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必ず役立つ,知っておくべき定番の漢方薬処方!

BEAM(Bunkodo Essential & Advanced Mook)  

使ってみよう漢方薬

急性期・入院・外来診療で使える定番処方とエビデンス

カバー写真
  • 編集:小野孝彦(国際医療福祉大学熱海病院腎臓内科・漢方内科教授)
  •     BEAM(Bunkodo Essential & Advanced Mook)編集委員会
  • B5判・186頁・2色刷
  • ISBN 978-4-8306-8159-2
  • 2015年7月発行
定価 4,860 円 (本体 4,500円 + 税)
あり
在庫

内容

序文

主要目次

若手医師が求める日常診療のエッセンスをよりすぐり,かつ一歩進んだ知識を提供するムックシリーズ第19弾.本書は,漢方や東洋医学の知識が全くなくても,漢方薬を臨床の場で役立てられるようになるガイドブックである.「西洋医学のアプローチでは決め手にかけても,漢方薬を使えば症状が治まる.」そのような各科でよくみかける症状に対する定番の処方例をエビデンスや作用機序とともに解説.外来での慢性期疾患への治療のみならず,急性期医療の現場や病棟でも活かせる内容となっている.
☆図版16点,表組15点

序文

 本書の特徴として,従来の漢方外来中心の慢性期疾患に対する処方だけではなく,急性期の外来診療や急性期病棟の入院患者で活かせる漢方処方を紹介することが画期的である.それぞれの分野の第一人者に執筆を依頼し,この度,出版の運びとなった.
 江戸時代から明治になって新政府が西洋医学を採用するとともに,それまでの漢方医制度が廃止されるに至った.漢方医学の特徴が個を重視した医療であり,また弱点として外傷など外科系に弱いということがあり,それが当時の国策である富国強兵や衛生学の普及に合わなかったことも要因であるとされる.今日の東アジアの伝統医学は,わが国では漢方医学であるが,一方,中国では中医学,韓国では韓医学と呼ばれている.中国と韓国では,医師の免許として西洋医学と伝統医学の二本立て体制であるが,わが国では医師免許は一本である.各国ともに伝統医学が見直されてきているが,わが国においては単一の医療現場のもとに,西洋医学の進歩が基礎および臨床研究の評価系を提供して,漢方薬の有用性を見出し,エビデンスを提供することになった経過は,いささか皮肉的であるとは言え,世界の中で特筆に値する特徴である.
 明治から近現代に至るまで,辛苦のなかで漢方医学を伝えた医療人の活動の場は,主として慢性疾患の外来診療であった.一方,江戸時代では余裕のない経済事情もあって,治療の対象と方法は今日の漢方外来診療とはいささか異なっていたようである.江戸時代の代表的な漢方医の吉益東洞(よしますとうどう)(1702〜1773)は,今日の日本の漢方医学に大きな影響を与えた人物として知られている.その治療の一端は,著効例を収載した症例集の『建殊録』をひもとくと知ることができるが,かなりの重症,あるいは難治性疾患が含まれている.もちろん著効例の影に数多くの不応例があったであろうことは想像に難くない.『建殊録』の多くの診療形態は,今日の「在宅診療」に相当することが興味深い.当時は入院診療が一般的でなかった代わりに,外来とともに往診,あるいは患家に泊まり込んだ診療が行われていた.ここに,今日の急性期外来・救急搬送・病棟患者に対する漢方治療の応用のヒントが隠されていると思われる.本書では,西洋医学では決め手に欠けるけれども漢方薬を使うとうまくいくもの,あるいは西洋薬のオプションとして使える処方を紹介している.また,それらの処方にはこのようなエビデンスや最新の基礎研究で明らかにされた機序がある,
ということも紹介している.
 世阿弥は,観世流の能を大成した室町時代の能楽師であるが,その芸術論『花鏡(かきょう)』のなかで,「初心忘るべからず」という言葉を記している.この言葉は今日でもよく語られているが,世阿弥の言葉の本来の意味は,今日の使われ方とはいささか異なっていて,いつの年代になっても初々しい感性や心構えを持ち続けるべきということを示している.本書が収載されるBEAMシリーズは若手ドクターに向けて編集されているが,年齢的な若さだけではなく,既存の常識にとらわれず初々しい視点を持ち続ける指導医クラスの医師にも,本書をお勧めしたい.

 平成27年6月吉日
 国際医療福祉大学熱海病院腎臓内科・漢方内科 教授
 小野孝彦

■I章 総論
1. エビデンスと漢方治療
■II章 急性期・外来診療での漢方治療
1. 外来急性疾患における漢方 〜外来での急性期医療におけるサイエンス漢方処方の役割〜
2. 救急医療と漢方
3. 小児科で使える漢方薬 〜エビデンスを中心に〜
■III章 急性期病棟と慢性期での漢方治療
1. 消化器内科と漢方 〜上部消化管疾患の漢方治療を主体に〜
2. 呼吸器内科と漢方
3. 腎臓内科と漢方 〜蛋白尿・高血圧から,腎不全の全身管理まで〜
4. 内分泌代謝内科と漢方 〜糖尿病・肥満 〜
5. 神経内科と漢方 〜頭痛・めまい・しびれから,Parkinson病まで〜
6. 高齢者医療と漢方
7. 精神科と漢方 〜不眠症とうつ病への応用〜
8. 心療内科と漢方  〜身体症状と精神症状を同時に〜
9. 産婦人科と漢方 〜不妊症・妊娠から,婦人科疾患全般へ〜
10. 外科と漢方
11. がん医療と漢方
12. 整形外科と漢方 〜腰下肢症状に対する漢方治療:外傷に伴う便秘・むくみから,腰下肢痛まで〜
13. 皮膚科と漢方
14. 耳鼻咽喉科と漢方治療
■IV章 漢方にまつわるトピックス
ミニレクチャー 伝統医学国際化と漢方医学
ミニレクチャー 生薬の資源 〜生薬・薬用植物の生産流通,資源確保の動向〜
ミニレクチャー 急性疾患と「虚実」〜漢方医学の病態把握「虚実」の急性疾患への運用〜
ミニレクチャー 緩和医療
ミニレクチャー 漢方の副作用とその予防〜偽アルドステロン症と間質性肺炎,肝機能障害を中心に〜
ミニレクチャー 小児科神経疾患における漢方
ミニレクチャー 循環器病棟・CCUにおける漢方〜心臓・血管疾患の侵襲的治療における合併症への漢方治療〜
ミニレクチャー 放射線治療と漢方
ミニレクチャー 脳神経外科における漢方
■付録:Further Readings
■付録:漢方薬と症候・症状一覧表
索引

● M e m o
 証とは
 証を考慮した臨床研究デザイン
 漢方製剤中のβ-D-グルカンおよびエンドトキシン
 機能性ディスペプシアとは
 がん性悪液質とは
 慢性腎臓病とは
 慢性腎臓病の重症度
 透析患者に対する漢方治療の問題点
 肥満症の診断基準
 糖尿病の治療とは
 血糖コントロール目標とは
 片頭痛の診断
 煩熱
 高齢者での服用のコツ
 誤嚥性肺炎における漢方処方の工夫
 妊娠中の安胎薬,慎用薬,禁忌薬
 更年期障害における漢方療法の効果
 コンプライアンス維持のために
 新しい概念の分子標的薬ニボルマブ
 がん悪液質とは
 アトピー性皮膚炎の標準治療と漢方治療
 エビデンスにはない痤瘡の漢方治療のコツ
 漢方治療と保険診療
 音響療法
 漢方医学は日本独自の医学?
 小児薬用量の計算方法
 漢方が飲めない場合には