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その治療,本当に患者のためになっていますか?

新刊

だれも教えてくれなかった

本当のレーザー治療・美容皮膚科治療

  • 著:渡辺晋一(帝京大学名誉教授)
  • B5判・356頁・4色刷
  • ISBN 978-4-8306-3475-8
  • 2021年1月発行
定価 13,200 円 (本体 12,000円 + 税10%)
あり
在庫

内容

序文

主要目次

国内初のQスイッチルビーレーザー開発に携わった著者が,基本から疾患別の治療法まで,レーザー医学と美容皮膚科の全てを紹介.病態からみた治療のメカニズムと,治療が効いた症例と効かなかった症例の根拠など,他にない切り口も示し,また美容ビジネスの利益相反や選択的出版など様々な問題にも触れている.日本の全ての美容皮膚科医が根拠に基づいた適切な治療を行えるように,本当に患者の為となる治療とは何かを記した著者渾身の一冊.

序 文

 私は東京大学医学部皮膚科の医局長の任期を終えた後,米国ハーバード医科大学皮膚科に留学し,レーザーの研究をすることになった.当時のレーザー治療はレーザーメスであったため,治療後に瘢痕を残し,皮膚科ではむしろ有害であるとの認識であったが,他に選択肢がなかったので,レーザー研究でハーバード大学マサチューセッツ総合病院(MGH)の皮膚科に留学した.そこで当時皮膚科のレジデントであったDr. R. Rox Anderson(現在MGHにあるWellman光医学研究所の所長)が提唱したselective photothermolysisの検証実験を行った.そしてメラニンの増加によるあざを治すためのレーザーの照射条件を動物実験で明らかにすることができた.帰国後,日本で最初のQスイッチルビーレーザーを東芝メディカルと共同開発し,今まで有効な治療法がなかった太田母斑を瘢痕なく治すことができることを報告した.その後,日本で最初のレーザー外来を帝京大学医学部皮膚科に開設し,多くの患者の治療を行い,顔面真皮メラノサイトーシス(facial dermal melanocytosis)という疾患概念を確立することができた.
 さらに2004年からJICA(国際協力機構)の依頼でタイの国立皮膚科研究所で東南アジアや中近東の医師約30名に,レーザー治療および美容皮膚科の講義を毎年7日間(計21時間)行っている.そこで強調していることは,レーザー治療成功のカギを握るのは正確な診断で,その診断に基づいた治療を行えば問題となることはないということである.さらに医師は機械やレーザーに関する知識が乏しく,それにつけ込んだ宣伝をするレーザー会社が多いため,それらの宣伝に騙されてはいけないと注意している.タイで行っている講義では,レーザー治療の原理を誰でもわかるように説明し,さらに皮膚疾患の病態を理解させたうえで,なぜ有効か,なぜ無効かのメカニズムを解説している.そのためか,私の講義に対する生徒たちの授業評価は日本人医師のなかで最も高いという.
 翻って日本の学会でレーザー治療の講演を聴く機会が多くあるが,スポンサーの意を汲んだと思われる講演もある.また利益相反がない講演もあるが,なぜこの症例には効果があり,この症例では効果がなかったのか,演者は十分わかっていないように感じられることもある.
 思えば海外の翻訳書も含め,わが国のレーザー治療の教科書,解説書をみると,効くか,効かないかの記載はあるが,なぜ効いたのか,なぜ効かないのかを科学的に解説している本は少ない.なかにはメーカーの意向通りに,効かないものも効いたようにしているfake newsやalternative factsもある.そこで本書では「病態からみた治療のメカニズム」の記述を入れて,なぜこの疾患は効果があるのか,なぜこの疾患は効果がないのかをわかりやすく解説した.
 以前から文光堂からレーザー治療の教科書の執筆の依頼があったが,時間がなかったので,定年になったらと返事をしていた.定年になり時間の余裕ができたので,タイで毎年行っている講義をまとめることにした.今までもレーザー治療の論文を数多く分担執筆したことがあるが,原稿枚数の制限のために十分な説明ができなかったことが多い.また,編集者の利益相反のため(selectivepublication),文章の削除を求められたこともある.本書はレーザー会社やレーザー治療・美容皮膚科を行っている医師を儲けさせるためではなく,患者に最も有効で安全な治療を提供するためにはどうしたらよいかを述べたものである.

2021年1月
渡辺晋一

序 文

Ⅰ レーザー治療総論
 A レーザー治療の基本
 B 今あるレーザー機器
 C 肌の色と色素異常症
 D 色素性皮膚病変治療に用いるレーザー装置
 [Special Column]Qスイッチルビーレーザー開発記
 E レーザー照射後の皮膚の変化
 F レーザー治療による主な副作用とその発生メカニズム

Ⅱ 治療の実際
 A 色素沈着症
  1.色素異常症の総論
  2.色素沈着症の治療の実際
   a.太田母斑
   b.太田母斑類似の色素病変
   c.蒙古斑
   d.母斑細胞母斑
   e.刺 青
   f.茶あざ
   g.老人性色素斑
   h.老人性疣贅(脂漏性角化症)
   i.肝 斑
   j.口唇の色素斑
   k.炎症後色素沈着
   l.雀卵斑(ソバカス)
 B 血管性病変
  1.血管腫の総論
  2.血管腫の治療の実際
   a.毛細血管奇形
   b.サーモンパッチ(正中部母斑,Unna母斑)
   c.毛細血管拡張症
   d.くも状(星芒状)血管腫
   e.乳児血管腫
   f.海綿状血管腫(静脈奇形)
   g.静脈吻合を伴う血管腫(動静脈奇形),動脈性蔓状血管腫
   h.血管芽細胞腫
   i.被角血管腫
   j.老人性血管腫
   k.血管拡張性肉芽腫(化膿性肉芽腫)
   l.蛇行状血管腫
   m.Osler-Weber-Rendu病(遺伝性出血性毛細血管拡張症)
   n.グロムス腫瘍
   o.血管腫を伴う母斑(血管母斑症)
 C 美容皮膚科治療
   a.レーザー脱毛
   b.レーザー照射による非特異的な熱傷害を利用した治療
   c.高出力短パルス光発生装置(IPLなど)
   d.低出力レーザー
   e.ケミカルピーリング
   f.美白剤
   g.レチノイド
   h.ニキビ治療
 [appendix]レーザー照射時の痛みとその対策

最後に
索 引