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肝癌診療の全容を理解する!

Hepatology Practice  5

肝癌の診療を極める(電子版のみ)

基本から最前線まで

カバー写真
  • ゲスト編集:金子周一(金沢大学教授)
  • 常任編集:竹原徹郎(大阪大学教授)
  • 常任編集 持田 智(埼玉医科大学教授)
  • B5判・352頁・2色刷
  • ISBN 978-4-8306-1894-9
  • 2014年9月21日発行
定価 11,000 円 (本体 10,000円 + 税10%)
なし
在庫
電子版販売サイト

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内容

序文

主要目次

新しい造影剤による画像検査,ラジオ波焼灼療法(RFA)など,新しい診療技術の登場だけなく,肝移植の増加,分子標的治療薬の開発の進行など,肝癌診療の進化は着実に進んでいる.本書は,国内のトップクラスの研究者や臨床家の執筆により,肝癌診療を最新の基礎研究と臨床の最先端の両面から深く掘り下げ,肝癌の診療や研究の現在と将来像までを見通せる内容としている.肝癌診療に携わる臨床医には必携の一冊.
☆図版121点,表組65点,カラー写真6点,モノクロ写真74点

【Hepatology Practiceシリーズの概要】
10年後の肝臓病学を見据えて刊行した全5巻のシリーズ.消化器病学を学ぶ若手の医師,研究者が,肝臓病診療の現況とともに,その基盤となる研究成果から将来の展望まで見渡せるよう,ディベート,フロンティア,レクチャーなど様々な切り口から解説した.肝臓病の診療・研究の現状・展望を理解するのに必携のテキスト.
序 文

 ウイルス性肝炎の新規発生数が激減し,B型慢性肝炎の沈静化が可能となり,C型慢性肝炎に至ってはほとんどの症例でウイルスを排除できる時代を迎えつつある.肝炎ウイルス陰性肝癌の増加が気になるところであるが,我が国では肝癌の死亡数はピークを過ぎ,高齢化している.とはいえ,初発での飛び込み,いつか発癌するかもしれないと心配していたところの発癌,あるいは再発を繰り返しての患者など,今日も多くの患者が診療を受けている.急速に患者数が減少するとは考えられておらず,今後も多くの肝癌患者が適正で最良の医療を望んでいる.
 必ずしも適正で最良の医療が,最先端の医療であるとは限らないが,ほとんどは医学の進歩を背景にしている.そうであればこそ,医師は常に学んで最先端の医療を知っておく必要がある.医学が日々進歩していることは誰もが実感することであり,肝癌診療も進歩が著しい.情報が急速に肥大化していくなかで,医師は重要な知識をいかに効率よく探しだし,身につけて利用するか,そしてさらに発信していくかが問われている時代である.
 本書は“肝癌の診療を極める”というタイトルが付せられており,肝癌診療の最先端までをカバーしている.竹原徹郎先生,持田智先生のご助言をいただいて,章立てを行い,専門の先生にご執筆をいただいた.自覚していたことであるが,自分が肝癌を専門にしているというものの,そのまた専門に分かれた先生が書かれた内容を拝読すると,つくづく肝癌の医学・医療が進歩していることがよくわかる.さらに本書ではレクチャー,トピック,フロンティアと,わかりやすく重要なポイントが取り上げられている.肝癌を専門とする先生方も,患者の必要に応じて,あるいは先生方の教育や研究に応じて,本書を参考にしていただくことが適しているように思う.本書には世界で最も優れた肝癌診療を行っている知識のエッセンスが詰め込まれている.
 同時に,本書は“基本から最前線まで”の副題が付けられている.基本編に基礎的なことが記載されているだけでなく,診断編と治療編の記載も,専門の先生方がわかりやすく基本を書いておられる.そういう意味で本書は,肝癌の領域に新しく飛び込んでこられた先生方にも,わかりやすく章立てがなされ書かれている.肝癌に限らないが癌の治療は次々と新しい方法が導入されていく.発癌および再発の予防,安全で有効性の高い治療法の開発など,これから肝癌診療がダイナミックに変わろうとしている.そうした治療法の理論的背景と実践がわかりやく書かれている.
 本書が多くの肝癌患者のためになること,そして先生方のお役にたてることを祈っている.最後に,竹原,持田両先生,そしてご多忙にもかかわらずご執筆をいただいた先生方に心より感謝申しあげます.

平成26年8月
金子周一
Ⅰ.基本編 〜肝癌を診る前の基礎知識〜
  1.原発性肝癌の種類
  2.肝癌の疫学
  3.ウイルス肝炎からの発癌
  4.非ウイルス性肝疾患からの発癌
  5.発癌リスクの推定
  6.発癌抑制
   TOPIC 職業性胆管癌
II.診断編
 A.肝細胞癌編
  1.超音波検査
  2.腫瘍マーカー
   TOPIC 肝癌の新しいバイオマーカー
  3.CT
  4.MRI
   TOPIC 肝細胞癌におけるトランスポーター発現
  5.血管造影下CT
  6.核医学検査
  7.腫瘍生検
  8.病理診断
  9.肝予備能の評価:内科
  10.外科における肝予備能の評価─ICG,GSA-SPECTを中心に─
  11.乏血性腫瘍の取り扱い(診断と治療)
   Lecture 肝機能低下例,腎機能低下例,透析症例における画像診断
  12.鑑別を要する多血性病変:画像診断のポイント
  13.鑑別を要する多血性病変:病理診断のポイント
  14.サーベイランス
  15.診断フローチャート
 B.その他の原発性肝癌
  1.画像診断
  2.病理診断
III.治療編
 A.経皮的治療
  1.経皮的局所療法とは
  2.ラジオ波焼灼療法(RFA)における電極
  3.ラジオ波焼灼療法(RFA)の工夫
  4.ラジオ波焼灼療法(RFA)の治療効果判定
 B.経カテーテル治療
  1.肝動脈化学塞栓療法(TACE)
  2.肝動脈化学塞栓療法:抗腫瘍薬と塞栓物質の選択
   TOPICビーズとは
 C.化学療法・分子標的薬
  1.化学療法
  2.ソラフェニブ
   TOPIC 分子標的薬との併用療法
   TOPIC 化学療法の治療効果判定
   Frontier 分子標的薬の開発状況
 D.肝切除
  1.肝切除の概要
  2.腹腔鏡下肝切除
  3.肝切除の合併症とその対策
 E.肝移植
  1.肝移植の概要
   Lecture ドナーの選定とグラフトの選定
   TOPIC わが国の脳死肝移植は肝細胞癌治療に寄与しているのか
   Lecture 肝移植における拒絶反応と免疫抑制薬の使用方法
 F.放射線療法・粒子線療法
  1.放射線治療
  2.粒子線療法
 G.肝細胞癌の治療選択
  1.治療選択に必要なパラメータ
   Debate 肝切除vs経皮的治療
   Debate 多発例に対する治療選択
   Debate 脈管侵襲を有する症例に対する治療選択
   Debate TACE併用RFA
   TOPIC 予後規定因子
   Frontier 肝細胞癌治療の個別化〜生物学的悪性度の治療前評価〜
  2.治療選択のフローチャート
 H.再発抑制を目指した治療方針
  1.ウイルス肝炎に対する治療介入
  2.肝庇護療法
   TOPIC アジュバント療法の現況
  3.再発サーベイランス
 I.肝細胞癌以外の肝癌の治療
  1.肝内胆管癌に対する外科切除
  2.内科的治療
IV.肝癌を理解するための基礎研究
  1.SNP,GWAS
  2.whole genome sequence(全ゲノム解読)による肝癌の解析
  3.stem cell
  4.分子標的薬の作用機序
  5.免疫療法