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すべてのリハ臨床場面で使える・役立つフィジカルアセスメントの臨床推論とその実践

リアルフィジカルアセスメント(電子版のみ)

リハ臨床のためのケーススタディ

カバー写真
  • 編著:星 孝(新潟医療福祉大学准教授)
  • B5判・200頁・2色刷
  • ISBN 978-4-8306-4546-4
  • 2016年8月19日発行
定価 4,400 円 (本体 4,000円 + 税10%)
なし
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内容

序文

主要目次

本書ではセラピストが関わる様々なリハビリシーンのフィジカルアセスメントの実践を紹介.第1部では,17の症例を取り上げ,各事例の評価やその後の対処・対応において,何を観察し,推察し,どの診療技術を用いて,どのように解釈し,判断したのかといった臨床推論の過程をベテランセラピストが紐解く.第2部ではフィジカルアセスメントに必要な基本的な観察項目や解釈例を解説.リハ臨床に従事する全てのセラピストにとって必読の一冊.
はじめに

 フィジカルアセスメントとは,身体診察の基本技術を利用しながら患者さんの状況を判断する診察であり,考察です.本来,全身的なスクリーニングからヘルスアセスメントに至る広い概念に及びますが,リハビリテーションの臨床においては療法の安全な実施や患者さんの療養環境の維持につなげる目的で,セラピストは部分的な活用を行っています.
 フィジカルアセスメントの能力はbasic clinical medicationに位置するものであり,この能力は,リハビリテーションにかかわる職種において決して特別なものではなく,基本として保有すべき力であると私は考えています.また,この力が必要とされる場面は,病院,介護保険施設,在宅訪問など,リハビリテーションの診療場面すべてに存在しているといえます.しかしながら,近頃リハビリテーションの世界で,フィジカルアセスメントの力が重要であるということがあえていわれるようになりました.その背景には,臨床や在宅においてフィジカルアセスメントをする場面が通常にありながら,必要な状況の認識に及べないこと,あるいは場面に見合った判断や考察がうまくできない状況が存在していることが考えられます.したがって,臨床者の再認識を促すために,あるシーンの実践とその解釈や判断を表出していくことは非常に重要であり,また必要であると考えました.
 本書では,セラピストがかかわるさまざまなリハビリテーションシーンのフィジカルアセスメントの実践を紹介します.第1部では,遭遇する事例の評価やその後の対処・対応において,何を観察し,推察し,どの診察技術を用いて,どのように解釈し,判断したのかといった臨床推論の過程をひも解いていきます.これが本書のメインです.第2部ではフィジカルアセスメントに必要な観察項目や解釈例の章を設けました.
 第1部において執筆をお願いした方々は,目的を持った問診技術と洗練された診察技術のうえに,データや情報の意味を関連づけ統合する力,そして高い洞察力と判断力を有しています.そしてまた,自らの足りなさをも自覚し,日々の反省をさらに前進の力にしている方々です.一話ごとに充実しており,はからずも私が最も勉強させていただきました.
 さて,読者の皆さんに断っておきたいことがあります.それは,示された判断や解釈は決して回答ではないことに留意いただきたいということです.各シーンは,執筆者が行った一連のリハビリテーションサービスのうちのごく短時間の頭の中の思考を切り取ったものです.それにより,リアルなフィジカルアセスメントの軌跡をみせることを意図しました.よって重要なのは,臨床の中でフィジカルイグザミネーションをどのように活用し,アセスメントにつなげたのかという軌跡であり,ストーリーとして共感をしながら,本書の第2部やフィジカルアセスメントの既刊書を合わせもって,再度内容に戻っていただけたらと思います.
 最後に,本書を手にするセラピストの皆さんには,普段行われているリハビリテーションの中に実は随分とフィジカルアセスメントが必要な場面があり,フィジカルアセスメントの能力の高さが,リハビリテーションの加療展開に大きな影響を与えることを認識していただきたいと願います.そして,その能力を読者の皆さんが意識的に利用することがかない,実施するリハビリテーションにおいて一層の良好な対応ができることにつながるのなら,本書を編集した私にとって幸せに思います.

2016年7月
星  孝
はじめに
第I部 ケーススタディ編
場面 病院(回復期)
 1 在宅酸素療法加療者が肺炎罹患し,在宅にリカバリーした症例
 2 呼吸リハビリテーション目的で入院した重度の慢性閉塞性肺疾患の症例
 3 低心機能と頻脈性不整脈があるが,病棟トイレ歩行を許可した症例
 4 脳卒中片麻痺患者が慢性硬膜下血腫を発症し,リハビリテーションが中断した症例
場面 病院(外来リハ)
 5 左足の引きずり歩行から左大腿腸管動脈の狭窄に気づいた症例
 6 高校生生活最後の大会出場を目指した腰椎分離症の症例
 7 治療経過とともに歩容の悪化を呈した両側変形性膝関節症の症例
場面 病院(急性期)
 8 亜急性心筋梗塞に伴う心不全の増悪をきたした高齢症例
 9 交通外傷による肺挫傷の悪化を回避できた陳旧性脳梗塞の症例
 10 高齢2型糖尿病患者がシックデイで入院し,理学療法場面で低血糖を認めた症例
 11 急性腎障害を伴う急性心不全により腎代替療法を要した症例
 12 肺炎に対する積極的な排痰ケアが奏功した多系統萎縮症の症例
場面 老人保健施設(入所リハ)
 13 MRI所見で麻痺を判断されなかったが,症状から不全片麻痺と判断した症例
場面 通所介護施設
 14 デイサービスにおいて失神への対応を要した症例
場面 在宅(訪問リハ)
 15 癌罹患の在宅療養において,便秘への対応を行った症例
 16 風邪症状の高齢者が短期集中訪問リハにより活動参加が可能となった症例
 17 嚥下の残存機能を最大限に活用できた仮性球麻痺型ALSの症例
第II部 基本技術・知識編
 1 セラピストが行うフィジカルアセスメント
 2 バイタルサイン
 3 顔(目と口)
 4 嚥 下
 5 頸 部
 6 胸部(呼吸視点)
 7 胸部(循環視点)
 8 腹 部
 9 四 肢
 10 ランドマーク(指標)
索 引