国試出題基準に準拠した標準テキスト.今日のリハビリテーション医学のエッセンスが分かる!
東洋療法学校協会編教科書
新版リハビリテーション医学
内容
序文
主要目次
1991年に上梓された本教科書は2015年に第4版まで版を重ね,今回約10年ぶりに『新版 リハビリテーション医学』として大幅改訂を行った.この間,医学は飛躍的に進歩し,新たな治療法や新薬の普及に加えて医療体制が整備されたことにより,多くの患者に恩恵をもたらしてきた.しかし,一方で後遺症を抱えて生きる人々は増え,急速に進む高齢化も相まって慢性疾患も増加の一途をたどっている.このようにわれわれの健康を取り巻く状況が変化している今,急性期・回復期・生活期の切れ目ないリハビリテーションの提供が求められている.その実現には多職種連携による協働が不可欠であり,あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師(以下,あはき師)が多職種の一員となるため,リハビリテーション医学の基礎と臨床に関する知識,技術をしっかりと身につけることが必須である.
改訂にあたり教科書検討小委員会の構成メンバーとして,学校・養成施設でリハビリテーション医学の教鞭をとっている先生方や,理学療法士とあはき師の両方の資格を持たれた先生方を迎えて本書の学修項目を選定した.幾度もの議論を経て,あん摩マッサージ指圧師,はり師,きゅう師国家試験出題基準2020年版(公益財団法人東洋療法研修試験財団編)への準拠に加えて,あはき師が臨床現場で遭遇する疾患や障害についても新たに取り上げ,対応上のポイントやリスク管理を記載するなど,あはき師からの視点を活かした内容となっている.また,用語については『リハビリテーション医学・医療用語集 第8版』(日本リハビリテーション医学会編)に基づいている.
本書を作成するうえで工夫したのは,読者の理解を促すために本文を短文による箇条書きで構成した点である.また,「総論」と「各論」の2部構成とし,「総論」では測定法や定義を最新のものに更新し,リハビリテーション医学の知識・技術の理解を深めるためビジュアルにて解説することを心がけた.とりわけ義肢・装具には多くのイラストを入れてイメージしやすいようにしている.「各論」における疾患は,安保雅博先生をはじめとする東京慈恵会医科大学リハビリテーション医学講座の先生方にご執筆いただき,最新の知見に基づいて「1.基礎知識」「2.リハビリテーション治療の要点」「3.リスク管理」という統一した流れで記載されている.第一線で活躍するリハビリテーション専門医により解説されている本書は理解しやすく,卒業後も利用できる実用的な教科書となっている.本書で学ぶみなさまが最新のリハビリテーション医学の知識と技術を身につけ,チーム医療の一翼を担う医療者になっていただきたいと切に願っている.
今後も,本書がより臨床的に役立つ教科書となるよう,忌憚のないご意見をいただき内容の充実を図っていきたいと考えている.最後に,タイトなスケジュールかつ困難な編集作業に対し,多くの時間を費やしてくださった東京慈恵会医科大学リハビリテーション医学講座の先生方,教科書検討小委員会の先生方,原稿に対しご教示いただきました有識者のみなさま,今回当協会の教科書を初めて担当された株式会社文光堂のみなさまなど,多大なるご尽力をいただいたみなさまに厚くお礼を申し上げ,「序」に代える.
2024年3月
教科書検討小委員会
代表 新井 恒紀
第1章 リハビリテーション医学・医療
1 理念・目的
2 語源・歴史
3 生活機能分類
4 リハビリテーションの分野
5 リハビリテーション医療
6 リハビリテーション医療チーム
7 地域リハビリテーション
第2章 運動学
1 バイオメカニクス
2 機能解剖学
3 運動発達
4 姿勢制御
5 歩 行
6 運動学習
第3章 診断・評価学
1 診断・評価とは
2 リハビリテーション診療の流れ
3 検査・測定
第4章 治療学
1 運動療法
2 物理療法
3 作業療法
4 言語聴覚療法
5 補装具
6 自助具・福祉機器
第Ⅱ部 各 論
第1章 整形外科疾患
1 運動器疾患―上肢
2 運動器疾患―下肢
3 運動器疾患―脊椎
4 脊髄損傷
5 切 断
6 関節リウマチ
7 スポーツ傷害
第2章 神経疾患
1 脳血管障害
2 パーキンソン病
3 脊髄小脳変性症・多系統萎縮症
4 筋萎縮性側索硬化症
5 末梢神経障害
6 ポリオ(急性灰白髄炎)
第3章 内部障害
1 虚血性心疾患
2 呼吸器疾患
3 糖尿病
4 腎・尿路疾患
第4章 が ん
第5章 高齢者に多くみられる疾患
1 骨粗鬆症
2 廃用症候群
3 認知症
第6章 小児疾患
1 脳性麻痺
2 筋ジストロフィー症・二分脊椎
索 引