がん患者に寄り添ったチーム医療を実現するために… 知識をアップデートし,多職種でつなぐ実践ガイド!
新刊多職種で臨む!東大病院式
がんチーム医療実践ガイド
内容
序文
主要目次
東大病院でのセミナーをもとに,がん治療の基本から副作用対応,疼痛緩和,さらにコミュニケーション,ACP(アドバンス・ケア・プランニング),がんゲノム医療など,がん診療にかかわる実践的なテーマを多数取り上げた.
各項の前半では,医師が各テーマの基本知識からチーム医療の流れまで紹介.後半では,看護師や薬剤師などのメディカルスタッフが”いつ””どのように”支援・介入するか症例ベースでポイントを押さえて紹介.さらに他職種へのリアルな疑問に答えたQ&Aも掲載する充実の内容.
がん患者の治療・支援にチームで取り組む医師・メディカルスタッフ必携の一冊.
がん診療を取り巻く環境は,この十数年で大きく変化してきた.がん患者数は年々増加傾向にあり,治療選択肢も飛躍的に拡大している.がん薬物療法においては,従来治療の中心であった細胞障害性抗がん剤に加え,分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬が日常診療で広く用いられるようになり,その種類も年々増加している.さらに2019年6月には,がん遺伝子パネル検査が保険承認され,がんゲノム医療も急速に発展してきた.こうした進歩は,がん診療をより精緻で個別化されたものへと進化させる一方で,医療現場には新たな知識や判断,そしてこれまで以上に高度な連携が求められるようになっている.
がん診療は,もはや特定の臓器や単一の専門職だけで完結するものではない.臓器横断的な視点に加え,医師,看護師,薬剤師をはじめとする多職種が,それぞれの専門性を活かしながら協働し,患者一人ひとりにとって最善の医療を提供することが不可欠な時代となっている.医師が一人で「何でも担う」時代は終わり,専門的なメディカルスタッフとチームとして医療の質を高めていくことが,がん診療の根幹となりつつある.
東京大学医学部附属病院においても,こうした流れを背景に,2022年12月に腫瘍センターが設立された.これまで各診療科で個別に行われてきた主に入院での化学療法を一つの病棟に集約し,より質の高い,より安全ながん診療を目指す体制が整えられている.腫瘍センターでは,医師のみならず看護師や薬剤師を含めた多職種によるカンファレンスを毎日実施し,その日の治療目的や課題,疑問点を共有しながら診療にあたっている.
本書の基盤となった「がん医療アップデートシリーズ」は,東京大学医学部附属病院腫瘍センターが主催し,2023年4月より開始されたセミナーである.若手から中堅の医療従事者を主な対象とし,支持療法を含むがん診療に関わる実践的なテーマを取り上げてきた.各回の前半では当該分野を専門とする医師が最新の知見や考え方を提示し,後半では院内でその領域を担うメディカルスタッフが,実臨床に根ざした取り組みを共有する構成としている.本セミナーの特徴は,単なる情報共有にとどまらない点にある.日々の臨床で生じる「なぜ」「本当にこれでよいのか」といった疑問を出発点とし,セミナーを通じて課題を可視化し,PDCAサイクルを回しながら診療やマニュアルを更新していくことを目標としてきた.この取り組みでは,得られた知見や改善点を翌年以降のセミナーで再検証し,アップデートしていく循環を大切にしている.
本書は,2023年度および2024年度に実施されたセミナーの内容を中心に,これまで共有されてきた知見や経験を,多職種で共有できる形でまとめた実践ガイドである.本書を手に取ってくださった皆様の日々の臨床において,少しでも考えるきっかけとなり,チーム医療を実践する一助となることを心より期待している.
2026年3月
東京大学医学部附属病院 臨床腫瘍科/ 腫瘍センター 副センター長
石垣和祥
1 がん診療におけるチーム医療(チームオンコロジー)
2 細胞障害性抗がん剤
3 分子標的薬
4 免疫チェックポイント阻害薬と免疫関連有害事象
5 放射線治療
6 がん疼痛の緩和
7 栄養療法
Ⅱ 副作用への対応
1 制吐療法
2 骨髄抑制のマネジメント
3 皮膚障害のマネジメント
4 多職種連携によるがん口腔支持療法-口腔粘膜炎の予防と管理-
Ⅲ 注意すべき合併症とその対応
1 がんと糖尿病
2 がんと血栓症
3 がんと感染症
4 がんと悪液質
Ⅳ 患者に寄り添ったがん治療の実現に向けて(ケア・コミュニケーション)
1 がん医療における患者‒医療者間のコミュニケーション
2 がん医療における経済的毒性と時間的毒性
3 がん患者におけるせん妄対策
4 ACP(アドバンス・ケア・プランニング)
Ⅴ がんを取り巻く医療の現状と課題
1 がんゲノム医療
2 遺伝性腫瘍
3 AYA 世代のがん診療とチーム医療
4 高齢者のがん診療
5 在宅医療
索引