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訪問バッグの中にこの一冊! 訪問理学療法士の心強い味方!!

図解訪問理学療法技術ガイド

訪問の場で必ず役立つ実践のすべて

カバー写真
  • 編集:伊藤隆夫(輝生会船橋市リハビリセンター副センター長)
  • 編集 斉藤秀之(医療法人筑波記念会リハビリテーション事業統括)
  • 編集 有馬慶美(新潟保健医療専門学校学校長)
  • A5判・944頁・2色刷
  • ISBN 978-4-8306-4513-6
  • 2014年11月13日発行
定価 10,450 円 (本体 9,500円 + 税10%)
あり
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内容

序文

主要目次

本書は,「標準的で安全な訪問理学療法」の提供を目的に企画された.実際的な手技・方法を中心に,基本知識と評価,リスク管理,周辺技能なども解説.多様性・個別性の高い訪問理学療法に対応するため,訪問理学療法に関わる可能な限りすべての要素を網羅してまとめた.臨床の場で自信を持って対処できるようになる一冊.具体的かつ簡潔な文章で要点を記述.図表を多用して,視覚的にも理解しやすい.
序文

 近年,在宅での理学療法ニーズの高まりから,訪問理学療法が理学療法の職域で重要な位置を占めていることは疑いようのない事実である.その表れとして,医療機関,福祉施設,訪問看護ステーションなどから訪問理学療法のサービスが積極的に提供されている.さらに一部の特区においては訪問リハビリステーションが開設され,訪問理学療法の対象者のみならず多方面からの訪問理学療法への期待は大きい.
 しかしながらその一方で,その大きな期待に応えられる「標準的な訪問理学療法」が確立されているかというとそこには疑問が残る.その背景には2つの要因が考えられる.一つは,訪問理学療法の対象は,障がい者個人にとどまらず家庭ならびに地域社会をも含まれ,非常に多様性・個別性が高いことである.もう一つは,通常,訪問理学療法は一人の理学療法士が対象となる家庭におもむいて行われる,いわば密室の行為であるため,自己が行っている理学療法の内容・質を他の理学療法士のそれと比較することが難しく,また他者からのフィードバックや指導が得られにくいという点である.これらの要因が訪問理学療法の標準化を遅らせている要因と思われる.
 本書「図解訪問理学療法技術ガイド」は,上述したような現状を踏まえ,訪問理学療法を必要とするすべての対象者に「標準的で安全な理学療法」を提供すること,一方,サービスを提供する側の理学療法士に対しては「安心して標準的な訪問理学療法を提供できる知識と技能」を提供することを目的に企画された.
 本書は多様性・個別性の高い訪問理学療法に対応するため,総花的になることを恐れず,訪問理学療法にかかわる可能な限りすべての要素を網羅するため,全7部29章143節で構成した.1部では訪問理学療法の「基本知識と技能」として訪問理学療法における基本的態度から具体的な準備および事務的業務まで掲載した.2部では,安全に理学療法が提供できるよう「リスク管理と周辺技能」として,リスクマネジメント,緊急時対応そして医学的介入など具体的な対応方法について掲載した.3部では在宅環境における理学療法評価ならびにアセスメントを,4部から6部では具体的で実践的な理学療法アプローチについて「身体機能」「活動と参加」「環境」に分けて提示した.最後の7部では「疾患別訪問理学療法の実際」を筋骨格系,神経系,内部系に分類し,基本的な考え方から各時期(フェイズ)に応じた具体的介入方法について症例をまじえて掲載した.また8つのコラムを挿入することにより哲学的また実践運用的な深みを加えた.各項の執筆においては,訪問理学療法を実践している理学療法士を中心として,学術的・職業的裏づけにも配慮し,研究・教育者,看護師,社会福祉士,介護福祉士,建築士にも参画いただいた.
 本書は,訪問理学療法の実践の場でご活用いただけるよう日常的に持ち歩く訪問バッグに携帯できるようなサイズと厚さにも配慮した.したがって,読者には日常的に携帯していただき,本書が日々の訪問理学療法を支える「安心・有益ツール」となることを願ってやまない.また,さらに本書が「訪問理学療法士のための,訪問理学療法士による,標準的な訪問理学療法の確立」の一端を担えれば,この上ない喜びである.

2014年10月
 伊藤隆夫
 斉藤秀之
 有馬慶美
第1部 基本知識と技能
1 訪問理学療法とは?
 ●訪問理学療法の使命と特性および業務の流れ
 ●訪問理学療法における対象者とその家族の特性
 ●対象者のフェイズと理学療法
2 チームワーク
 ●訪問理学療法にかかわる職種とそれぞれの役割
 ●チームリーダーとの情報の共有とその手段
 ●関係職種間の連携
 ●関連法規と事業所
3 訪問理学療法の基本的態度と訪問への準備
 ●家庭という場で理学療法を実践するということ─対象者そして家族への基本的態度─
 ●インフォームド・コンセントと訪問理学療法の契約
 ●訪問理学療法の事前準備と基本的に携帯すべき備品
 ●移動手段とその際の注意点
4 事務的業務
 ●訪問理学療法に関する事務的業務の全体像
 ●診療記録の構成と記録方法
 ●記録の取り扱い・保存と個人情報保護
第2部 リスク管理と訪問理学療法の周辺技能
1 訪問理学療法におけるリスク管理の考え方
 ●訪問時の事故の現状・法的責任と事故後の対応
 ●リスク管理の基本的考え方・リスクマネジメントと理学療法のバランス
 ●アクシデント・インシデントの記録と報告の仕方
2 リスク管理の実際
 ●リスク管理の実際
 ●感染症へのリスク管理─ガウンテクニックと理学療法士自身のリスク管理─
 ●緊急時・急変時対応の実際
3 理学療法以外の医学的介入
 ●知っておくべき薬剤の知識と投薬管理
 ●生命維持装置の基本知識
 ●気道吸引の基本知識と技術
 ●口腔ケア
4 理学療法以外の介護的介入
 ●身体介護の基本技術(ADL別に)
 ●オムツ交換とベッドメーキング
第3部 評価とアセスメント
1 処方とケアプラン
 ●医師の指示の読み方とその解釈
 ●包括的ケアプランの読み方とその解釈
2 訪問理学療法を行う際に必要な情報とその意義
 ●訪問理学療法を行う際に必要な情報とその意義
3 ニーズのとらえ方
 ●Maslow の欲求段階によるニーズのとらえ方
 ●生活に即したニーズのとらえ方
 ●情報聴取・問診の実際
4 フィジカルアセスメント
 ●フィジカルアセスメントの評価項目と実際
 ●フィジカルアセスメントの解釈と知識
 ●フィジカルアセスメントの記録と報告
5 参加・活動レベルの評価
 ●参加・活動レベルの評価
6 機能・構造レベルの評価
 ●筋骨格系機能の評価
 ●神経系機能の評価
 ●内部機能障害の評価
 ●嚥下機能の評価
 ●言語機能の評価
 ●排泄機能の評価
7 人的・物的環境の評価
 ●対象者を取り巻く,近隣の医療・リハビリテーション・介護資源の評価
 ●家族の介護負担・介護力・介助方法の評価
 ●住宅図面の読み方とその解釈
 ●住環境の評価
8 情報の統合解釈と意思決定
 ●ICFを用いた情報の統合解釈方法
 ●問題解決モデルを用いた情報の統合解釈方法
 ●目標の立案方法
 ●課題の抽出方法
 ●介入プランの立案方法
 ●説明と同意の実際・スケジュール管理
 ●アウトカムの評価とプランの修正
第4部 身体機能へのアプローチ
1 在宅における筋・骨格機能へのアプローチ
 ●関節可動域の維持と改善方法
 ●筋力・筋持久力の維持と改善方法
 ●疼痛の管理と改善方法
2 在宅における神経機能へのアプローチ
 ●在宅でのバランス能力維持・向上トレーニング
 ●運動麻痺・感覚障害の維持と改善方法
 ●高次脳機能の維持と改善方法
 ●言語機能の維持と改善方法
3 在宅における内部機能へのアプローチ
 ●呼吸機能の維持と改善方法
 ●循環機能の維持と改善方法
 ●代謝機能の維持と改善方法
 ●嚥下機能の維持と改善方法
第5部 活動・参加へのアプローチ
1 基本動作へのアプローチ
 ●臥位・座位での良肢位保持と拘縮・褥瘡予防
 ●寝返り・起き上がりの動作指導と介助指導
 ●座位保持の介助方法と代償動作を含む動作練習
 ●起立・着座の介助方法と代償動作を含む動作練習
 ●立位保持の介助方法と代償動作を含む動作練習
 ●移乗の介助方法と代償動作を含む動作練習
 ●歩行の介助方法と代償動作を含む動作練習
 ●歩行以外の移動動作の介助方法と動作練習
 ●車いす動作の介助方法と動作練習
2 身辺動作へのアプローチ
 ●食事動作の介助方法と代償動作を含む動作練習
 ●排泄動作の介助方法と代償動作を含む動作練習
 ●入浴動作の介助方法と代償動作を含む動作練習
 ●更衣動作の介助方法と代償動作を含む動作練習
 ●整容動作の介助方法と代償動作を含む動作練習
3 生活関連動作へのアプローチ
 ●炊事活動の工夫と動作練習
 ●洗濯関連動作の工夫と動作練習
 ●掃除動作の工夫と動作練習
 ●外出の工夫と動作練習(外出への自信)
 ●買い物の工夫と動作練習
 ●公共交通機関の利用に関する工夫と動作練習
4 社会参加へのアプローチ
 ●社会参加への準備と体験・具体的“かたち”
第6部 環境へのアプローチ
1 物的環境へのアプローチ
 ●福祉用具活用のための基本的考え方
 ●住環境の整備
 ●移動環境の整備
 ●食事環境の整備
 ●排泄環境の整備
 ●入浴環境の整備
2 人的環境へのアプローチ
 ●介助動作の生体力学とリスク管理
 ●介助方法の指導のポイント
 ●起居動作に関する介助方法の指導
 ●移動動作に関する介助方法の指導
 ●食事動作に関する介助方法の指導
 ●排泄動作に関する介助方法の指導
 ●入浴動作に関する介助方法の指導
 ●利用者主体のホーム・プログラムの考え方と作成方法
第7部 疾患別訪問理学療法の実際
1 筋・骨格系疾患
 ●大腿骨頸部/転子部骨折
 ●脊椎圧迫骨折
 ●関節リウマチ
 ●変形性股関節症
 ●変形性膝関節症
 ●腰痛疾患(腰部変形性脊椎症,腰部脊柱管狭窄症)
 ●下肢切断
 ●後縦靱帯骨化症
 ●小児疾患・外傷
2 神経系疾患
 ●脳血管障害
 ●頭部外傷
 ●脊髄障害(完全麻痺/不全麻痺)
 ●脳性まひ
 ●パーキンソン病
 ●脊髄小脳変性症
 ●脳血管障害─運動失調を中心に─
 ●先天性筋強直性ジストロフィー
 ●多発性硬化症
 ●ギラン・バレー症候群
 ●筋萎縮性側索硬化症
 ●オリーブ橋小脳萎縮症
 ●認知症
 ●小児疾患
3 内部系疾患
 ●慢性閉塞性肺疾患
 ●虚血性心疾患
 ●閉塞性動脈硬化症
 ●糖尿病
 ●が ん
 ●小児疾患・外傷
4 その他の疾患・状態
 ●虚弱老人
 ●尿失禁
 ●便 秘
 ●うつ状態
 ●脱 水
 ●ターミナル(がん・難病・老衰)
 ●褥瘡予防
コラム
 ●訪問理学療法における終了の基準はあるのだろうか?
 ●家庭にあるものを使うしかない─訪問理学療法で物理療法はどうするのか?
 ●訪問理学療法は社会保障の一翼を担えるか?
 ●薬剤から合併症を予測し読み取る─訊くべきことと,調べること─
 ●訪問理学療法における運営の工夫
  小規模事業所の場合
 ●訪問理学療法における運営の工夫
  中規模事業所の場合
 ●訪問理学療法における運営の工夫
  大規模事業所の場合
 ●理学療法も生命倫理が必要
索 引