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筋損傷はMRIでどこまで診ることができるのか?豊富な画像により損傷度分類と読影技術,症例による経過・予後を分かりやすく解説!

新刊

筋損傷の画像診断

MRIによる分類と実践

  • 著:奥脇 透(国立スポーツ科学センタースポーツメディカルセンター長)
  • B5変型判・392頁・2色刷
  • ISBN 978-4-8306-2743-9
  • 2021年5月発行
定価 8,250 円 (本体 7,500円 + 税10%)
あり
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内容

序文

主要目次

アスリートに頻発する肉離れ・筋打撲傷などの筋損傷に対する画像診断の実践書.国立スポーツ科学センターで長年にわたり蓄積された膨大な臨床画像をもとに,筆者が考案したMRIによる損傷度分類(JISS分類)と読影技術,症例別の治療経過・予後など,臨床に役立つ知識と技術を分かりやすく解説.本書では,筋損傷の好発部位である大腿部・下腿部以外にも,上肢や体幹など他書にはあまり解説されていない症例まで網羅されており,初学者から最前線で活躍している医師・コメディカルまで必読の一冊.

序文

 本書の構想を相談されたのが,2019年の4月でした.2020東京大会前に出版を計画し,ラグビーワールドカップで日本中が盛り上がっている中,執筆に没頭していました.そして2020年を迎え,ラストスパート,と思っていた矢先に,新型コロナウイルス禍となりました.世界のトップアスリートが集う大イベントに熱狂するのは1年おあずけとなり,感染拡大防止のための新しい生活スタイルに戸惑いながら,何とか本書を出版することができました.
 さて,筋損傷,特に肉離れについてまとめるに至った経緯について振り返ってみます.思えば筆者が楕円のボールを追いかけ始めた頃(1970年後半)には,すでに“肉離れ”は,スポーツの現場で最もよく耳にする外傷の1つでした.当時は,肉離れは,文字どおり,筋肉が引きちぎれてしまうものと考えていました.病院には行かず,先輩やコーチのアドバイスに従い,痛みを目安に選手自らが復帰の判断をしていました.筆者自身,ハムストリングスやふくらはぎの肉離れを何度となく経験し,その都度,アップ不足だったかな,やりすぎたかな,と悔やみながら,痛みの軽減に合わせて復帰していました.しかし,周囲には再発を繰り返したり,復帰に何ヵ月もかかったりする人もいました.
 やがて1980年代の後半(筆者の研修医時代)からMRIが登場してきました.MRIは,特に軟部組織の描出に優れており,整形外科領域では,それまで関節鏡でしかみえなかった膝の前十字靭帯や半月板の損傷を見事に映し出しました.それによって,骨損傷はレントゲン,軟部組織損傷はMRI という時代に入っていきました.
 そのようなタイミングで,1990年,研修先の筑波大学附属病院で肉離れのMRIに出会いました(P.158のコラム参照).その後,1995年に鹿屋体育大学(1981年鹿児島県大隅半島に開学)の保健管理センターに赴任して,大学生のスポーツ外傷・障害の診療に明け暮れる日々を過ごしました.また当時の外勤先の医療機関(恒心会小倉記念病院)では,いつでもMRIを撮像できる環境を整えていただきました.そこで衝撃的な肉離れのMRI 像に出会いました(P. 159のコラム参照).まさに羽状筋と筋腱移行部損傷を目にしたのです.
 そして,2000年から国立スポーツ科学センター(JISS)に移り,トップアスリートの肉離れを診療できる立場をいただきました.これまでに多くの先生方や医療スタッフに協力していただき,一昨年にはJISSにおける肉離れの症例数が1,000 例を超えました.これを機会に,文光堂さんにも勧められて,本書を執筆することになったのです.まだまだ不明な点が多い筋損傷ですが,現時点で私が考えている分類法(いわゆるJISS 分類)に従って,代表例を掲載してみました.
 今,このような状況下で,私個人にできることは,これまでの知見をまとめて公表することだと思いました.スポーツの本質が問われている中で,本書がアスリートをサポートする多くの方々の一助となれば幸いです.

2021年4月
奥脇 透

Ⅰ 総論 筋損傷の画像診断
 1 筋損傷とは?
 2 筋損傷の超音波検査画像
 3 筋損傷のMRI
  1 MRIの撮像方法(1)撮像断面
  2 MRIの撮像方法(2)撮像条件
  3 画像Viewerの活用
 4 その他の画像診断法
 5 筋損傷の重症度の考え方
 6 筋損傷のMRI分類
  1 筋損傷のMRI分類(1)JISS 分類:損傷型
  2 筋損傷のMRI分類(2)JISS 分類:損傷度
 7 筋打撲傷と肉離れ
 8 遅発性筋痛のMRI
 9 筋痙れんのMRI

Ⅱ 筋打撲傷の画像診断
  1 受傷機転と診断のポイント
 症例1〜12

Ⅲ 肉離れの画像診断―ハムストリングス
 1 ハムストリングスとは
  1 解剖(1)ハムストリングス全体
  2 解剖(2)ハムストリングスの各筋
  3 解剖(3)ハムストリングスの起始部
  4 ハムストリングス近位部のMRI正常解剖
 2 大腿二頭筋長頭近位部
  1 機能解剖
  2 検体例
  3 MRI正常解剖(1)
  4 MRI正常解剖(2)
  5 大腿二頭筋長頭近位部肉離れのJISS分類(損傷型)
  6 大腿二頭筋長頭近位部Ⅱ型肉離れ(JISS分類Ⅱ型)の損傷度分類
  7 大腿二頭筋長頭近位部肉離れ(JISS 分類Ⅲ型)の損傷度分類
 症例1〜12
 3 大腿二頭筋長頭遠位部
  1 機能解剖
  2 MRI正常解剖
 症例13〜18
 4 半膜様筋
  1 機能解剖
  2 検体例
  3 MRI正常解剖
  4 半膜様筋肉離れのJISS分類(損傷型)
  5 半膜様筋肉離れ(JISS分類Ⅱ型)の損傷度分類
  6 半膜様筋肉離れ(JISS分類Ⅲ型)の損傷度分類
 症例19〜28
 5 半腱様筋
  1 機能解剖
  2 MRI正常解剖
 症例29〜32
 6 ハムストリングス付着部
  1 機能解剖とMRI正常解剖
 症例33〜37

Ⅳ 肉離れの画像診断―大腿四頭筋
  1 機能解剖
  2 大腿直筋近位部のMRI正常解剖
  3 大腿四頭筋のMRI正常解剖(1)
  4 大腿四頭筋のMRI正常解剖(2)
  5 大腿直筋近位部肉離れのJISS分類(損傷型)
 症例1〜22

Ⅴ 肉離れの画像診断―内転筋群
  1 内転筋群近位部のMRI正常解剖(1)起始部
  2 内転筋群近位部のMRI正常解剖(2)近位部
 症例1〜17

Ⅵ 肉離れの画像診断―下腿三頭筋
  1 下腿三頭筋の機能解剖(1)起始と停止
  2 下腿三頭筋の機能解剖(2)腱膜
  3 腓腹筋内側頭のMRI正常解剖
  4 ヒラメ筋の機能解剖
  5 ヒラメ筋のMRI正常解剖
 症例1〜22

Ⅶ 肉離れの画像診断―骨盤筋群
  1 骨盤筋群のMRI正常解剖
  2 骨盤部(腸腰筋)のMRI正常解剖
  3 骨盤部(外・内閉鎖筋)のMRI正常解剖
 症例1〜19

Ⅷ 肉離れの画像診断―腹筋群
  1 腹直筋のMRI正常解剖
  2 腹直筋下部のMRI正常解剖
  3 側腹筋のMRI正常解剖
 症例1〜14

Ⅸ 肉離れの画像診断―肩甲帯
  1 肩甲骨の筋群における肉離れ
  2 肩甲帯部の筋群のMRI正常解剖
  3 肩関節周囲の筋群のMRI正常解剖
 症例1〜22

Ⅹ 肉離れの画像診断―上肢
  1 上肢の筋群における肉離れ
  2 肘関節周囲筋群のMRI正常解剖
 症例1〜12

Ⅺ 肉離れの画像診断―その他
  1 その他の筋における肉離れ
  2 後頚部の筋のMRI正常解剖
  3 腰部の筋のMRI正常解剖
 症例1〜3

巻末資料
 資料1 筋損傷の分類
 資料2−1 筋の形状と筋損傷
 資料2−2 筋の形状と筋収縮と肉離れ
 資料3 国立スポーツ科学センターとは?
 資料4−1 肉離れの競技別症例件数(JISSデータ:n=1,170)
 資料4−2 肉離れの部位別割合
 資料4−3 肉離れの発生件数―受傷競技と受傷筋―
 資料4−4 肉離れの発生状況―受傷筋別性差―(n=959)
 資料4−5 肉離れのMRI分類―受傷筋と損傷部型の関係―
 資料4−6 肉離れのMRI分類とスポーツ復帰時期
 資料5 肉離れの診療チャート
 資料6 JISSにおける肉離れのMRI撮像

索引

参考文献