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抗菌薬・抗微生物薬の使い分けに悩んだら…?

BEAM(Bunkodo Essential & Advanced Mook)  

抗菌薬・抗微生物薬の選び方・使い方Q&A

スッキリわかる使い分けのコツとポイント

カバー写真
  • 編集:八木哲也(名古屋大学大学院医学系研究科臨床感染統御学分野教授)
  •     BEAM(Bunkodo Essential & Advanced Mook)編集委員会
  • B5判・316頁・2色刷
  • ISBN 978-4-8306-8154-7
  • 2014年8月発行
定価 5,940 円 (本体 5,500円 + 税)
あり
在庫
正誤表

内容

序文

主要目次

若手医師が求める日常診療のエッセンスをよりすぐり、かつ一歩進んだ知識を提供するムックシリーズ第14弾.抗菌薬・抗微生物薬の使い分けは医師にとっての大きな悩み.本書は現場でよくみる初歩的なQuestionに始まり,各系統の薬剤ごとに使い方の要点と盲点を解説.各剤の特徴をスッキリ理解し使い分けられる.忙しいドクター向けに,薬ごとに特徴・種類・用法・副作用を200字でまとめた「Essence!」を収載.ポイントを一目で掴めるようにした.
☆図版25点,表組106点,イラスト・線画8点

▽BEAM(Bunkodo Essential & Advanced Mook)編集委員会
 宮地良樹(京都大学皮膚科教授)
 上田裕一(名古屋大学心臓血管外科教授)
 郡 義明(天理よろづ相談所病院総合診療部長)
 服部隆一(市立島田市民病院院長)

序文

 医療の進歩により,様々な難治な病気の患者の命が救われることになった一方で,治療により免疫力の低下をきたして,感染症により感受性となるimmunocompromised hostの患者が増加している.さらに抗微生物薬に対して耐性となる微生物が増加することによって,本来「よく治る」病気と考えられていた感染症の治療は,ますます複雑化・困難化している.このような状況の中,新しい抗微生物薬,特に抗菌薬の開発は先細りになっており,さらなる薬剤耐性を生まないためにも,現在私達が持っている抗菌薬を適正に賢く使用することが求められている.つまり,不必要な時には使用を控え,適切なターゲットに対して適切な量とスケジュールで投与し,ダラダラと長く使用せず,また一方で再発や遠隔病変のコントロールのためには十分な期間投与する,ということである.
 感染症診療の基本的なロジックは,患者を十分診察して適切な画像検査や微生物学的検査を加えて,感染臓器を確定し,患者の重症度や免疫状態を理解した上で,起炎菌を推定して経験的治療(empiric therapy)を開始し,菌の同定・薬剤感受性検査結果に基づき,より確実な確定的治療(definitive therapy)に切り替える,という2段階から成っている.つまり臨床的診断に基づいて行う経験的治療においては,想定される起炎菌をきちんとカバーしないと患者の予後は不良となるため,広域スペクトラムの抗菌薬の使用は許容されるが,こうした広域スペクトラムの抗菌薬の使用は患者の常在細菌叢に与える影響も大きく,耐性菌の発生や伝播のリスクを高めることになる.微生物学的診断がつき薬剤感受性も判明すれば,確定的治療として,可能な限り狭域で効果もエビデンスとして確実な薬剤に切り替えていく努力が必要である.
 このようにロジックは至ってシンプルなのだが,患者は様々なバックグラウンドを持っており,同じ病原体であっても感染症の様相はそれぞれの患者で千差万別で,抗菌薬・抗微生物薬治療もケースバイケースの対応が求められる.患者の様々な基礎疾患や抗菌薬治療と並行して行われる治療に合わせたオーダーメイド治療を目指した時には,正しい抗菌薬・抗微生物薬の知識が不可欠になる.こうした治療薬の情報を整理できる本があるとよいのではないか,というのがこの本をまとめることになったきっかけである.執筆にあたった先生方には,患者の病態に合わせた抗微生物薬選択のコツ,投与スケジュール決定に必要な薬理学的知識,個々の薬剤の特徴,使用法,副反応や薬剤耐性の情報など,適正な抗菌薬・抗微生物薬の使用に必要な知識を,なるべく判りやすくコンパクトにまとめて頂くようお願いし,最大限その要望に応えて頂いた.皆さんに是非手に取って頂き,本書
が皆さんの直面する感染症患者の予後を改善し,副反応や耐性菌の発生・伝播などのデメリットを最小化するという,抗菌薬・抗微生物薬の適正使用に大いに役立つことを,編者として心から祈念したい.

平成26年7月吉日

名古屋大学大学院医学系研究科臨床感染統御学教授
八木哲也

I.総論まず基本を知るべし!
1. まず押さえておくべき基本中の基本
 1)適切な抗微生物薬治療とは
 2)抗微生物薬治療にはどのような検査が役に立ちますか?
 3)抗微生物薬の選択のため知っておきたい病原体の知識って?
2. 臨床薬理で知っておきたいこと
 1)抗微生物薬のPK/PD理論って何ですか?
 2)抗微生物薬のTDMって何ですか?
 3)どんな副作用に注意したらよいですか?
 4)薬物相互作用としてどんなことに注意が必要ですか?
3. ライフサイクルと抗菌薬・抗微生物薬
 1)高齢者へ抗微生物薬投与するときは,どのような点に注意しますか?
 トピックス 簡易懸濁法ってどうすればいいの?
 2)子どもへの投与はどうするの?~悩ましいセレクト・タイミング・投与量の考え方~
 トピックス 妊婦での使用で注意すべきことは?
4. ワンランク上の抗微生物薬治療~賢く併用,感染制御,そして限界~
 1)抗菌薬・抗微生物薬を併用するのはどんなときですか?
 2)感染制御のための抗菌薬の適正使用法は?
 3)抗菌薬では太刀打ちできないときは?
 トピックス 耐性はどうしてできる?
5. 特殊な病態での使い方
 1)好中球減少時にはどんな抗微生物薬治療がいいのですか?
 2)集中治療における抗微生物薬治療の留意点
 3)周術期抗菌薬に何をどう選ぶ?
 4)腎・肝障害があるときはどうしたらよいですか?
 トピックス バイオフィルム関連感染症って何ですか?
6. 抗菌薬・抗微生物薬の局所療法
 1)眼科領域の抗微生物薬局所療法について教えて!
 2)呼吸器領域の抗微生物薬局所療法について教えて!
 3)皮膚科領域の抗微生物薬局所療法について教えて!
 4)抗菌薬含有骨セメントって何?灌流って?~整形外科特有の局所療法~
 トピックス プロバイオティクスって使えるの?
II.各論:色々な抗菌薬・抗微生物薬のQ&A
~効くメカニズム・適応・留意点・薬剤耐性〜
1. 抗菌薬
 1)ペニシリン系抗菌薬(β-ラクタマーゼ阻害薬配合剤を含む)を使いこなすには?
 トピックス β-ラクタム系抗菌薬アレルギーについて知っておくべきことって?
 2)セファロスポリン系抗菌薬~いろいろあるけどどう使う?~
 3)モノバクタム系抗菌薬の使い時は?
 4)カルバペネム系抗菌薬を賢く使うには?
 5)アミノグリコシド系抗菌薬の使い方は?
 6)キノロン系抗菌薬の上手な使い方は?
 トピックス コリスチンについて知っておくべきことって?
 7)マクロライド・リンコマイシン系抗菌薬のうまい使い方は?
 トピックス 性感染症治療のポイントは?
 トピックス 抗菌薬の抗炎症作用って何ですか?
 8)テトラサイクリン系抗菌薬ってどんなときに使うの?〜DOXYとMINOの特徴と適応〜
 トピックス グリシルサイクリン系抗菌薬(チゲサイクリン)の出番はどんなとき?
 トピックス ホスホマイシンはどう使うの?
 9)グリコペプチド系抗菌薬の使い分けは?
 トピックス ストレプトグラミン系抗菌薬(キヌプリスチン・ダルホプリスチン)って何ですか?
 10)リネゾリド・ダプトマイシンを賢く使うには?
 11)ST合剤の使い方は?~故きを温ねて新しきを知る~
 12)メトロニダゾールを賢く使うには?
 13)抗結核薬(リファマイシン系・イソニアジド・エタンブトール・ピラジナミドなど)の使い方は?
2. 抗真菌薬
 1)アゾール系抗真菌薬の使い分けはどうするの?
 2)キャンディン系抗真菌薬の使い方は?
 3)ポリエン系抗真菌薬の出番はどんな時?
 トピックス フルシトシンはいつ使うの?
3. 抗ウイルス薬
 1)抗ヘルペスウイルス薬の使い方は?
 2)抗サイトメガロウイルス薬を賢く使うには?
 3)抗インフルエンザウイルス薬はどう使い分けるの?
 4)抗肝炎ウイルス薬にはどんなものがありますか?
 5)抗HIV 薬の種類と使い方は?
4. 抗原虫薬
 1)抗原虫薬の種類と使い方は?
 トピックス 今後,日本で使えるようになるかもしれない抗微生物薬教えます
付録:Further Readings
索引

● M e m o
 血清学的検査の有用性
 微生物検査室とのコミュニケーション
 IGRA検査〔インターフェロン(IFN)-γ遊離試験〕
 質量分析(MALDI-TOF MS)を用いた菌の同定
 メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)のバンコマイシン(VCM)のMIC値と治療効果
 感染症の三要素と感染成立の三要素
 PK/PD理解のための基礎知識
 TDMコンサルテーションに含まれる内容
 CmaxとCpeak
 治療薬物モニタリング(TDM)
 CYP3A4とは
 derepression(抑制解除,脱抑制)
 乳酸菌=プロバイオティクス?
 アンチバイオグラムとは
 オーグメンチン+アモキシシリン~オグサワって?~
 local factor(ある病院の場合)
 アジスロマイシンの剤型
 マクロライドの少量長期療法
 Cunha先生のパール
 ジスルフィラム様作用
 各種抗結核薬についての説明
 薬物相互作用
 シクロデキストリン
 ABDがL-AMBよりも推奨される状況
 アムホテリシンβの局所投与
 覚えておきたい代表的な“CMV disease”
 CMV抗原血症(CMV antigenemia)検査
 登校停止期間について
 抗HIV薬は高額
 体液曝露時の感染予防投与