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超超高齢社会に突入した日本で最重要問題である認知機能の諸問題への対応策となる一冊!

どう向き合う!? 高齢者の認知機能(電子版のみ)

セラピストのための基本的な考え方と臨床応用

  • 編集:牧迫飛雄馬(鹿児島大学教授)
  • B5判・220頁・2色刷
  • ISBN 978-4-8306-4576-1
  • 2019年6月9日発行
定価 4,950 円 (本体 4,500円 + 税10%)
なし
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内容

序文

主要目次

世界で例を見ない超超高齢社会に突入した日本の高齢者における認知機能の障害や衰えは,最も重要な社会問題の一つである.その高齢者の認知機能を捉えるための基本となる考え方や知識のほか,臨床応用を見据えた対策を様々な立場から解説している.高齢者を対象とする機会の多い臨床において,誰しもが遭遇する可能性がある事象を例に挙げ,認知機能の諸問題への対応策・解決策として,リハビリテーションの道筋の基盤になる書である.


 平成元年(1989年)における日本の全人口に占める65歳以上の割合(高齢化率)は11.6%であった.当時の厚生白書(平成2年版)によると,2021年には高齢化率が23.6%に達すると予測されていた.ところが,平成30年(2018年)における日本の高齢化率はすでに28.1%に達しており,70歳以上の割合は20.7%に至っている.つまり,平成の30年間で日本の高齢化率は15%以上の増大を示しており,その増大の程度は当時の予想を上回る進展であったといえよう.
 少子化や核家族化の進展なども相まって,介護を必要とする状態においては社会全体で支えることができる体制の構築を目的に介護保険制度が平成12年(2000年)4月より施行され,社会情勢や給付費の動向などを考慮して3年ごとに改正がなされ,介護保険制度は継続している.なお,介護保険制度が施行された2000年における日本の高齢化率は17.3%とされている.
 介護を必要とする高齢者の背景も変化しつつある.介護保険制度の施行当初より,脳血管疾患が要支援・要介護の原因疾患として最も多かったが,平成28年(2016年)「国民生活基礎調査(厚生労働省)」においては,脳血管疾患を上回り認知症が18.7%と最も多くなっている.つまり,日本での人口増加が顕著である層の高齢者における認知機能の障害や衰えは,最も重要な社会的な問題のひとつといっても過言ではないであろう.
 本書では,さまざまな立場から高齢者の認知機能を捉えるための基本となる考え方や知識の他,臨床応用を見据えた対策を解説している.とりわけ,高齢者を対象とする機会の多い臨床において誰しもが遭遇する可能性がある事象を例に挙げ,臨床での応用策の一助になればと切に願い企画・構成した.目の前の患者または利用者における認知機能の諸問題への対応策について,ひとつの解答を導くのは容易ではないであろうし,解答が存在しないことも少なくないかもしれない.とはいえ,その解決策を模索することをあきらめるわけにはいかない.必ずしも思うような結果とならないこともあるかもしれないが,そのような試行錯誤の積み重ねが,世界で例のない超高齢社会(super-aged society:高齢化率21%)のその先のいわば「超々高齢社会(hyper-aged society:高齢化率28%超)」におけるリハビリテーションの道筋の基盤になるものと信じている.
 高齢者のリハビリテーション領域における医療,介護,福祉領域,および予防のための健康増進活動に関する日々の臨床や研究において,本書が疑問や問題解決のための何らかのきっかけとなることを心より願っている.
 最後に,本書を企画・出版するに当たり,ご協力ならびにご支援いただいた全ての方々に感謝申し上げる.

 令和元年6月
 牧迫飛雄馬
1 そもそも…認知機能とは―認知機能の理解と整理―
 1 認知(機能)の定義
 2 ICFにおける認知機能の分類
 3 認知機能の階層性と情報処理過程
 4 認知機能と知能
 5 認知機能は,情動に影響を受けるか
2 どのように衰えるのか―加齢に伴う認知機能の変化―
 1 加齢に伴う認知機能の変化を理解する意義
 2 加齢に伴う全般的認知機能の変化
 3 要素的認知機能の加齢変化
 4 加齢に伴う認知機能低下の影響因子
3 軽度の認知機能低下を評価する―認知機能評価のあれこれ―
 1 認知機能の領域と評価指標
 2 軽度の認知機能低下を判断するための適切な評価ツール
 3 軽度の認知機能低下を把握する面接での質問事項やチェック項目
 4 軽度の認知機能低下を評価する手順
4 MCI(軽度認知障害)とは―概念と定義―
 1 MCI(軽度認知障害)とは
 2 認知的フレイル(cognitive frailty)とは
 3 MCRとは
 4 まとめ
5 認知機能評価指標の使い分け―認知症患者の認知機能評価に適した指標―
 1 認知症の認知機能障害
 2 スクリーニング検査
 3 認知症患者の認知機能評価として注意すべき点
6 コグニティブ・フレイルとは―新たな概念―
 1 フレイルという概念
 2 コグニティブ・フレイルの定義
 3 コグニティブ・フレイルの有症率
 4 新たなコグニティブ・フレイル
7 どこをみる? MRI画像―おさえておきたいMRI画像のみかた―
 1 脳MRIによる認知症の画像診断
8 MRI画像だけではない―補助画像診断のあれこれ―
 1 認知症の補助画像診断
 2 脳血流SPECT
 3 DaTSCANとMIBG心筋シンチグラフィ
 4 PET
 5 症例提示
9 身体機能は何の指標で評価する?―推奨される身体機能評価―
 1 地域高齢者における認知機能と身体機能の関連性
 2 地域高齢者の認知機能の低下と関連する身体機能評価―筋力―
 3 地域高齢者の認知機能の低下と関連する身体機能評価―バランス能力―
 4 地域高齢者の認知機能の低下と関連する身体機能評価―移動能力―
 5 まとめ
10 社会的な側面も重要―社会的要素の評価と介入―
 1 社会的な側面と健康問題
 2 社会的な側面と認知機能との関連
 3 社会的側面が健康に影響を与える生理学的メカニズム
 4 社会的な側面の評価方法
 5 社会的側面に対する介入
11 どうすれば認知機能低下を予防できる?―発症予防のための介入戦略―
 1 身体活動と認知症
 2 身体活動が認知機能に影響を及ぼすメカニズム
 3 身体活動が認知機能に及ぼす介入効果
 4 まとめ
12 認知症を進行させないために―進行予防のための介入戦略―
 1 認知症の進行予防のために有効な介入戦略
 2 認知症の進行予防のための介入戦略の実際
13 認知機能の異変にどう気づく?―「何か変?」に対応するポイント―
 1 高齢者によくみられる認知機能,精神機能の影響要因
 2 せん妄
 3 うつ
 4 軽度認知障害〜認知症の初期に呈するBPSD
 5 まとめ
14 自助努力を促す―日常で認知機能低下予防のために心掛けるポイント―
 1 わが国における認知症とその課題
 2 認知症を予防する日常生活因子
 3 認知機能低下を予防する「活動」・「参加」
 4 認知機能低下を予防するライフスタイル
 5 認知機能低下を予防する日常生活における工夫
 6 まとめ
15 運転は続けるべき?やめるべき?―運転技能の評価と対策―
 1 運転に関わる際の基礎知識
 2 運転に関する評価と指導
 3 運転に関する指導
 4 まとめ
16 何をどのように伝えるか?―現場における家族への対応―
 1 わが国における認知症患者とその家族介護者
 2 認知症と介護負担
 3 MCIや初期の認知症を有する高齢者の家族への対応
 4 重度認知症高齢者を介護する家族への対応
 5 認知症被介護者における介護サービスと入所・入居
 6 まとめ
17 さまざまな技術を活用する―認知機能を支援する機器や福祉用具―
 1 最新の技術を用いた認知機能の支援
 2 服薬支援
 3 物品管理支援
 4 スケジュール管理
 5 家事動作支援
 6 排尿支援
 7 見守り支援
 8 徘徊対策
 9 コミュニケーション支援
 10 福祉用具の今後
索 引