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約120の小児皮膚疾患を網羅!現場で役立つ実践的アトラス

新刊

小児皮膚病アトラス

  • 編集:吉田和恵(国立成育医療研究センター皮膚科診療部長)
  • B5変型判・284頁・4色刷
  • ISBN 978-4-8306-3483-3
  • 2025年5月27日発行
定価 11,000 円 (本体 10,000円 + 税10%)
あり
在庫

内容

序文

主要目次

皮膚科医・小児科医を対象に,約120の小児皮膚疾患を豊富な臨床写真とともに解説する実践的アトラス.皮疹の全体像,分布,色調,好発年齢,経過などに着目し,診断のポイントを明快に提示.各疾患の解説では,子どもの皮膚疾患診療で重要となる病初期からピーク時までの経過写真も掲載し,診療現場での即戦力となるよう構成.子どもの皮膚を「診る力」を磨くための視点とヒントを凝縮した一冊.
序 文

 皮膚科医になって20年以上が過ぎましたが,その半分以上を小児皮膚科を専門として過ごしてきました.さまざまな疾患を抱えつつも,笑顔とエネルギーを与えてくれるこどもたちの成長を共に喜べることを励みに,日々診療にあたっています.皮膚疾患は患者さんやご家族自身が症状を目にすることができるため,不安も大きく,とりわけ小児では,成長とともに症状が変化したり,すべての特徴が揃わなかったりすることが多く,診療には特有の難しさがあると感じています.小児専門病院に赴任した際には,成人とは全く異なる疾患の頻度,同じ病名でも異なる症状に戸惑ったことを今でもよく覚えています.
 このたび,文光堂の佐藤真二さんにお声がけいただき,小児の皮膚疾患に関するアトラスを作成する機会に恵まれました.本書では,小児期ならではの成長や治療による皮疹の変化,年齢や時期ごとの特徴をできる限り反映するよう心がけました.限られた紙面の中ではありますが,疾患の経過や成長に伴う皮疹の変化を少しでもイメージできるよう,工夫を重ねています.
 また,小児では成人と異なる疾患が多く,皮膚科を受診しても「見たことがない」と言われ,養育者が戸惑いや不安を抱えることも少なくありません.そうした不安に少しでも寄り添い,実際の皮膚症状をできるだけわかりやすく示し,「見てわかる」ことを重視して本書をまとめました.
 本アトラスは,皮膚科医,小児科医のみならず,小児の皮膚疾患に関わるすべての医療従事者の皆様に,日常診療の一助として役立てていただけることを目指しています.目の前のこどもたちの皮膚症状に,自信をもって向き合う一助となれば幸いです.
 最後に,いつも真摯に患者さんと向き合って診療してくださる国立成育医療研究センターの仲間の先生方,これまで私をご指導くださった先生方,本アトラス掲載にご同意くださった患者様およびご家族の皆様,なかなか執筆が進まない私に寄り添ってくださった文光堂の照屋綾乃さん,村岡直樹さん,そして執筆の時間を支えてくれた家族に,この場を借りて心より感謝申し上げます.

 2025年5月
 吉田和恵
 国立成育医療研究センター皮膚科 診療部長
Ⅰ 総論
 1.小児の皮膚の特徴
 2.小児の皮疹の診察方法

Ⅱ 各論:疾患別皮膚のみかた
 1.湿疹・皮膚炎
  a.アトピー性皮膚炎
   1)乳児期
   2)小児期(幼児期・学童期)
  b.接触皮膚炎
  c.おむつ皮膚炎
  d.乳児脂漏性皮膚炎
  e.自家感作性皮膚炎
 2.感染症
  a.細菌感染症
   1)伝染性膿痂疹
   2)癤・癤腫症
   3)乳児多発性汗腺膿瘍(あせものより)
   4)ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群
  b.真菌感染症
   1)白癬
   2)カンジダ症
   3)癜風
   4)マラセチア毛包炎
  c.ウイルス感染症
   1)疣贅(イボ)
    ①尋常性疣贅
    ②扁平疣贅
    ③尖圭コンジローマ
   2)伝染性軟属腫(水イボ)
   3)水痘
   4)帯状疱疹
   5)単純性疱疹
   6)Kaposi水痘様発疹症
   7)伝染性紅斑
   8)手足口病
   9)Gianotti-Crosti症候群
   10)突発性発疹
  d.昆虫などによる皮膚炎
   1)疥癬
   2)虫刺症・毛虫皮膚炎
 3.蕁麻疹
  a.蕁麻疹
  b.肥満細胞症
  c.血管性浮腫
  d.ストロフルス
  e.自己炎症症候群
 4.紅斑・紅皮症
  a.多形滲出性紅斑
  b.結節性紅斑
  c.紅皮症
 5.膠原病とその類症
  a.全身性エリテマトーデス
   1)新生児エリテマトーデス
   2)小児の全身性エリテマトーデス
  b.皮膚筋炎
  c.強皮症
   1)全身性強皮症
   2)限局性強皮症
  d.Sjögren症候群
  e.若年性特発性関節炎
 6.血管炎
  a.IgA血管炎(アナフィラクトイド紫斑病)
  b.川崎病
  c.Behçet病
 7.物理的皮膚障害
  a.凍瘡(しもやけ)
  b.熱傷
 8.光線性皮膚疾患
  a.日光皮膚炎・日焼け
  b.種痘様水疱症
  c.ポルフィリン症
  d.色素性乾皮症
 9.薬疹
  a.播種状紅斑丘疹型薬疹
  b.固定薬疹型
  c.Stevens-Johnson症候群・中毒性表皮壊死症
  d.その他の薬疹
 10.水疱症
  a.先天性表皮水疱症
  b.自己免疫性水疱症
 11.角化症
  a.魚鱗癬
   1)尋常性魚鱗癬
   2)X連鎖性魚鱗癬
   3)道化師様魚鱗癬
   4)葉状魚鱗癬
   5)先天性魚鱗癬様紅皮症
   6)表皮融解性魚鱗癬
   7)魚鱗癬症候群
  b.掌蹠角化症
  c.毛孔性角化症
 12.炎症性角化症
  a.尋常性乾癬
  b.膿疱性乾癬(汎発型)
  c.苔癬状粃糠疹
  d.急性痘瘡状苔癬状粃糠疹(PLEVA)
 13.母斑・母斑症など
  a.扁平母斑
  b.先天性色素性母斑
  c.神経皮膚黒色症
  d.Spitz母斑
  e.蒙古斑・異所性蒙古斑
  f.青色母斑
  g.表皮母斑
  h.脂腺母斑(類器官母斑)
  i.乳児血管腫
  j.サーモンパッチ・Unna母斑
  k.毛細血管奇形・脈管奇形関連症候群
  l.先天性血管拡張性大理石様皮斑
  m.色素血管母斑症
  n.神経線維腫症1型
  o.結節性硬化症
  p.色素失調症
 14.色素異常症
  a.色素脱失が主体
   1)眼皮膚白皮症
   2)尋常性白斑
   3)まだら症
   4)Sutton母斑
   5)脱色素性母斑
  b.色素増強が主体
   1)雀卵斑
   2)遺伝性対側性色素異常症
   3)McCune-Albright症候群
   4)色素異常性固定紅斑
 15.形成異常
  a.無汗性/低汗性外胚葉形成不全症
  b.先天性皮膚欠損症
  c.肥厚性皮膚骨膜症
 16.腫瘍性疾患
  a.若年性黄色肉芽腫
  b.Langerhans細胞組織球症
  c.白血病
  d.リンパ腫
  e.神経芽腫
  f.移植片対宿主病(GVHD)
 17.付属器疾患
  a.汗腺の疾患
   1)汗疹
  b.脂腺の疾患
   1)尋常性痤瘡
   2)酒さ様皮膚炎
  c.毛髪疾患
   1)円形脱毛症
   2)トリコチロマニア
   3)先天性脱毛症・先天性毛髪異常
  d.爪の形態異常
   1)ばち状指
   2)匙状爪
   3)爪甲肥厚症
   4)陥入爪

索引