TOPページへ

上気道・咽頭・口腔腫瘍と歯原性腫瘍の病理診断のスタンダードをめざした腫瘍病理鑑別診断アトラス!

腫瘍病理鑑別診断アトラス  

頭頸部腫瘍 II

上気道・咽頭・口腔腫瘍と歯原性腫瘍

カバー写真
  • 編集:森永正二郎(北里研究所病院部長)
  •     高田 隆(広島大学教授)
  •     長尾俊孝(東京医科大学教授)
  • B5変型判・312頁・4色刷
  • ISBN 978-4-8306-2246-5
  • 2015年4月発行
定価 18,360 円 (本体 17,000円 + 税)
あり
在庫
電子版販売サイト
電子書籍の販売サイト

※電子版の購入方法は,各販売サイトにてご確認ください.

正誤表

内容

序文

主要目次

頭頸部の腫瘍は,臨床的には,呼吸や食物摂取といった生命維持に欠かせない領域で,周辺に多数の重要な感覚器や神経が張り巡らされており,また人目に付く部位でもあるため,患者のQOLをも考慮した治療が求められる.病理学的には,稀であること,多彩な組織像や生物学的態度を示すことで,診断に戸惑うことが少なくない.本書は本邦初の頭頸部腫瘍の病理をまとめた教科書で2分冊の2冊目として上気道・咽頭・口腔腫瘍と歯原性腫瘍を扱う.
☆図版17点,表組47点,カラー写真504点,モノクロ写真40点,イラスト・線画13点

序文

 頭頸部とは顔面から頸部にかけての領域を指し,外科病理学的には上気道(鼻腔,副鼻腔,喉頭),上部消化器(口唇,口腔,歯,咽頭,唾液腺),耳などの諸臓器と,同部の骨軟部組織を取扱い,一般的に脳・脊髄,眼窩・眼球,皮膚,甲状腺などは含めない.頭頸部の腫瘍は,ヒトの腫瘍全体からみれば発生頻度は低いが,臨床的には,呼吸や食物摂取といった生命維持に欠かせない領域であること,周辺に多数の重要な感覚器や神経が張り巡らされており,また人目に付く部位でもあることから,これらの機能温存や美容上の問題といった患者のQOLをも考慮した治療が求められる.一方,病理学的には,まれであることに加え,発生母組織の多様性から多彩な組織像や生物学的態度を示すため,病理診断に際しては戸惑うことが少なくないものとなっている.さらに上記の臨床的な観点からも,より正確な病理診断が要求される.
 欧米には“Head and Neck Pathology”と題する教科書が数種類発刊されており,AFIPのアトラスにも“Tumors of the Upper Aerodigestive Tract and Ear”などが存在するが,本邦には,口腔病理学の教科書,あるいは唾液腺腫瘍,歯原性腫瘍に関する教科書や雑誌の特集号は存在するものの,頭頸部腫瘍の病理をまとめた教科書,特に,上気道の腫瘍を含めて詳述した教科書は見当たらない.頭頸部癌取扱い規約(第5版,2012)では,扁平上皮系の癌のみが取り上げられており,その他の組織型については割愛されている.そこで,今回,WHO分類(Pathology and Genetics of Head and Neck Tumours, 2005)に準拠した頭頸部腫瘍の病理鑑別診断アトラスの作成を企画した.
 WHO分類では,頭頸部腫瘍は,①鼻腔・副鼻腔,②鼻咽頭,③下咽頭・喉頭・気管,④口腔・口腔咽頭,⑤唾液腺,⑥歯原性組織,⑦耳,⑧傍神経節系の8 つの領域に発生する腫瘍に分けられており,それぞれに独立した組織分類が記載されている.しかし,①~④に関しては病理組織学的共通点が多いことから,ここではこれらを一括し,上皮性腫瘍,軟部腫瘍,骨・軟骨腫瘍,血液リンパ系腫瘍,神経外胚葉腫瘍,および胚細胞腫瘍について記載することにした.そして,上皮性腫瘍の中では,部位による特殊性を配慮し,扁平上皮系腫瘍とその前癌病変,腺癌や唾液腺型腫瘍なども取り上げた.上記の⑦と⑧はここでは割愛した.それでも1冊にまとめるには分量が多いため,頭頸部腫瘍I.唾液腺腫瘍と,頭頸部腫瘍II.上気道・咽頭・口腔腫瘍と歯原性腫瘍の2分冊とすることにした.本編は「II.上気道・咽頭・口腔腫瘍と歯原性腫瘍」を取り扱ったものである.
 編集にあたっては,頻度の高いものに重点を置きつつも,まれではあっても特徴的な疾患,鑑別上重要と考えられる疾患についてもできるだけ多く取り上げることにした.この教科書が診断に携わる病理医・口腔病理医にとって頼り甲斐のある道標となること,また難しい治療を迫られている耳鼻科,歯科,口腔外科,頭頸部外科などの臨床医にとっても参考となることを期待している.

平成27年4月
森永正二郎
高田  隆
長尾 俊孝

第1部 検鏡前の確認事項
 Ⅰ.解剖学・組織学・発生学
  1.上気道・咽頭・口腔
  2.歯・顎骨
 II.病理組織分類
  1.上気道・咽頭・口腔の表面上皮性腫瘍
  2.歯原性腫瘍
 III.病理標本の取扱い方
  1.軟組織(唾液腺を除く)および喉頭
  2.歯・顎骨
第2部 組織型と診断の実際
 I.頭頸部(上気道・咽頭)の上皮性腫瘍
  1.口腔・口腔咽頭の扁平上皮癌の前癌病変
  2.悪性腫瘍
  (1)扁平上皮癌とその亜型
  (2)リンパ上皮癌⁄鼻咽頭癌(上咽頭癌)
  (3)未分化癌
  (4)腺癌
  (5)上気道の唾液腺型癌
  (6)神経内分泌腫瘍
  3.良性腫瘍
  (1)鼻腔・副鼻腔乳頭腫,扁平上皮乳頭腫
  (2)上気道の唾液腺型腺腫
  4.腫瘍類似病変
 II.歯原性腫瘍
  1.悪性腫瘍
  A.歯原性癌
  (1)転移性エナメル上皮腫,エナメル上皮癌
  (2)原発性骨内扁平上皮癌
  (3)明細胞性歯原性癌
  (4)幻影細胞性歯原性癌
  B.歯原性肉腫
  2.良性腫瘍
  (1)エナメル上皮腫
  (2)扁平上皮性歯原性腫瘍
  (3)石灰化上皮性歯原性腫瘍
  (4)腺腫様歯原性腫瘍
  (5)角化囊胞性歯原性腫瘍
  (6)エナメル上皮線維腫
  (7)エナメル上皮線維象牙質腫
  (8)エナメル上皮線維歯牙腫
  (9)歯牙腫(複雑型,集合型)
  (10)歯牙エナメル上皮腫
  (11)石灰化囊胞性歯原性腫瘍・象牙質形成性幻影細胞腫
  (12)歯原性線維腫
  (13)歯原性粘液腫,歯原性粘液線維腫
  (14)セメント芽細胞腫
  3.骨関連病変・腫瘍類似病変
  (1)骨形成線維腫
  (2)線維性異形成症
  (3)骨性異形成症
  (4)中心性巨細胞病変
  (5)ケルビズム
  (6)動脈瘤様骨囊胞
  (7)単純性骨囊胞
 III.頭頸部の軟部腫瘍
 IV.頭頸部の骨軟骨性腫瘍
 V.頭頸部の血液リンパ系腫瘍
 VI.頭頸部の神経外胚葉性腫瘍
 VII.頭頸部の胚細胞腫瘍
 VIII.腫瘍類似病変(唾液腺,歯原性を除く)
 IX.頭頸部の転移性腫瘍
第3部 鑑別ポイント
 I.口腔咽頭喉頭表面上皮由来腫瘍の良悪の判定
  1.口腔の境界病変
  2.咽頭の境界病変
  3.喉頭の境界病変
  4.境界病変に対する病理医と臨床医の連携,診断用語の相互理解
 II.歯原性腫瘍と歯原性囊胞の鑑別診断
  1.囊胞性発育を示す歯原性腫瘍
  2.歯原性腫瘍との鑑別を要する歯原性囊胞
 III.上気道の小型円形細胞腫瘍の鑑別診断
  1.腫瘍細胞が真に小型円形である病変の鑑別
  2.腫瘍細胞が厳密には小型円形でない病変の鑑別
  3.臨床との連携
第4部 臨床との連携
 I.頭頸部腫瘍(唾液腺腫瘍を除く)の画像診断
 II.頭頸部腫瘍(唾液腺腫瘍を除く)の臨床病期と予後
 III.頭頸部腫瘍(唾液腺腫瘍を除く)の治療
 IV.唾液腺以外の細胞診
 V.術中迅速診断(唾液腺腫瘍を除く)の意義
 VI.病理診断報告書の記載(唾液腺腫瘍を除く)
索引