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コアカリ完全準拠!

概説理学療法第2版

理学療法の原点とその展開

カバー写真
  • 編集:有馬慶美(新潟保健医療専門学校学校長)
  • B5判・256頁・2色刷
  • ISBN 978-4-8306-4530-3
  • 2015年12月17日発行
定価 5,500 円 (本体 5,000円 + 税10%)
あり
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内容

序文

主要目次

初版は理学療法の本質とその展開をわかりやすく解説した教科書として好評を博した.第2版は初版の意図を引き継ぎ,さらに日本理学療法士協会の卒前教育モデル・コアカリキュラムに完全準拠.学生が能動的に興味深く学べるよう工夫を盛り込んだ.①反転授業にも対応できる予習の頁を設けた.②CBL欄でディスカッションの基になる症例・事例を提示.③実験や実習など演習の具体例を解説.④復習のための3段階の確認問題を記載.
☆モノクロ写真36点,図版58点,表組60点
第2版 序文

 本書は,平成19年に嶋田智明先生の企画・編集により出版された「概説理学療法」の第2版である.初版には“本書を通じて,理学療法を原点から見つめ,そのすばらしさ,奥深さ,そして未知なる可能性を理学療法学生に学んでほしい” という思いが込められており,第2版においても,その“思い”は引き継がれている.
 理学療法士を志す学生が,まず初めに学ぶことは“理学療法とは何であるか” についてである.そこで学んだことは3年ないし4年間の理学療法に関する学修活動の“海図” となり,学ぶべき知識や技術,またそれを学ぶべき意味を指し示してくれる.解剖学や運動学といった基礎医学的な科目も,整形外科学や神経内科学といった臨床医学的な科目も,理学療法士が病める人々を支え,自立した生活へ導くためには有していなければならない必修の知識を提供してくれる重要な学修科目である.しかしながら学修の過程においては,その必要性を見失い,修得への努力を怠る学生も少なくない.このような状態はまさに“海図を持たずに,あてのない危険な航海に出ている”のと同じである.本書「概説理学療法」は“理学療法とは何であるか”をしっかりと学生諸君に修得させることが使命であり,理学療法に関する学修活動の“海図”となりうることを目指している.
 この第2版では,初版と同様に“理学療法とは何であるか” に関する知識の提供に加え,学生諸君が興味深くそれを学べるような工夫を施している.まずは反転授業に対応できるよう「予習のためのエッセンス」と,その予習で修得した知識を自己確認できよう「内容理解の問い」を設けた.「予習のためのエッセンス」には,その章で学ぶ内容の要旨をまとめてある.これにより学生は授業で学ぶ知識の全体像と基礎的な内容を前もって理解したうえで授業を受けることが可能となる.したがって,授業においては基礎的な内容から,さらに発展させて学ぶことができる.その発展的内容の学修のために「CBL」や「演習」を挿入している.「CBL」では,学ぶべき知識を深めるための症例や事例を提示し,それをもとにディスカッションができるように工夫した.一方,実際に体験した方がよい内容については,「演習」として実験や実習ができるように工夫した.さらに各章の末には,学んだことを復習し知識を定着させるための「復習のための確認問題」を設けた.確認問題は“Basic,Standard,Advance”の3つの段階づけを行い,知識を構造的に深化させられるようにした.このように第2版は,知識の羅列になりがちな“いわゆる教科書”から,学生諸君が能動的に,また興味深く学べるような“学修支援教材”を目指した点が他書との大きな違いである.
 また,第2版では,日本理学療法士協会の卒前教育モデルコア・カリキュラムに完全準拠することにより理学療法分野で必須の,そして標準的な知識を網羅した.これも学生諸君が安心して学べる“学修支援教材”への取り組みの一つである.
 最後に,初版の序文では“患者中心の,そして科学的根拠に基づく理学療法の展開のために,理学療法士には生涯わたる知識・技術の蓄積と貪欲なリサーチ・マインドが必要である”と述べられている.これはまさに,理学療法士のプロフェッショナリズムを表した一文である.そのような理学療法士になるためには,学生時代から“能動的に学ぶ姿勢”を身につけなければならない.本書が,その“学ぶ姿勢”の獲得に貢献できれば,これほどの喜びはない.

平成27年12月
編者 有馬慶美
第1部 専門職としての理学療法
 1.理学療法の定義・役割・歴史
  1.理学療法とリハビリテーションの関係とは?
  2.わが国の法律では,諸外国と比較して,理学療法はどう定義されているのか
  3.理学療法士に求められるものとは?
  4.医療専門職としての理学療法とは?
  5.理学療法士はどんな仕事をするのか?
  6.理学療法の歴史
 2.理学療法に求められる倫理と哲学
  1.理学療法士に必要な倫理観とは
  2.哲学の必要性
 3.理学療法関連法規・諸制度
  1.社会保障制度とは〜社会生活の継続を保障する制度である〜
  2.理学療法に関連する社会保険制度は? 〜医療保険と介護保険〜
 4.理学療法の過程
   〜問題解決としての理学療法過程〜
  1.理学療法過程とは〜問題解決の過程そのものである〜
  2.理学療法過程の各フェイズの目的と手段
 5.チーム医療と関連職種
  1.リハビリテーションチームの重要性
  2.リハビリテーションチームにおける関連職種への理解
 6.管理・運営とリスクマネジメント
  1.なぜ,「管理・運営とリスクマネジメント」が必要とされるのか
  2.医療事故とは
  3.医療事故を起こさない,起こっても被害を最小限に抑えるには
  4.組織としての安全管理
 7.理学療法士の組織
  1.わが国における理学療法士の職能・学術研究団体
  2.世界における理学療法士の団体
 8.理学療法士の養成課程
  1.理学療法士の養成課程
  2.理学療法士になるための学びの技法
 9.理学療法の研究領域と研究方法
  1.理学療法における研究の位置づけ
  2.理学療法の研究領域
  3.研究デザインの分類
  4.研究の進め方
  5.EBPTにおける研究の位置づけ
 10.EBPTとリーズニング
  1.「エビデンスに基づく」と「リーズニング」の意味
  2.EBPTの定義と一連の行動様式
  3.理学療法におけるクリニカルリーズニング
第2部 理学療法の介入体系
 1.運動療法【演習】
  1.運動療法の基礎
  2.基本的な運動療法を体験しよう
 2.物理療法【演習】
  1.物理療法とは
  2.物理療法を体験してみよう
 3.義肢装具【演習】
  1.義肢装具を用いたリハビリテーションにおけるチームアプローチの重要性
  2.義肢装具の概略
  3.義肢装具を用いたリハビリテーションにおける理学療法介入
  4.装具装着による関節の固定が動作に与える影響について体験してみよう
 4.日常生活活動【演習】
   〜理学療法士がとらえるべき日常生活活動とは〜
  1.ADLとは〜QOL向上の一つの要因である〜
  2.患者の動作を体験してみよう
第3部 理学療法の領域
 1.筋骨格系理学療法
  1.筋骨格系理学療法の対象は?
  2.主な筋骨関節系障害の理学療法
 2.神経系理学療法
  1.神経系理学療法の概念とねらい
  2.神経系理学療法の対象
  3.神経障害の回復プロセスと機能回復予後に影響する因子
  4.神経系理学療法の基本的原則
  5.神経系理学療法の代表的な介入方法
 3.内部系理学療法
  1.内部障害の概念とは
  2.主要な内部障害の分類と障害像が説明できる
  3.内部系理学療法の主な対象疾患の概要が説明できる
 4.地域理学療法
  1.地域理学療法とは
  2.地域理学療法の歴史
  3.地域理学療法の対象と目標
  4.地域理学療法における課題解決とは
  5.地域包括支援の中で
第4部 理学療法を支える基礎学
 1.生体力学と関節運動【演習】
   〜ヒトの身体の因果関係〜
  1.ヒトの身体(からだ)のつり合い〜「力」の正体を見きわめる〜
  2.重力,反力そして関節モーメントを可視化する
  3.理学療法士がしなければならないこと
 2.生体の観察・触診・計測【演習】
  1.生体の観察とは〜理学療法士の視覚を用いた状態理解〜
  2.生体の触診について〜理学療法士の触覚を用いた状態理解〜
  3.生体の計測について〜客観的指標を用いた状態理解〜
 3.筋力・持久力・疲労【演習】
  1.筋力
  2.持久力
  3.疲労
 4.姿勢と歩行【演習】
  1.姿勢の概要
  2.姿勢観察を体験してみよう
  3.歩行の概要
  4.歩行の指標を測ろう
 5.協調運動と運動技能【演習】
  1.協調運動の概要
  2.協調運動について円滑な運動に必要な要素を考えてみよう
  3.運動技能の概要
  4.運動技能について体感してみよう
 6.動作・活動分析(行為分析・作業工程分析)【演習】
  1.理学療法における動作分析を説明して行ってみよう
  2.理学療法における活動分析(行為分析,作業工程分析)を説明して行ってみよう
 7.運動発達【演習】
  1.運動発達知識の必要性
  2.運動発達の目的
  3.新生児から独歩獲得までの運動発達を体験してみよう
  4.独歩獲得後の運動発達
 8.運動学的分析【演習】
  1.運動学的分析(動作分析)とは
  2.運動学的分析の流れ
  3.歩行における運動学的分析
 9.痛みの病態メカニズム
  1.痛みと理学療法の関わり
  2.痛みの体系
  3.痛みの受容器と伝導路
  4.痛みの悪循環
  5.痛みの鎮痛と増幅
 10.関節可動域制限の病態メカニズム
  1.関節可動域制限について
  2.拘縮の分類
  3.各拘縮の病態メカニズム
  4.関節強直の分類
  5.各強直の病態メカニズム
 11.筋力低下の病態メカニズム
  1.理学療法と筋力低下
  2.筋組織について
  3.筋力低下の病態
  4.筋力低下と筋出力低下の違い
  5.筋力増強のメカニズム
 12.創傷・靱帯損傷治癒のメカニズム
  1.創傷治癒のメカニズム
  2.靱帯損傷治癒のメカニズム
 13.脳の可塑性と運動・動作障害
   〜脳血管障害に対するリハビリテーションを中心に〜
  1.脳血管障害に対するリハビリテーション
  2.脳の可塑性
  3.ニューロリハビリテーション
付録(資料)
索引