TOPページへ

知っとくと役に立つ,日常診療で使えるヒントが満載!

小児外来診療のコツとワザ

今日から実践できる40のTips!

  • 編集:熊谷秀規(自治医科大学小児科学教授)
  • A5判・208頁・4色刷
  • ISBN 978-4-8306-1029-5
  • 2020年4月4日発行
定価 4,400 円 (本体 4,000円 + 税10%)
あり
在庫
電子版販売サイト

上記の電子版販売サイトのボタンをクリックすると,外部のサイトに
移動します.電子版の購入方法は各販売サイトにてご確認ください.

内容

序文

主要目次

本書は,プライマリケアに従事する小児科医だけでなく,小児を診る機会のある内科医や家庭医も読者対象に,実際の症例を交えながら,環境や設備が十分に整っていない医療施設でも行うことができる診療上のコツやワザ,小児特有の疾患のポイントなど,日常診療で直面する小児ならではの問題に対応するTipsを多数紹介.写真や図も満載で,忙しい診療の合間でも気軽に読める一冊.


 「子どもは小さな大人ではない」
 フランスの哲学者ルソーがその教育書「エミール」のなかで説いた言葉ですが,これは小児医療の世界でもしばしば謳われます.
 本書は,プライマリケアに従事する小児科医だけでなく,子どもを診る内科医や家庭医をも対象に,日常診療における「子どもならでは」の問題に対するtips(ヒント,有益な情報)を集めたものです.執筆者は,若手からベテランに至る小児科専門医で,いずれの執筆者も自治医科大学(以下,本学)の卒業生です.本学は,医療に恵まれないへき地等における医療の確保およ
び向上と地域住民の福祉の増進を図るために全国の都道府県が共同して設立した公的な大学です.卒業後は,修得した医学知識と医療技術と使命感をもって出身都道府県に戻り,義務年限を履行して地域医療に従事します.こうした設備や器具が満足にそろっていない環境では,子どもを診るにあたって創意工夫が求められる場合があります.本書ではそうした地域医療での経験をベースにした子どもの診療におけるtipsのほか,先輩や同僚医師から教わったtipsを紹介しています.
 執筆陣を紹介しましょう.川原田隆司先生は岩手県の出身で私と同郷です.本学の卒業生として岩手で最初の小児科医で,地域医療での経験が非常に豊かな大先輩です.佐々木暢彦先生は,北海道の出身で現在も地域になくてはならないご活躍をされていますが,東京都の離島での診療経験もあり,総合医として実臨床に強い先生です.吉川一郎先生は,「子どもの」整形外科医として著名な先生で,本学とちぎ子ども医療センターでは日ごろからいろいろなことを教わっています.乳幼児健診や学校検診のほか,日常の小児科診療でも整形外科的な評価を求められる機会は多いことから,今回執筆をご依頼しました.横山孝二先生は,本学小児科学において,私と同じ消化器病学を専門とするパートナーであり10 年来仕事をしてきました.小児内分泌学にも造詣が深く,臨床全般に強い先生です.岡田祐樹先生は,東京都出身の新進気鋭の若手で専門は小児アレルギー学です.本学卒後義務履行のために赴任した小笠原諸島や新島などの離島ではいくつかの臨床研究を完遂し,それぞれ一流の国際雑誌へ論文発表をするなど異彩を放っています.
 もっとも,本書で紹介しているtipsには,エビデンスがなかったり,保険収載されていなかったり,あるいは倫理的な問題を含むものもあるかもしれません.また,もっと効率的なやり方や,もっと効果的な方法をご存じの読者もいらっしゃるでしょう.本学産婦人科学主任教授の松原茂樹先生は「自らの診療経験を,個人の財産や個人芸として独占せず,世の中に広く知らしめることは,医療者の責務のひとつである」と述べています.多方面からご意見やさらなるtipsをお寄せいただければ,今後,さらに皆様の役に立つような改訂ができることでしょう.
 子どもたちの健全な身体とあたたかい心が育まれるよう,本書が,地域で子どもたちを診るドクターのちょっとしたお助けになることを期してやみません.
 最後になりましたが,お忙しいなか私からの依頼を快諾してくださった執筆者の先生方と,本書発刊の機会を与えてくださった株式会社文光堂の佐藤真二さん,編集の労を執ってくださった伊藤美月さんに深謝いたします.

2020年3月
熊谷秀規
Ⅰ 診察・検査に使える20のTips
 1 成長曲線を付けよう ~グラフから見えてくるもの~
 2 便にいる虫 ~すわ!消化管寄生虫!?~
 3 頭の帯状疱疹 ~痛み止めを処方する前に~
 4 遷延する咳嗽を診るとき ~呼吸器疾患とは限らない~
 5 パンケーキ症候群 ~いつもお家で食べているお好み焼き~
 6 母乳性血便 ~どこまで検査する?~
 7 慢性的な腹痛の診察 ~夜はぐっすり眠ってますか~
 8 いわゆる「成長痛」 ~なんとも味わいのある診断名~
 9 鼻腔診察の重要性 ~鼻は口ほどにものを言う~
 10 咽頭観察のコツ ~のどが赤いですね,とは~
 11 突発性発疹を見分ける ~発疹が出る前に診断できる!?~
 12 痛い腹を探れ ~腹部の診察~
 13 かつて「先天性股関節脱臼」と呼ばれた疾患 ~健診での下肢の把持法~
 14 側彎症の診かた ~ホンモノかニセモノか~
 15 ポタポタ採血 ~小児ならでは!?~
 16 子どもにこそ“POCUS” ~ちょいあてエコー~
 17 整形外科医が見逃す骨折を小児科医が診断する方法 ~知っておくと助かる小児骨折の診断の知識~
 18 感染症迅速検査の工夫 ~早期診断で適切なマネジメントへ~
 19 スマートな成長ホルモン分泌刺激試験 ~大きくなれるかな~
 20 明日からできる(?)食物経口負荷試験 ~漫然と不要な制限を続けない~

Ⅱ 処置・治療に使える20のTips
 1 静脈路確保のあれこれ ~小児科医の腕の見せ所~ 94
 2 赤ちゃんの臍肉芽腫の処置 ~生後1ヵ月健診~
 3 今日から行う適切なスキンケア ~赤ちゃんの湿疹~
 4 赤ちゃんが泣き止まない ~夜泣きへの対応~
 5 便秘のはなし ~たかが便秘,されど便秘~
 6 経口補水療法 ~脱水症かも~
 7 腸重積症の整復 ~迅速診断と慣れた手法で早期処置~
 8 慢性の腹痛⇔起立性調節障害⇔不登校 ~こわがらなくてもいいといい~
 9 「チックンしないでね」 ~予防接種の工夫~
 10 肘内障の整復 ~ pulled elbow ~
 11 とびひ ~火の粉が飛ばないように~
 12 水いぼ ~取るの,取らないの?~
 13 ダニの取り方 ~ダニ咬傷~
 14 子どもの好きな「いきもの図鑑」 ~虫刺されの診療~
 15 刺さった釣り針の抜去 ~どうやって抜くか~
 16 鼻に入れた何か ~鼻腔内異物の取り出し方~
 17 耳に入った何か ~外耳道異物の取り出し方~
 18 おちんちんの問題 ~包茎・恥垢~
 19 「この子は薬を飲まないんです」 ~薬の飲ませ方~
 20 トランジション ~慢性疾病児の将来を見据える~

コラム
 1 世界へ広がる日本発の母子健康手帳
 2 額帯鏡で診る溶連菌迅速検査
 3 てあて:体に触って熱を診る
 4 経皮感作
 5 夜泣きとプロバイオティクス
 6 若者は朝が苦手
 7 胃内ボタン電池,取るの,取らないの?

索引