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皮膚科・形成外科の英知を結集したこれまでにない皮膚外科の入門書!

皮膚外科基本テキスト

  • 編集:出光俊郎(自治医科大学附属さいたま医療センター皮膚科教授)
  • 編集 山本直人(新東京病院形成外科・美容外科主任部長)
  • B5判・356頁・4色刷
  • ISBN 978-4-8306-3466-6
  • 2018年4月5日発行
定価 13,200 円 (本体 12,000円 + 税10%)
あり
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内容

序文

主要目次

皮膚科と形成外科が一同に会する日本臨床皮膚外科学会のメンバーを中心に作成された皮膚外科の入門書.皮膚外科に必要な基本手技・知識はもちろん,診断,合併症・トラブル対応,こだわりの道具まで,エキスパート達の極意がふんだんに詰めこまれ,豊富な臨床写真とともに解説された実践的な内容となっている.皮膚科・形成外科のエッセンスが凝縮された,これまでの皮膚外科のテキストでは学べない画期的な内容となっており,これから皮膚外科を志す医師に最適の1冊.
序 文~皮膚科と形成外科の英知を結集した皮膚外科学~

 昨今,いろいろな専門分野で医療行為は医師のみならず,チーム医療の観点から多職種協同の時代になってきた.たとえば,糖尿病の足病変や褥瘡などの境界領域疾患では,患者を中心に各専門家がそのスペシャリティを生かしてみていく体制が確立してきている.一方,皮膚外科を扱うのは皮膚科と形成外科である.とかく境界領域というものは,押しつけ合うか,陣地の奪い合い,「俺が俺が…」の世界になってしまいがちである.餅は餅屋,商売は道によって賢しとはよく言ったもので,皮膚科の得意分野と形成外科の英知を集約すれば,皮膚外科を,より大きく発展することができる.それにより一般社会への皮膚外科の認知も広まると思われる.
 日本はともかく,国外に目をやると皮膚科と形成外科がうまく連携した皮膚外科の学会はない.米国では皮膚科医が腫瘍を切除し,患者はその足で,別のクリニックへ行き形成外科医が再建を行うと聞いた.さらに摘出した病理組織は皮膚病理医が検鏡して診断する.見方によっては,皮膚腫瘍に関して,米国では,細分化した完全な分業体制ができているともいえる.しかし,皮膚外科においては診断から手術,術後経過にいたるまで一連の診療で完結させることが医学,医療,患者の利便性からみても望ましい.今や,皮膚外科学は皮膚の腫瘍や感染症,外傷,異物による皮膚病変(implantation dermatosis)などを扱う一つの独立した分野としての地位を確立している.
 これまでに皮膚科医の思い入れの強い皮膚外科の教科書,形成外科的な立場からの皮膚外科に関する教科書はいくつか出版されている.悪性腫瘍を取り扱う皮膚科医には臨床所見,鑑別疾患の緻密さ,ダーモスコピー,病理診断などそれなりの思い入れがあり,形成外科医にはデザインや機能を重視し,深部の組織まで視野に入れた形成外科医なりの考えがある.本書は皮膚のエキスパートである皮膚科医と形成外科医の両者がそのノウハウを持ち寄って仕上げた画期的な皮膚外科テキストである.フレッシュな若手皮膚科医にはもっと手術分野に積極的に参加して欲しいし,形成外科医には,皮膚の腫瘍や母斑の特性や病理などにもっと興味を持って欲しいとの願いをこめて企画した.皮膚科医,形成外科医のそれぞれの考え方やスタンスの違いを理解して,その面白さを知っていただければ幸いである.1冊で皮膚科と形成外科,合計2冊分の皮膚外科を本書で楽しく学んでいただきたい.

平成30年4月
出光俊郎
自治医科大学附属さいたま医療センター皮膚科
I章 基本手技
●きれいな創治癒のための皮膚切開と縫合のコツは?
 皮膚切開について/皮膚の縫合法/皮膚縫合糸の選択
●適切な術前・術後処置について教えて下さい
 術前の体毛処置について /術野の洗浄,消毒について/抜糸について/術後のドレッシング,安静,入浴など
●立ってオペをするか,座ってオペをするか?左利きの人のオペは?
 指輪,ネックレス,時計などアクセサリーは可能な限り外してもらう/手術部位の化粧は落としてもらう/立ってオペをするか,座ってオペをするか?/照明の位置,器械台の位置/手術時の患者の体位と術者の位置/左利きの人のオペは?/手術覆布のかけ方
 コラム 美容施術の有無の問診
●皮膚外科を始めるにあたって必要な手術器具は?
 皮膚ペン/メス/剪刀/鑷子/持針器/その他
●皮膚外科に役立つ最新のデバイスについて教えて下さい
 水圧ナイフ/陰圧閉鎖療法 negative pressure wound herapy(NPWT)
●消毒と局所麻酔の仕方を教えて下さい
 消毒/局所麻酔
●膿瘍切開の仕方を教えて下さい
 膿瘍切開について(適応疾患)/切開に必要な器具/膿瘍切開の方法/膿瘍切開術の実際/術後の投薬/膿瘍切開にあたっての注意点/基礎疾患・鑑別疾患
●初心者がまず身につけるべき基本皮弁デザインの理論とコツを教えて下さい
 皮弁とは/局所皮弁の適応/局所皮弁の実際
●Z形成術・W形成術・U形成術の適応と実際は?
 瘢痕の治療/Z形成術/W形成術/U形成術
●植皮① 植皮の種類と適応について教えて下さい
 植皮の種類と特徴/適応/注意点
●植皮② ダーマトームの使い方を教えて下さい
 ダーマトームの種類と特徴/使い方
●植皮③ タイオーバーの仕方や生着率を上げる工夫を教えて下さい
 タイオーバーの仕方/生着率を上げる工夫
●植皮④ 植皮におけるトラブル回避の方法,トラブル対処法は?
 血腫/植皮片の接着不良/植皮片の壊死/植皮片の脱落
●植皮⑤ タイオーバーをしない植皮とは?
 タイオーバー固定法について/タイオーバーをしない植皮/ハイドロサイトプラスを使った簡単植皮
●手の皮膚外科について教えて下さい
 手の皮膚外科の特徴/皮膚切開線の注意点/麻酔/駆血帯/手の皮膚外科のpitfall
●口唇・口腔における,麻酔,切除,縫合の方法を教えて下さい
 口唇・口腔粘膜の麻酔/開口器の使い方/切開線の設定/縫合/小唾液腺(口唇腺)生検/粘液囊胞の切除/良性腫瘍切除
II章 診 断
●メラノーマを見逃さないためのダーモスコピーの基本所見を教えて下さい
 メラノサイト系病変は部位によりダーモスコピーの基本所見が異なる/良性メラノサイト系病変(色素細胞母斑など)のダーモスコピーの基本所見/メラノーマのダーモスコピーの基本所見/メラノーマを見逃さないためのダーモスコピーのポイントは,全体像の不規則性を見抜くことである/非メラノサイト系病変のダーモスコピーの基本所見
●病理医をあきれさせない病理検査依頼書の書き方と検体の採取を教えて下さい
 病理報告書は「診断書」ではなく「報告書」である/正しい病理診断をするための検体の採取方法と提出の仕方/病理検査依頼書の書き方に関する皮膚病理診断医の要望/病理報告書の読み方
III章 合併症・トラブル
●皮膚外科手術で合併症を避けるために注意すべき神経・血管は?〜頭頸部を中心として
 はじめに/皮下剝離の層と血管系/注意すべき神経
●手術時の針刺し事故の予防と起きたときの対策は?
 手術時の針刺し事故の予防/針刺し発生時の対応
●皮膚外科で必要なアレルギーの知識と対処法について教えて下さい
 皮膚外科医が遭遇する即時型アレルギー/皮膚外科医が知っておくべき接触皮膚炎/ヒトアジュバント病
●皮膚外科・美容外科トラブル例(訴訟事例)からの教訓を教えて下さい
 医療訴訟における社会的背景/トラブルを防ぐ“基本のキ”は説明と診療録記載/トラブル・医療訴訟に至った代表的事例
●皮膚外科・美容皮膚科・美容外科に役立つ心身医学の知識と面談技術を教えて下さい
 医療面談について/心身医学的な基本的医療面談技法について/皮膚外科における医療
 面談について/美容皮膚科および美容外科における医療面談について/サイコオンコロジー(精神腫瘍学)
IV章 皮膚良性腫瘍
●顔面の黒子の取り方は?
 顔面の黒子切除手術/眼瞼縁での切除/口唇縁での切除/鼻孔縁での切除/外鼻部での切除
●オープントリートメントとは?
 オープントリートメントの利点/オープントリートメントの適応/トラブルを防ぐための患者への説明と注意点/オープントリートメントの実際
●先天性巨大色素性母斑の外科的治療について教えて下さい
 定義/メラノーマの発生頻度/メラノーマを疑う所見/手術時期と手術法(植皮・皮弁・tissue expanderか連続縫縮)/手術法
●粉瘤(炎症性粉瘤)の手術の仕方は?
 粉瘤の定義/臨床像/エコー像/鑑別診断/解剖学的問題/治療/術後
●足底粉瘤のくり抜き手術について教えて下さい
 足底粉瘤くり抜き手術の利点/足底粉瘤について/くり抜き手術について/足底粉瘤くり抜き手術の実際/くり抜き手術にあたっての注意点
●皮下脂肪腫(前額部脂肪腫を含む)の手術の仕方は?
 脂肪腫の初診時に注意すべきこと/脂肪腫の画像診断/脂肪腫の摘出手術/術後のドレーンに関して/脂肪腫の再発とその防止対策
●眼瞼腫瘍の取り方を教えて下さい
 眼瞼皮膚手術の心得/黄色腫/稗粒腫/汗管腫/その他のコツ・注意点
●難治性疣贅のいぼ剝ぎ法について教えて下さい
 いぼ治療について/いぼ剝ぎ法とは/いぼ剝ぎ法の実際
●脂漏性角化症のキュレットを用いた切除法について教えて下さい
 脂漏性角化症の切除にキュレットを使用することの利点/準備と実際の手技/注意点
●血管拡張性肉芽腫の結紮療法について教えて下さい
 結紮療法の利点/毛細血管拡張性肉芽腫について/血管拡張性肉芽腫の結紮療法について/結紮療法にあたっての注意点
 コラム 血管拡張性肉芽腫の結紮療法
●爪下・爪周囲の良性腫瘍,グロムス腫瘍,指趾粘液囊腫の手術の仕方は?
 爪下・爪周囲の腫瘍について/後天性爪囲被角線維腫の手術/爪下外骨腫の手術/グロムス腫瘍の手術/粘液囊腫について/瘭疽
●陥入爪の処置について教えて下さい〜病態に基づく治療の選択〜
 陥入爪とは/陥入爪治療の考え方/陥入爪治療各論/治療法の選択のアルゴリズム/問題点および保険診療上の注意点
V章 皮膚悪性腫瘍
●日光角化症の外用および手術的治療について教えて下さい
 日光角化症について/日光角化症の治療について/外用療法/凍結療法/光線力学療法photodynamic therapy(PDT)/手術的治療/実際の治療では
●Bowen病の外科的治療について教えて下さい
 Bowen病の治療/手術/切除のコツ/再建のコツ/その他
●有棘細胞癌の外科治療について教えて下さい
 手術適応について/切除範囲/センチネルリンパ節生検/リンパ節郭清/化学療法/放射線治療
●陰部Paget病の治療の考え方と基本的な手術について教えて下さい
 臨床所見は?/診断・検査方法は?/治療方針の決定/治療方法は?
●悪性黒色腫の一般的治療について教えて下さい
 悪性黒色腫(メラノーマ)とは/術前検査/切除範囲/部位別の外科療法/センチネルリンパ節(SLN)生検とその意義/リンパ節郭清
●悪性黒色腫の薬物療法について教えて下さい
 薬物療法の変遷/切除不能メラノーマに対する免疫チェックポイント阻害薬/切除不能メラノーマに対する分子標的治療薬/術後補助療法
●基底細胞癌の切除と再建〜皮弁を使うか,植皮を使うか?
 基底細胞癌における切除治療の意義/切除の実際/切除後の再建の方法/再建のタイミングと切除断端の確認について
 コラム 基底細胞癌の分子標的治療
●隆起性皮膚線維肉腫の手術の仕方は?
 隆起性皮膚線維肉腫(DFSP)とは/隆起性皮膚線維肉腫の手術/再発例の対処
●Mohs手術というのはどういうものか教えて下さい
 Mohs手術とは/MMSの特徴/MMSの歴史/MMSの適応について/MMSの流れ/MMSの欠点/海外でのMMSの現状/日本でのMMSの現状/日本でMMSが普及していない理由/悪性黒色腫に対するMMSの応用
●緩和医療としての外用療法について教えて下さい
 緩和医療における外用療法とは?/Mohs変法の適応/Mohsペーストの調整/ Mohs変法の施術の実際/メトロニダゾールゲル(ロゼックスゲル0.75%)の適応/メトロニダゾールゲル(ロゼックスゲル0.75%)の使用方法
●高齢者の皮膚悪性腫瘍手術について教えて下さい
 高齢者における皮膚悪性腫瘍について/患者が来たときに考えること/手術以外の治療/手術方法の検討/入院の適否/抗血栓薬の抗凝固薬と抗血小板薬/術前術中の高血圧/術中の鎮静/麻酔薬/術後管理
VI章 感染症
●ガス壊疽・壊死性筋膜炎・Vibrio vulnificus敗血症の外科的治療について教えて下さい
 壊死性軟部組織感染症とは/診断・治療方針の決定/検査/治療/切開排膿,洗浄,デブリードマン/四肢切断/再建
●慢性膿皮症(臀部,頭部,腋窩など),の毛巣洞の外科的治療について教えて下さい
 慢性膿皮症・毛巣洞とは/実際の治療/治療の工夫/術後の後療法・生活指導など
●創感染と創離開への対処法は?
 創感染,創離開を起こす原因/初期の創感染対策/創離開した場合の対策/wound bed preparationとは
●術前の予防的抗菌薬,術後抗菌薬の選択と投与の仕方は?
 抗菌薬予防投与は必要か?/抗菌薬の選択は?/侵襲が大きい手術,入院患者手術など/
 小手術,外来日帰り手術など
VII章 物理・化学的障害
●外傷処置の基本について教えて下さい
 外傷処置は外科手術の基本/創の状態を評価する/創の処置を行う/抗菌療法/各論
●リストカットの治療について教えて下さい
 リストカットとは/初期対応/合併損傷の確認と治療/瘢痕の治療
●熱傷治療の基本について教えて下さい
 熱傷の深度,面積,重症度の判定について/熱傷の初期治療は/熱傷創治療の実際について/熱傷の後遺症,熱傷慢性期の治療について
●動物咬創の外科的治療のポイントは?
 動物咬創について/イヌやネコによる咬創/ヘビ咬創/クマによる外傷
●美容異物,ピアストラブル,指輪埋没,釣り針刺し症,異物迷入の治療のコツは?
 美容異物/ピアストラブル/指輪埋没/釣り針刺し症/異物迷入
VIII章 皮膚潰瘍・血流障害
●下肢潰瘍・壊疽の救済治療について教えて下さい
 原因・分類・治療方針の決定/臨床所見は?/診断・検査方法は?/治療方法は?
●うっ滞性潰瘍・静脈瘤の手術方法について教えて下さい
 うっ滞性皮膚炎・潰瘍について/下肢静脈瘤について/必要な検査/下肢静脈瘤の治療法について/うっ滞性潰瘍への植皮術と外用薬
 コラム うっ滞性難治性潰瘍の鑑別診断
●褥瘡の外科的治療について教えて下さい
 褥瘡の発生原因とアセスメント/創管理を目的とした外科的処置/再建術を含めた手術治療
 コラム 潰瘍治療の夜明けイソジンシュガーゲル誕生 余話
●田植え植皮について教えて下さい
 田植え植皮の歴史/田植え植皮の適応/田植え植皮の実際/田植え植皮後の経過/生着をよくするために
IX章 その他
●ケロイド・肥厚性瘢痕の予防,治療について教えて下さい
 ケロイド・肥厚性瘢痕とは/ケロイド・肥厚性瘢痕の特徴/ケロイド・肥厚性瘢痕の診断/ケロイド・肥厚性瘢痕の治療
●メスを使わないで皮膚の若返りはどこまで可能なのか?
 皮膚の若返りとは/しみにおける若返り治療/各種色素斑「しみ」の治療/たるみに対する機器治療/保存的治療やサプリメント
●痤瘡と痤瘡瘢痕の治療について教えて下さい
 痤瘡の治療と痤瘡瘢痕の予防/痤瘡瘢痕の治療/フラクショナルレーザーによる瘢痕治療の実際
●皮膚外科医が知って得する植毛術について教えて下さい
 植毛について/ドナーの選定/ドナーの採取/株分け作業/毛包移植/術後の経過/合併症
●脱毛症の非外科的治療について教えて下さい
 脱毛症について/円形脱毛症について/男性型脱毛症について/さまざまな脱毛症治療/脱毛症治療におけるPRP療法
あとがき
索 引

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