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腰痛患者の病態と障害程度を適切に評価し,最適な対処を行うため実践ガイド!

新刊

腰痛のプライマリ・ケア

腰痛者と向き合う時の必携書

  • 著:金岡恒治(早稲田大学教授)
  •    成田崇矢(健康科学大学教授)
  • B5判・124頁・2色刷
  • ISBN 978-4-8306-1025-7
  • 2018年10月発行
定価 3,240 円 (本体 3,000円 + 税)
あり
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内容

序文

主要目次

腰痛は人類の8割以上が人生で一度は経験する症候であり,内科外来においても内科疾患と合わせて腰痛を訴える患者は多い.本書では,整形外科外来はもちろん,総合診療科や一般内科外来において患者数の多い腰痛,すなわち障害程度が低いものの日常の診療で診る機会が多い腰痛を中心に解説されている.特に腰痛のプライマリ・ケアで求められる“震源地(=病態)と震度(=障害程度)”の適切な評価方法と最適な対処方法について,運動器を専門としない臨床家が理解・実践できるよう,平易な表現で紹介されている.

序文

 人類は二足歩行機能を持ち,上肢を自由に使うことで文明を発展させてきました.その代償として,腰には日常的に物理的負荷が加わり続け,腰痛は人類の8割以上が人生で一度は経験する症候となっています.
 一言で腰痛といっても,その震源地(病態)は人によってさまざまであり,その対処方法も異なります.誰かに有効であった方法が,ほかの人には効果がないということはよく経験することです.そのため腰痛者の1人ひとりの病態を把握することが求められますが,画像検査で見ることのできる病態は少なく,もし見えてもその病態が真の震源地ではない可能性もあります.しばらく前に喧伝された,“ 腰痛の8割は原因不明” というのは,画像検査で見ることのできる腰痛の病態は2割程度であるという意味です.
 腰痛者1人ひとりの病歴を詳細に聴取し,どの動作で痛みが出るのか,どこに圧痛があるのかを診れば,ほとんどの腰痛の震源地を推定することができます.詳細な画像検査や組織学的検査を行わなければ,真の病態診断にはならない,という方もいるかもしれません.しかし,手術などの侵襲的治療を必要とするほどではない腰痛はさまざまな診察所見から病態を推定して,その病態に最適な対処方法を示し,それを実践させることで改善していきます.今の腰痛診療界の大きな問題は,簡単に行える最低限の評価を行わずに画像所見のみで病態不明と決めつけ,効果のない物理療法や中枢にまで作用する薬を使って治したつもりになっているところにあるのではないでしょうか.
 腰痛の重症度には,動作時の違和感程度の軽いものから,睡眠を妨げるほどの激痛までさまざまな震度(程度)があります.このため腰痛を主訴に受診している患者に対して,臨床家はその病態の部位を推定するとともに,その障害程度を評価し,現状に合った最適な対処方法の提示が必要です.
 このように腰痛の“ 震源地と震度” を適切に評価することが腰痛のプライマリ・ケアには求められます. 
 従来の整形外科教科書による腰痛の解説は,障害程度の高い病態について詳述されていますが,障害程度が低いものの日常の診療で診る機会が多い腰痛については良い成書がありませんでした.本書は整形外科外来のみならず,総合診療科や一般内科外来において腰痛を診る際や,スポーツや教育の現場において腰痛者を評価する機会のあるトレーナーや養護教諭にも活用できるように,平易な言葉での解説を心がけました.本書の情報が広まり,初診時に適切に病態と障害程度が評価され,最適な対処が行われるようになることで,難治性の慢性腰痛に進展し,医療機関を徘徊する,いわゆる“ 腰痛難民” がいなくなることを期待します.

2018年10月
金岡恒治

I 腰痛の病態を評価しよう!─病巣の3次元的位置推定─
 1 プライマリドクターの診察手順
  1 問診
  2 脊柱所見
  3 圧痛点
  4 追加のテスト
  5 腰痛者の機能的な分類(アルゴリズム)
  6 腰痛診察手順のシステム化
 2 整形外科医による専門的評価
  1 画像検査
  2 ブロック注射
  3 徒手療法を用いた評価(疼痛除去テスト)
II 腰痛の障害程度を評価しよう!─重症度の評価─
 1 運動器の組織障害の進行
 2 脊柱の正常な機能と加齢に伴う変化
  1 脊椎の分節挙動
  2 脊柱の加齢性変化
 3 腰部障害のステージ分類
 4 整形外科にコンサルトしなければならない症候は?
 5 手術が必要となる可能性のある病態は?
III 腰痛の病態を理解しよう!─さまざまな腰痛の病態解説─
 1 腰椎の解剖と機能─機能的安定性と構造的安定性─
 2 機能的腰部障害の病態理解
  1 椎間板性腰痛
  2 椎間関節性腰痛
  3 仙腸関節性腰痛
  4 筋性腰痛
  5 棘突起インピンジメント障害
 3 器質的腰部障害の病態理解
  1 腰椎分離症(椎弓疲労骨折)
  2 腰椎椎間板ヘルニア
  3 変形性脊椎症
  4 脊柱管狭窄症
IV 腰痛が発生した原因を追求しよう!─腰痛発生メカニズムの理解─
  1 体幹安定化機能不全による腰部障害発生メカニズム
  2 身体の屈曲伸展挙動不全による腰部障害発生メカニズム
  3 股関節運動不全による腰部障害発生メカニズム
  4 姿勢不良による腰部障害発生メカニズム
  5 スポーツ活動に必要な身体機能とその機能不全による腰部障害
V 腰痛の病態別の運動療法を指導しよう!─病態別の腰痛体操─
 1 すべての病態に必要な基本機能(体幹深部筋機能改善)
  1 腹横筋の賦活化エクササイズ
  2 多裂筋の賦活化エクササイズ
 2 各病態に対する運動療法
  1 椎間板性腰痛の運動療法
  2 伸展型腰痛の運動療法
  3 仙腸関節障害の運動療法
  4 筋性腰痛の運動療法
  5 腰部脊柱管狭窄の運動療法
VI 日常生活での注意点を指導しよう!─腰痛の慢性化の予防─
  1 前屈動作の注意点
  2 伸展動作の注意点
  3 長時間の同姿勢の注意点
  4 心理的因子への注意点
VII エビデンスに則った対処をしよう!─さまざまな腰痛治療方法の有効性─
  1 安静加療
  2 薬物療法
  3 物理療法
  4 腰椎コルセット
  5 運動療法
  6 代替療法
  7 神経ブロック・注射療法
  8 脊椎固定手術
索 引