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介入の可能性の広がりを実感!理学療法における「運動のつながり」の重要性を学び役立てられる1冊!!

運動のつながりから導く姿勢と歩行の理学療法

カバー写真
  • 編集:千葉慎一(ウェルケアわきた整形外科)
  • B5判・232頁・2色刷
  • ISBN 978-4-8306-4587-7
  • 2020年12月10日発行
定価 4,620 円 (本体 4,200円 + 税10%)
あり
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内容

序文

主要目次

不良姿勢や歩行異常の原因は様々であり,外見上は同じ姿勢,歩容であってもその原因は同じとは限らない.本質的な原因を探し出して結果の出る理学療法を行うためには,様々な部位(関節)から診た姿勢や歩行を考える必要がある.本書では「運動のつながり」に着目し,様々な部位・アプローチ方法を通した「姿勢と歩行」の捉え方や評価,介入プログラムを存分に紹介.さらに,著者の臨床実践の様子をWEB動画で分かりやすく解説している.


 人の身体は多数のパーツが連結して一つの形を形成したものです.ゆえに,人の動作は,複数の関節運動が参加することではじめて遂行されます.例えば,テーブルの上にあるグラスを手に取る場合,手をグラスまで到達させるために肩関節で方向を調整し,肘関節で距離を調整して,はじめて手でグラスを把持することができます.このような関節間で行われる調整は意識的に行われるものではなく,動作を行おうとしたときに自然に行われています.これが「運動のつながり」です.人の動作はすべて「運動のつながり」により遂行されるため,一部の関節運動に異常が生じると,目的を達成する(グラスを手に取る)ために,無理を強いられる関節が出てきます.このような考えのもとにまとめたのが,前書『運動のつながりから導く肩の理学療法』です.
 「運動のつながりから導く…」このような考え方は,私が運動器疾患患者の治療を行う際の基本となっています.この考え方は「ここが弱いから強化しよう」「ここが硬いから柔らかくしよう」「ここが緊張しているから弛めよう」という考え方ではなく,「なぜ,ここに力が入らないのだろう?」「なぜ,ここが硬くなったのだろう?」「なぜ,この部分が緊張しているのだろう?」というように,常に「なぜ?」を繰り返し,運動器疾患の根本的な原因を探し出すという考え方です.私はこのような考え方を昭和大学藤が丘リハビリテーション病院(以下,藤リハ)で学びました.
 当時の藤リハでは,患部とは全く違う場所にアプローチをして運動器疾患を治すということを当たり前のように行っていました.私も,そのやり方を真似しながら,「なぜ,障害が治ったのか?」「なぜ,そこにアプローチしたのか?」ということを常に考えるようになりました.そして,いつの間にか,「ここ(A)に痛みが出ているのは,ここ(B)が動かないからだ」「ここ(A)の動きを出すためには,ここ(B)の機能を改善する必要がある」というように考えられるようになっていました.そして,今ではこの「運動のつながりから導く…」という考え方が,私の理学療法に対する基本概念となりました.
 本書では,「運動のつながりから導く…」について「姿勢と歩行」をテーマにまとめさせていただきました.運動器疾患の原因として姿勢や歩行の異常は大きな要因になります.しかし,同じような姿勢や歩行を示していても,障害が現れる関節が異なることはよくあります.また,同じ姿勢異常,歩行異常が現れていたとしても,その原因は異なることもあります.本書には著者の先生方の経験に基づく臨床的な考え方が収められており,「姿勢と歩行」に対する様々な考え方やアプローチ方法があることを実感できると思います.姿勢異常や歩行異常を改善する方法は一つだけではありません.皆様の臨床の中で本書が何かのきっかけを作ることができれば幸いです.
 最後に,御多忙にもかかわらず,本書編集にあたり御協力いただいた先生方に深く感謝申し上げます.

2020年12月吉日
千葉慎一
Ⅰ 総 論

Ⅱ 身体各部から診る姿勢と歩行
 1 頚部から診る姿勢と歩行
 2 体幹から診る姿勢と歩行
 3 胸郭から診る姿勢と歩行
 4 肩関節から診る姿勢と歩行
 5 股関節から診る姿勢と歩行
 6 膝関節から診る姿勢と歩行
 7 足部から診る姿勢と歩行
 8 顎関節から診る姿勢と歩行

Ⅲ 姿勢と歩行に対する様々なアプローチ方法
 1 テーピング療法による姿勢と歩行へのアプローチ
 2 徒手療法による姿勢と歩行へのアプローチ
 3 足底板による姿勢と歩行へのアプローチ
 4  テンセグリティという概念に基づく姿勢と歩行へのアプローチ

索 引