身体の構造と機能の理解が信頼されるピラティス指導に繋がる!
新刊基礎からはじめるピラティス理論
内容
序文
主要目次
2017年11月に刊行された『運動療法としてのピラティスメソッド』(文光堂)は,主にアスリートを対象としたピラティスの応用と実践を,運動療法の視点から体系的にまとめた専門書である.医学・医療系分野の専門書を数多く刊行してきた出版社より,ピラティスを主題とする書籍が出版されたことは,国内外においても極めて先駆的な試みであった.本書は刊行後,多くのピラティスインストラクターに参照されるのみならず,専門学校や教育機関において教科書として採用され,実践教育の現場においても一定の評価を得てきた.
近年,日本においては,いわゆる「第3次ピラティスブーム」と呼ばれる潮流の中で,従来のマット中心の指導形態から,リフォーマーをはじめとする各種マシンを用いたピラティスが急速に普及している.駅前や住宅地においても,マシンピラティス専門スタジオの看板を目にすることは,もはや珍しいことではない.しかしながら,この急激な普及の裏側で,ピラティスの根幹をなす解剖学的理解や運動学的原理,さらには本来の目的や適応を十分に理解しないまま指導が行われている現状も散見される.その結果,期待される効果が得られないばかりか,受講者に不適切な負荷を与え,外傷・障害や疼痛を引き起こしてしまう事例が報告されていることも否定できない.
約100年前に確立されたピラティスメソッドは,単なるエクササイズの枠を超え,時代とともに進化してきた.ジョセフ氏が行ってきたピラティスは当時コントロロジーと呼ばれ,いかに自身のことを知り,動きを知るか,という学問であるとされた.1950年代にエアロビクスは有酸素運動の概念を流行らせ,その後マシンやフリーウエイトを使った筋力トレーニングにより筋肉が増強できることを我々は知ってきた.今後のピラティスのあり方は身体を整える,という新しいものである.それは筋を理想的な長さに調整すること,効率的な筋運動を促し外傷・障害の予防,日常やスポーツのパフォーマンスを向上させることである.これにより,有酸素運動や筋力トレーニングを行う前,もっと言えば日常生活で活動する上でも身体を整える発想は新しいが必要不可欠な要素ではないかと思う.実際に私がパーソナルトレーナーとして活動していた時には,ピラティスを使って身体を整える指導を行うことで慢性的な肩・腰・膝の痛みが軽減され,アスリートのパフォーマンスも瞬く間に向上した.
本書はそのような指導が読者にもできるように機能解剖に基づいたピラティスの考え方や処方の仕方を基本から解説している.今の読者の運動指導のキャリアを向上させるためにも,ぜひ本書を熟読いただきピラティスを学ぶことを強くおすすめしたい.
本書が,これからピラティスを専門的に学ぼうとする学生,ならびに自身の身体機能の維持・向上を目的として,より深くピラティスを理解したいと考える方々にとって,信頼できる基本書として活用されることを願ってやまない.
最後に,日々のパーソナル指導および多忙な実務の中で執筆に尽力された杉山匡人先生,空敬太先生,そして前著に引き続き,ピラティスの機能改善への有用性と将来性に理解と期待を寄せ,本書の刊行を支えてくださった出版社の皆様に,心より深く感謝申し上げる.
2026年2月
桑原 匠司
PART1 ピラティスの歴史
PART2 ピラティスの原則
PART3 ピラティスの器具と活用法
PART4 機能解剖と身体のランドマーク
PART5 理想の姿勢とアライメント
PART6 身体の意識感覚
Ⅱ ピラティスの実践
PART7 ピラティスの呼吸
PART8 不良姿勢と改善エクササイズ
1 不良姿勢総論
2 スウェイバック姿勢の解剖学と改善エクササイズ
3 円背頭部前方変位姿勢の解剖学と改善エクササイズ
4 腰椎前弯姿勢の解剖学と改善エクササイズ
5 フラットバック姿勢の解剖学と改善エクササイズ
6 側弯姿勢の解剖学と改善エクササイズ
PART9 日常生活動作とピラティスによる運動療法
PART10 スポーツ傷害とピラティスによる運動療法
PART11 スポーツパフォーマンスとピラティスエクササイズ
PART12 ボディメイクとピラティスエクササイズ