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慢性痛に対する心理療法の入門書にして決定版!

慢性痛の心理療法ABC(電子版のみ)

カバー写真
  • 編集:山本達郎(熊本大学医学部麻酔科教授)
  • 編集 田代雅文(熊本大学医学部麻酔科講師)
  • A5判・334頁・2色刷
  • ISBN 978-4-8306-2841-2
  • 2016年3月18日発行
定価 7,150 円 (本体 6,500円 + 税10%)
なし
在庫
電子版販売サイト

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内容

序文

主要目次

痛みの認知には民族性・文化が関与しているため,翻訳書や海外文献に記された治療法は日本人の治療に合わない点が多くある.また難解な心理療法の専門用語が並び,初学者にはハードルが高いものであった.本書は痛みの心理療法の基礎的知識から臨床への応用までをわかりやすく解説した,日本人による日本人の痛みの心理療法の入門書である.
序 文

 この度,「慢性痛の心理療法ABC」を出版することになりました.慢性痛の考え方にはいくつかあると思います.今回は身体的原因がはっきりしない,長期にわたる痛み(慢性痛)を対象としています.例えば,関節リウマチなどは長期にわたる痛みですが,明らかに炎症が存在するため除いて考えています.
 日本にも,上記の定義による慢性痛の患者は多く存在することはよく知られています.また最近このような慢性痛に対する関心が高まってきているように感じています.神経ブロック療法や薬物療法・物理療法などにより痛みの治療に従事してきた医療従事者は,自分たちが行ってきた治療法では痛みの治療が難しい患者が多く存在することを認識してきています.ただ,どのように治療したらよいかわからずに,戸惑っている状態です.このような中で,心療内科などを中心として発展してきている痛みの認知行動療法などの心理療法が注目を集めています.
 痛みの患者は,その程度に差があるにせよ,痛みにより心理面の影響を受けています.この心理面への変化を評価し,治療していくことが必要です.また,痛みの治療が難しい場合は,痛みを受容し痛みとともに生活していくことを支援することも大切だと考えています.ただ,これらの手法は従来の方法論とは異なり,実際に行うのは困難なことがほとんどです.このような現状であるにも関わらず,慢性痛患者に対する治療法について執筆された日本の書籍・論文はほとんどありませんでした.また慢性痛を扱った論文は,心療内科の分野の専門用語が多く使われており,一般読者にとっては理解しがたいものとなっていました.
 そこで,今回は慢性痛治療を目指す初学者が読んでも理解できる,日本人による入門書を企画し発刊することとなりました.痛みの認知には民族の文化・宗教などが関与しており,単に外国の教科書を翻訳した内容では,日本人の治療には合わない点が多く存在します.従って,日本人による日本人の痛み治療の本が必要だと考えています.
 このようなコンセプトの本ですので,できる限り平易な表現を使用して解説しております.専門の先生方にとっては専門用語を用いた表現のほうが分かりやすいことも多いと思いますが,初学者にとっては,理解できない専門用語を見ただけで読んで理解することをあきらめてしまうことも少なくありません.今後の慢性痛治療を広めていくためにも,できる限り平易な表現による記述を心がけております.
 私と慢性痛との関係は,卒後2年目に私の恩師である水口公信先生と出会ったことに始まります.当時水口先生は国立がんセンター麻酔科におられました.末期がん患者のもとに足しげく通われ,痛みと心理状態との関連について,心理の先生方と一緒に研究されておられました.この時に研究に用いておられた手法は,文章完成法,バウムテストなど現在でも使用されている方法でした.また,最近よく見るようになった,日本語訳のState-Trait Anxiety Inventory(STAI)は,水口先生によって日本語標準化が行われました.このような上司の指導を受け,初めて「臨牀看護」(現在休刊中の雑誌)に「術後痛の心理学的側面」と題した総説を書きました.このように,私自身,大変慢性痛には思い入れが強く,今回の出版は大変うれしく感じております.
 本書が,日本における慢性痛治療の発展に少しでも寄与できることを強く望んでおります.

2016年3月
熊本大学医学部麻酔科 山本達郎
総説
 1. 慢性痛とは
I.慢性痛の種類
 1 精神疾患に伴う痛み
 2 学習型痛み
 3 社会的痛み
II.評価法
 1 心身症としての捉え方
 2 心理アセスメント
  1) 質問紙法
  2) 投影法
  3) 描画法
  4) サークルドローイング
III.治療
 1 リエゾン
 2 集学的治療
 3 心理療法
IV.心理療法
 1 痛みのカウンセリング
 2 自律訓練法・自律性中和法
 3 バイオフィードバック・リラクセーション・漸進的筋弛緩法
 4 臨床動作法
 5 ヨガ
 6 痛みへのこだわりと動機づけ面接
 7 認知行動療法
  1) 行動療法からみた痛みの訴え
  2) 認知療法と認知行動療法
  3) 線維筋痛症患者へのCBT介入
 8 新世代の認知行動療法
  1) マインドフルネスの基礎
  2) マインドフルネスの臨床
  3) ACTの基礎
  4) ACTの臨床
 9 アサーショントレーニング
 10 家族療法─システムズアプローチ─
 11 交流分析,再決断療法・セルフリペア
   レンティング
 12 催眠療法
 13 森田療法
V.代表疾患
 1 斜頚・緊張性頭痛
 2 非心臓性胸痛
 3 機能性ディスペプシア・過敏性腸症候群
 4 線維筋痛症
 5 筋筋膜性疼痛症候群
 6 顎関節症
 7 慢性疲労症候群と痛み
 8 交通事故後の痛み
 9 総合診療科でみる慢性痛
 10 歯科における慢性痛
 11 肛門痛・会陰部痛
 12 小児の“困った痛み”
VI.TOPICS
 1 怒りと痛み
 2 睡眠と痛み
 3 治療の枠組み
 4 転移感情と逆転移感情
 5 アレキシサイミア
 6 失体感症
 7 過活動
 8 養育の問題
  1) 自己肯定感
  2) 愛着スタイル
  3) 親子葛藤・同胞葛藤
 9 医療行政上の問題─(後遺)障害認定─
One Point Advice
 1 日常臨床で役立つ心理アプローチ
 2 心理療法の効果を期待しにくい患者
用語解説
索引