価 6,380 円 (本体 5,800円 + 税10%)
あり
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正誤表

内容

序文

主要目次

PARTⅠでは様々な専門領域からみた循環器理学療法の意義,PARTⅡでは必要な知識・情報収集・測定・評価,PARTⅢでは疾患および病期別の理学療法戦略と注意点を解説.評価を組み立てる過程から,フィジカルアセスメント,心電図検査,心臓超音波検査,心臓カテーテル検査,薬物療法,動脈硬化,心機能と腎・呼吸・脳機能,心肺運動負荷試験,心肺蘇生法まで幅広く,また,具体的な疾患の特性とその治療展開についてまとめている.


 本書のシリーズはこれまで,運動器やその障害に対する理学療法を中心に展開され,多くの理学療法士や理学療法を学ぶ学生に愛読されてきました.そのシリーズに循環器理学療法を加えていただいたことを大変光栄に思います.
 言うまでもなく循環器は人体の各臓器組織に酸素や必要な血液成分を届けるために構成された細胞・組織・臓器・系であり,運動を可能とする酸素やエネルギー源を運搬する機能を担っています.文字通り全身を循環する循環器は,逆に言えば全身を適切に循環しないと機能障害が生じて運動や生命活動を行うことができなくなります.のみならず,近年では循環器を鍵として関連する臓器とのネットワーク(臓器連関)が多様な疾患の発生や逆に健康の維持増進に寄与することも明らかとなってきました.
 循環や呼吸あるいは代謝といった生理機能は,誰もが持っている,つまり持っていない人は誰もいない,そして適切に機能しないと誰もが身体活動やその他の機能に障害を生じてしまうコアな機能です.特に運動を主たる治療手段として用いることが多い理学療法においては,運動のエネルギー基盤となる多様な生理機能とその調節機構や,症例ごとに異なる病態やその管理状況に即した適切な状況判断を行えずして,適切な運動療法の立案や安全かつ有効な実施もでき得ません.
 折しも本書の編集作業を行っている2020年現在,世界は新型ウイルス感染症(COVID-19)の猛威にさらされています.世界人口の過半数が活動の制限を強いられ,強い意志を持った医療者や介護者をはじめとする勇敢な人々が最前線で戦っています.COVID-19においては全身性に高度の侵襲が加わることも明らかであり,急性期の呼吸管理の支援や全身機能を維持改善するために多くの理学療法士が挑戦を続けています.そして,基礎疾患のある例において予後不良であることだけではなく,新たな循環器病発生の要因となることや,循環器病の合併による死者が世界各国で非常に多く報告されており,理学療法士はこれらの知識をもとに状況を適切に判断しなければなりません.さらに当然のことながら,高齢者を中心とした患者を救命し得た後にも,理学療法士はサバイバーの生活機能障害を積極的に予防して回復を支援しなければなりません.社会基盤が十分に機能しないことも想定される自宅や地域環境へ退院させるのであればなおさらのことです.
 本書は今日における循環器病の概念に基づいて関連する知識を整理して,何よりも患者さんの障害像を推測して評価し治療計画を進めるための理学療法の思考過程を支援できるように構成いたしました.普段は患者さんを診る際に特には循環器病の併存を意識したことがない理学療法士にも,そしてこれから理学療法士の考え方や戦い方を学ぶ学生諸兄にも,ぜひ手にとっていただき,臨床診療や研究に役立てていただけることを願っております.

令和2年4月
ゲスト編集 木村雅彦
Part Ⅰ 理学療法から見る循環器病に対するリハビリテーション
 1 循環器理学療法の再考
 2 循環器医から見た循環器理学療法の意義
 3 内部障害専門理学療法士から見た循環器理学療法の意義
 4 神経専門理学療法士から見た循環器理学療法の意義
 5 運動器専門理学療法士から見た循環器理学療法の意義

Part Ⅱ 循環器理学療法に必要な知識・情報収集・測定・評価
 1 循環器理学療法に必要な情報収集
  [ミニレクチャー]フレイルと循環機能障害との関係
 2 循環器病患者の血行動態を把握するために必要なフィジカルアセスメント
 3 循環器検査 1)心電図検査
   循環器検査 2)心臓超音波検査
   循環器検査 3)心臓カテーテル検査
 4 循環器薬物療法
  [ミニレクチャー]非薬物療法 1)ペースメーカ
 5 動脈硬化が全身臓器に及ぼす影響
  [ミニレクチャー]骨格筋における微小循環とその障害
 6 心機能と腎機能との関連
  [ミニレクチャー]慢性腎臓病(CKD)患者の身体機能特性
  [ミニレクチャー]維持血液透析(HD)患者の身体機能特性
 7 心機能と呼吸機能との関連 1)心肺連関
   心機能と呼吸機能との関連 2)肺高血圧症
  [ミニレクチャー]心不全患者に対する人工呼吸管理(総論)
  [ミニレクチャー]心不全患者に対する人工呼吸管理(NPPV)
 8 心機能と脳機能
  [ミニレクチャー]循環器病患者における自律神経障害
 9 心肺運動負荷試験と運動療法における監視項目
 10 心肺蘇生法

Part Ⅲ 疾患および病期別の理学療法戦略と注意点
 1 保存期の慢性心不全患者に対する理学療法
 2 急性増悪期の慢性心不全患者に対する理学療法
  [ミニレクチャー]心不全患者の栄養管理
 3 虚血性心疾患患者に対する理学療法
  [ミニレクチャー]心不全患者の腸管機能
 4 保存期の心臓弁膜症患者に対する理学療法
  [ミニレクチャー]心不全患者の睡眠障害
 5 開心術後 1)冠動脈バイパス術(CABG)患者に対する理学療法
   開心術後 2)弁形成術・弁置換術患者に対する理学療法
  [ミニレクチャー]神経筋電気刺激療法
 6 心構造疾患に対する低侵襲治療と理学療法
 7 大血管疾患患者に対する理学療法
 8 危険因子を有する患者に対する一次予防
  [ミニレクチャー]循環器病患者におけるQOL評価
 9 補助人工心臓装着患者に対する理学療法
  [ミニレクチャー]非薬物療法 2)循環補助機器
 10 在宅療養心不全患者に対する理学療法
  [ミニレクチャー]循環器病患者が活用できる社会資源
 11 循環器疾患患者に対する緩和ケアと理学療法

索引