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血液形態学のバイブルが最新知見を盛り込み全面大改訂!

血液細胞アトラス第6版

カバー写真
  • 編集:通山 薫(川崎医科大学教授)
  •     張替秀郎(東北大学大学院教授)
  • B5変型判・432頁・4色刷
  • ISBN 978-4-8306-1426-2
  • 2018年2月発行
定価 11,000 円 (本体 10,000円 + 税)
あり
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※電子版の購入方法は,各販売サイトにてご確認ください.

正誤表

内容

序文

主要目次

1971年の初版以来,血液疾患診療に携わる医師や臨床検査技師,学生の絶大な支持を得ている血液形態学のバイブル,14年ぶりの大改訂.正常像から,典型症例や最近注目されている症例の細胞像まで,豊富な細胞写真を掲載した,血液細胞の「大辞典」.骨髄病理,リンパ系腫瘍,免疫学的所見も充実.研究,臨床,学習にと,手元に置いて使い込んでほしい.

第6版の序

 東京大学教授・三輪史朗先生が中心となって著された『血液細胞アトラス』(文光堂)は,1971年に初版が刊行されて以来,各世代の医学生,臨床検査科学生の教科書・参考書として,さらに血液学に関わる医療人にとっては座右の図譜として重用されてきた.顕微鏡で血液標本を観察するとき,『血液細胞アトラス』は常に顕微鏡の傍らにあって,血液疾患患者の診断や病状評価における基準となり,ときには決定的ともいえる示唆を与えてきたに違いない.
 しかしながら,本書は2004年に刊行された第5版をもって三輪史朗・渡辺陽之輔両先生の遺作となり,その後10年余りが経過した.一方この間に,分子生物学・遺伝子医学の進歩,さらに情報科学技術のすさまじい発展に伴って,血液学の世界も大きな変貌を遂げ,網羅的遺伝子・蛋白解析の果実が血液疾患の診断と治療の世界にも変革と恩恵をもたらしつつある.このようなうねりの中で,血球形態学の意義が霞んできたのではないかと思われる向きもないわけではない.
 そのような意見には尤もな部分もあると思われるが,そもそも医学の基盤を成す病理学は形態学を主体としており,病因・病態はしばしば形態学上の変化をもたらすことが帰納的に理解されている.血液学もまた然りであり,遺伝子の異常がときとして血球形態に反映されることが多数の症例解析から次第に見えてきた.急性前骨髄球性白血病や5q-症候群などは,形態を見ればその遺伝子異常がおよそ推定される.つまり,形態を見れば,その疾患の分子レベルでの実態が想定できるということである.これらはgenotypeとphenotypeの見事な合致例と言えよう.
 かような折に,文光堂出版部の方々が当方を訪ねて来られた.依頼内容は『血液細胞アトラス 第6版』を世に出すことであった.三輪・渡辺両先生への敬意もさることながら,手元にある第5版の完成度があまりに高かったため,その改訂に手をつけることなど思いもよらなかったが,このままでは名著『血液細胞アトラス』は絶版の憂き目に遭うという事情に鑑みて,自分の力及ばぬことを承知の上でお受けすることとした.
 そこで,ぜひ片棒を担いでいただける方をと思い,血液学分野で指導的立場におられ,かつ臨床検査・検査血液学にも造詣が深く,経験豊かな東北大学・張替秀郎教授に共同編集をお願いしたところ,ご快諾いただくことができた.執筆陣には血液学のエキスパートの先生方に入っていただき,内容の一新を図った.また,検査現場で日々活躍され,私にとっても気のおけない「検査血液仲間」の方々にも執筆や貴重な画像提供など,多々ご協力をいただいた.
 その結果,新たな素晴らしい細胞画像に恵まれることになったが,第5版に掲載されていた稀有な症例をはじめとする至高の画像のいくつかについては,了解のもと積極的に再活用させていただくこととした.一方,第5版の特長でもあった数多の電子顕微鏡画像は渡辺先生ならではのものと伺っているが,第6版では電子顕微鏡画像を診断上必要最小限度に留めたことをご了承いただきたい.むしろ,第6版では骨髄病理やリンパ系腫瘍に力を入れ,血球形態学と第6版の序の関連,免疫組織染色所見にも一部踏み込むことになったが,これらは骨髄病理,リンパ系腫瘍のご専門の先生方のご尽力の賜物である.
 ところで,分担執筆をお願いしていた2016年に造血器腫瘍のWHO分類が改訂され,さらに2017年11月に正式な単行本刊行となるに及んで, なるべく最新情報を盛り込むべく該当各章の執筆者の方々にご無理をお願いし,内容改変など新たな負担をお掛けする展開となった.先生方のご苦労に深謝申し上げる次第である.本書の発刊時期がいささかずれ込んだのは,かような事情にあったことをご了解いただきたい.
 このように実に多くの,現在わが国において血液学を牽引しておられる方々のお力添えの結果,本書を世に出すことができた.これは血球形態学を自身のテーマとしてきた編集者にとって無上の喜びであるが,その反面,至らぬ部分,改善すべき箇所等々も少なからずあると思われ,それらは編集者の責任とするところである.文光堂の担当の方々にはたいへんな忍耐と膨大な通信・編集作業をお願いした.心から感謝申し上げる.
 本書は診療,検査,教育等,随所で活用されてこそ存在意味がある.血液学に携わられる方々におかれては, ぜひ本書を傍らに置いて,21世紀における血球形態学の意義,重要性,そして魅力を十分に感じていただければ幸いである.

2018年1月 編集者を代表して
通山 薫

I 血液細胞のみかた
 1 血液細胞の基本構造
 2 塗抹標本作製および血液の普通染色法
 3 血液の特殊染色(細胞化学染色)
 4 塗抹標本のみかた
 5 骨髄穿刺と骨髄生検:その適応と限界
 6 骨髄穿刺液組織切片標本のみかた
 7 骨髄病理組織標本のみかた
II 血液細胞の分化と解析法
 1 造血幹細胞の分化機構
 2 鉄代謝
 3 染色体・遺伝子の解析技術
 4 白血病のゲノム解析
 5 フローサイトメトリーを応用した造血器腫瘍の解析
 6 骨髄系腫瘍の分類(WHO分類2017年改訂第4版)
 7 リンパ系腫瘍の分類(WHO分類2017年改訂第4版)
III 末梢血および骨髄における正常血液細胞の観察
 1 正常末梢血にみられる細胞
 2 正常骨髄にみられる細胞
  1) 骨髄赤芽球系細胞
  2) 骨髄顆粒球系細胞
  3) 巨核球系細胞
  4) 正常骨髄にみられるその他の細胞
IV 末梢血における異常血液細胞の観察
 1 末梢血赤血球の異常
 2 末梢血白血球の異常
 3 血小板の異常
 4 血液細胞の人工的変化
V 骨髄における異常血液細胞の観察
 1 骨髄赤芽球系の異常
 2 骨髄顆粒球系の異常
 3 骨髄リンパ球系の異常
 4 骨髄巨核球系の異常
 5 骨髄マクロファージ(組織球)の異常
VI 各種疾患における血液細胞形態学
A 赤血球系疾患
 1 鉄欠乏性貧血
 2 先天性溶血性貧血
 3 後天性溶血性貧血
 4 巨赤芽球性貧血
 5 再生不良性貧血
 6 純赤芽球癆
 7 小児の骨髄不全症(CDAを含む)
 8 続発性貧血
 9 感染性疾患における血液像
B 白血球系疾患(造血器腫瘍を除く)
 1 顆粒球減少症
 2 伝染性単核球症
 3 血球貪食症候群
C 骨髄系腫瘍
 1 骨髄増殖性腫瘍 1)
  2) 原発性骨髄線維症
 2 好酸球増加性腫瘍
 3 骨髄異形成/骨髄増殖性腫瘍
 4 骨髄異形成症候群
 5 急性骨髄性白血病
 6 治療関連骨髄性腫瘍
 7 Down症候群関連骨髄増殖症
 8 芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍
 9 系統不明な急性白血病
D リンパ系腫瘍
 1 急性リンパ性白血病(前駆リンパ球性腫瘍)
 2 慢性リンパ性白血病および類縁疾患 1)
  2) ヘアリー細胞白血病
 3 濾胞性リンパ腫
 4 脾辺縁帯リンパ腫
 5 マントル細胞リンパ腫
 6 びまん性大細胞型B細胞リンパ腫,非特定型
 7 血管内大細胞型B細胞リンパ腫
 8 未分化大細胞型リンパ腫,ALK陽性
 9 Burkittリンパ腫
 10 末梢性T細胞リンパ腫,非特定型
 11 アグレッシブNK細胞白血病,節外性NK/T細胞リンパ腫,鼻型
 12 成人T細胞白血病/リンパ腫
 13 MYCおよびBCL2とBCL6の両方か一方の再構成を伴う高悪性度B細胞リンパ腫
 14 古典的Hodgkinリンパ腫
 15 多発性骨髄腫,Waldenströmマクログロブリン血症,および類縁疾患
E その他の疾患における骨髄所見
 1 代謝性疾患,蓄積病
 2 非造血器腫瘍細胞の骨髄浸潤
コラム 三輪先生の思い出
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