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ヒトの姿勢・運動のメカニズムを丁寧に解説!運動を安定と協調に導く理論と実践!!

運動制御と臨床応用

運動・姿勢のメカニズムと協調性の理論と実践

カバー写真
  • 著:浅賀忠義(北海道大学教授)
  •    吉田直樹(岡山医療専門職大学教授)
  • B5判・264頁・2色刷(一部4色刷)
  • ISBN 978-4-8306-4584-6
  • 2020年6月発行
定価 5,500 円 (本体 5,000円 + 税)
あり
在庫
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※電子版の購入方法は,各販売サイトにてご確認ください.

内容

序文

主要目次

本書では,シミュレータやモデルを用いて捉えたヒトの身体制御システムについて,国内外の研究結果に基づく豊富な知見と多数のイラストを盛り込みながら丁寧に解説している.
Ⅰ部ではFB制御,FF制御などシミュレータを用いた運動制御・運動学習,Ⅱ部では姿勢制御とその運動学習,Ⅲ部ではUCM解析の理論と運動の協調性の定量化を取り上げている.さらに付録として著者自らが作成した制御シミュレータの取得・操作マニュアルが付いており,読んで理解するのみならず,操作し体感しながら制御の理論や仕組みの理解を深めることができる.
リハビリテーション医学とシステム工学の連携に興味がある研究者をはじめ,さまざまな側面からヒトの姿勢・運動のメカニズムを理解し,臨床で活用したい理学療法士や作業療法士,医師にとっても必読の一冊だと言えよう.

序 文

 目指していた出版の年から4年もの歳月が流れてしまった.その年を目指した理由は,運動制御では世界的に高名なマーク・ラタッシュ教授のもとで直接指導を仰ぐという贅沢な時間を過ごしてから丁度10年目という節目でもあったからだ.この研究留学が実現できたのは,私が渡米する1年ほど前から同研究室を訪れていた共著者である吉田直樹先生の紹介によるところが大きい.この研究室では,姿勢制御と多指制御のグループに分かれ運動制御のメカニズム解明に向けての研究が世界各国から集ってきた研究者らと行われていた.理学療法士である私はやがて姿勢制御のグループに加わり,作業療法士である吉田先生はすでに多指制御のグループに加わっていたことには何ら疑問の余地もない.執筆の依頼が来たときは,帰国してからこれまでの探究の足跡をまとめてみるのも悪くはないかなという気にもなったが,目の前の論文執筆でそれどころではないというのが本音であった.しかし,初学者向けの専門書が多数出版されているなかで,出版社の方からこの領域の研究者または大学院生向けに執筆してみてはどうかという予想外の提案が本腰を入れるきっかけとなった.さらには,この研究室では私の留学以前から運動の協調性を定量化する解析方法を用いた研究が盛んに行われていたわけだが,この解析方法については論文中にお決まりの算出式が出てくるのみで,噛み砕いた説明が皆無であったことも背中を押したといえよう.ちなみに,この方法は世界で唯一であることもあって,現在も途絶えることなくUCM解析を用いた論文が世に出ている.
 本書の第Ⅰ部は吉田先生が担当し,工学的視点から運動制御理論の基礎について説明している.医療系の分野の研究者にとっては,新しい視点が提供されることが期待される.特に,運動を「作ってみる」という作業を通して理論の信頼性を高めるという独自の工夫がなされている.第Ⅱ部は私が担当し,姿勢制御をテーマにしたこれまでの研究成果をまとめている.臨床での応用を意識したつもりであったが,仮説や臨床上の提案が散りばめられたような内容となった.特に,リハビリテーション分野の研究者および臨床家のヒントになることを意図している.第Ⅲ部の第7章は吉田先生が担当し,UCM解析の理論を数理的に解説している.これだけひも解いて説明しているのは世界初ではないかと確信している.第8章は私が担当し,この解析方法を用いた姿勢制御への応用に関するいくつかの研究成果を紹介している.
 本書の一部にでも興味をもたれ,ヒトの運動・姿勢制御の面白さを共感してもらえれば今までの苦労が吹き飛ぶ思いである.この企画を諦めることなく辛抱強く支えていただいた文光堂の中村晴彦様,私の粗雑な日本語を適切に指摘していただいた同社の西菜々子様,また,第Ⅱ部の一部に協力いただいた当ゼミ出身の萬井太規氏(大分大学),長谷川直哉氏(北海道大学),武田賢太氏(国立障害者リハビリテーションセンター研究所)や院生である丸谷孝史・石川啓太両氏に,この場を借りて深く感謝申し上げたい.広く読者の方々からさまざまなご批判をいただけると幸いである.

2020年春 研究室にて
浅賀忠義

第Ⅰ部運動制御理論の基礎
 第1章 制御理論への招待
  1 工学的運動制御理論の視点
  2 システムとモデル
  3 階層間変換と不良設定問題
  4 制御する側とされる側のシステム:操作量≠制御量
 第2章 シミュレータで学ぶフィードバック制御
  1 フィードバック制御とは:手動制御と自動制御
  2 ON-OFF制御
  3 比例制御
  4 PID制御
  5 時間遅れのある系でのフィードバック制御
  6 フィードバック制御の理解を深めるための補足
 第3章 シミュレータで学ぶ運動制御と運動学習
  1 適切な軌道の実現:定値制御と追値(追従)制御
  2 フィードフォワード制御
  3 制御対象のモデルを用いた制御
  4 ニューラルネットワークと学習
  5 逆モデルの学習とフィードフォワード制御
  6 フィードバック誤差学習

第Ⅱ部 姿勢制御と臨床応用
 第4章 姿勢の安定性
  1 安定性限界
  2 COMとCOPの位置関係
  3 安定性臨界
 第5章 姿勢反応
  1 予測的姿勢調節
  2 代償的姿勢反応
  3 ステッピング戦略
 第6章 姿勢制御の運動学習
  1 感覚フィードバック
  2 顕在学習と潜在学習
  3 バランス練習による神経可塑性

第Ⅲ部 運動の協調性と定量化
 第7章 UCM解析の理論
  1 冗長性と協調性
  2 グラフ上の点のバラツキから協調性を読み取る
  3 UCM解析の計算原理と計算例
  4 より一般的な場合のUCM解析の計算式
 第8章 姿勢制御の協調性と定量化
  1 ステップ1:筋シナジー
  2 ステップ2:ヤコビ行列(ヤコビアン)
  3 ステップ3:UCM解析

付録 単関節運動制御シミュレータUniAxisJoint.jar操作説明書
略語一覧
索引
著者略歴