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約800点の病理写真と実践重視の解説で,非腫瘍性消化管疾患の病理診断の考え方がわかる!

非腫瘍性疾患病理アトラス

消化管

カバー写真
  • 編集:九嶋亮治(滋賀医科大学教授)
  • 編集 八尾隆史(順天堂大学教授)
  • 編集 牛久哲男(東京大学教授)
  • B5変型判・376頁・4色刷
  • ISBN 978-4-8306-0489-8
  • 2023年4月3日発行
定価 19,800 円 (本体 18,000円 + 税10%)
あり
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内容

序文

主要目次

炎症性疾患をはじめとした非腫瘍性消化管疾患は,多様な組織形態をとるうえに,病理診断では臨床情報も加味する必要があり,診断も一筋縄ではいかない.本書では実践を重視して,まず総論として「非腫瘍性」ならではの所見のみかたと鑑別診断の流れを解説.続く各論では,日常診断で遭遇しうる非腫瘍性消化管疾患のほとんどを網羅し,約800点の病理・内視鏡写真を提示して診断のポイントを解説.多彩な表情を見せる非腫瘍性消化管疾患の病理像を読み解き,診断の考え方が理解できる.


 日常の病理診断において,食道から直腸まで,消化管検体の占める割合は相変わらず高い.炎症性病変の質的診断を迫られる機会も増えているが,これまで,日本の消化管病理診断では癌・非癌の鑑別に注力されてきたきらいがあり,この領域の診断に苦手意識をもつ病理医が多い.

 多種多様な胃腸炎に対してGroup 1としか記載されていない症例もあれば,生検組織内に類上皮細胞肉芽腫や陰窩膿瘍があればそれぞれ短絡的にCrohn 病,潰瘍性大腸炎と診断されている場合もある.新興あるいは新知見に伴い疾患概念が確立されたものや,既知の疾患でも発生頻度が増加しより深く病態が解明されたものなど,新たに注目すべき種々の消化管非腫瘍性疾患が台頭している.

 「腫瘍病理鑑別診断アトラス」シリーズが日本の腫瘍病理診断における標準的なガイドラインとなることを目的として刊行され,多くの病理医や病理検査室の本棚に並んでいる.この度,「非腫瘍性疾患病理アトラス」シリーズが刊行されることになり,肺,腎臓に続いて本書,消化管編が出版される運びとなった.

 本書では総論として,正常組織を踏まえた鑑別診断のフローチャートを食道,胃,小腸と大腸の順に提示し,各論1,2,3として食道,胃と小腸・大腸に特有の疾患を掲載した.そして,各論4には消化管共通の疾患として,Ⅰ.感染症,Ⅱ.治療関連疾患,Ⅲ.沈着症,Ⅳ.その他,とする体裁をとった.日本の病理医が遭遇する非腫瘍性消化管疾患のほとんどが網羅され,あらゆる角度から学んで利用できるものを目指した.

 非腫瘍性消化管疾患に特化した教科書として,米国,英国から最近それぞれNon-Neoplastic Disorders of the Gastrointestinal Tract (AFIP Atlas of Tumor and Non-tumor Pathology, series 5)(American Registry of Pathology, 2021),Non-Neoplastic Pathology of the Gastrointestinal Tract:A Practical Guide to Biopsy Diagnosis(Cambridge University Press, 2020)が刊行されている.本書が,これらと比肩し,日本の消化管診断学の実情に即した新たなスタンダードになることを期待する.

2023年2月
九嶋亮治,八尾隆史,牛久哲男
総論 正常組織を踏まえた鑑別診断のフローチャート
 Ⅰ 食 道
  1 食道の組織像
  2 非腫瘍性食道疾患にはどのようなものがあるのか
  3 生検組織の見方・考え方のヒント
  4 浸潤する炎症細胞の種類から考える鑑別診断
 Ⅱ 胃
  1 非腫瘍性胃疾患の生検診断時に必要な情報
  2 知っておくべき胃粘膜の組織像
  3 非腫瘍性胃疾患の生検組織で拾い上げるべき所見
  4 胃生検診断のアルゴリズム
 Ⅲ 小 腸
  1 正常組織の確認とみるポイント
  2 鑑別診断の手順とフローチャート
 Ⅳ 大 腸
  1 正常組織とみるべき異常所見
  2 鑑別診断の手順

各論1 食道
  1 逆流性食道炎
  2 Barrett食道
  3 肉芽腫性食道炎
  4 剝離性食道炎
  5 腐食性食道炎
  6 皮膚病変関連食道病変─自己免疫性水疱症(天疱瘡,類天疱瘡)を中心に─
  7 食道静脈瘤
  8 食道アカラシア

各論2 胃
 Ⅰ.胃炎・胃症
  1 Helicobacter pylori 胃炎
  2 Helicobacter pylori 除菌後とプロトンポンプ阻害薬関連胃症の病理
  3 Non-H. pylori Helicobacter(NHPH)胃炎
  4 自己免疫性胃炎
  5 Chemical gastropathy
  6 肥厚性胃炎とMénétrier病
  7 肉芽腫性胃炎
  8 Collagenous gastritis
  9 リンパ球性胃炎
  10 Russell小体胃炎とcrystal storing histiocytosis
  11 リンパ腫様胃症/NK細胞胃腸症
 Ⅱ.胃の血管異常
 Ⅲ.胃潰瘍
  〔参 考〕炎症による粘膜と粘膜筋板の変化

各論3 腸
 Ⅰ.虚血性・血管性
  1 特発性虚血性腸炎
  2 特発性腸間膜静脈硬化症
  3 Enterocolic lymphocytic phlebitis(Mesenteric inflammatory veno-occlusive disease)
  4 Idiopathic myointimal hyperplasia of mesenteric veins
  5 消化管の血管炎
 Ⅱ.神経筋運動障害
  1 巨大結腸症
  2 Hirschsprung病とその類縁疾患
 Ⅲ.IBD(潰瘍性大腸炎とCrohn病)と鑑別診断
  1 潰瘍性大腸炎
  2 Crohn病
  〔COLUMN〕潰瘍性大腸炎とCrohn病の鑑別診断のポイント
  3 Inflammatory bowel diseaseの上部消化管病変
  4 Inflammatory bowel diseaseの鑑別診断
 Ⅳ.その他の炎症性腸疾患
  1 非特異性多発性小腸潰瘍症
  2 Behçet病・単純性潰瘍
  3 セリアック病
  4 Microscopic colitis─collagenous colitisとlymphocytic colitis
  5 里吉病
  6 粘膜脱症候群とcap polyposis
 Ⅴ.痔 瘻
 Ⅵ.虫垂炎
 Ⅶ.肛門管
 Ⅷ.その他
  1 腸管囊胞状気腫症

各論4 消化管共通
 Ⅰ.感染症
  1 消化管カンジダ症
  2 ヘルペス
  3 サイトメガロウイルス感染症
  4 アニサキス
  5 梅 毒
  6 結 核
  7 非結核性抗酸菌症
  8 その他の感染症
 Ⅱ.治療関連胃腸疾患
  1 抗がん薬
  2 放射線性
  3 植片対宿主病
  4 免疫関連有害事象(irAE)
  5 非ステロイド性抗炎症薬
  6 ケイキサレート/カリメート
 Ⅲ.沈着症
  1 胃・十二指腸の沈着症
  2 アミロイドーシス
  3 メラノーシスと偽メラノーシス(大腸黒皮症)
  4 バリウム肉芽腫
  5 黄色腫
 Ⅳ.その他
  1 好酸球性消化管病変
  2 IgG4関連消化管疾患
  3 強皮症の消化管病変

索 引