第一線の生理学者が作成・厳選した381問!CBTの形式に完全準拠!!
生理学問題集(CBT準拠)
内容
序文
主要目次
☆モノクロ写真7点,イラスト63点
本書を手に取った学生の皆さんへ
初版の「CBT準拠MCQによる生理学問題集」が出版されて10年が経とうとしています.この間,研究の面でも大学教育の面でも大きな変化がありました.研究面で最も大きい変化の一つは幹細胞研究がiPS 細胞へと発展し,臨床応用が始まったことです.教育面での変化は, 統合カリキュラムが多くの大学で取り入れられ,学問体系別授業と統合的授業の混在するカリキュラムが実体化し,成熟しつつあることです.生理学でも症例問題を用いての授業がごく自然に行われるようになりました.共用試験では, 各大学の先生方がCBTの作問に慣れ,ブラッシュアップもスムースに行われるようになって,良問が出題されるようになりました.さらに,臨床実習を長期化するカリキュラム改変が全国的に進行中です,臨床実習が長くなるからと言って各大学が基礎医学系の授業を疎かにしているわけではなく,全国アンケートの結果からは短縮されていないことがわかりました.
以前から,臨床実習を開始した医学生から,「もう少し生理学をやっておけばよかった」という声をよく聞きます.上級生になれば生理学が臨床医学の基礎になっていることが実感できます.しかし,生理学を学習する時期はどうでしょうか.「現象」という実体がなく,難解な生理学に悪戦苦闘し,試験を何とか通すことが目的になってしまうのではないでしょうか.生理学の面白さや,臨床での重要性を自覚しながら学習している学生さんはどれくらいいるのでしょうか・・・少々心配になります.
今回の改訂にあたり,問題はすべて見直し,想起型の設問を減らしました.そして,図を用いた問題を増やし, 症例問題も多く取り入れました.CBTよりも難易度の高い設問も多く含まれています.これらの問題を通じ, 本書を試験対策に活用するばかりではなく,論理的思考のトレーニングの一助とするとともに,臨床医学と生理学が直結しているという認識を持っていただけたら嬉しいです.なお,各設問の解説は必要最小限にしてあります.設問を解き進めるだけではなく,生理学の教科書を傍らに置き,疑問点はその場で解決するようにしてください.正解を記憶するのではなく,内容の理解に努めてください.また,改訂版とは言っても多くの問題は今回新たに作成されたもので,不備な点はまだまだあるかもしれません,その場合は遠慮なくお問い合わせいただけると幸いです.
本書の作成には生理学分野をはじめとする多くの先生方に作問やブラッシュアップでお世話になりました.この場を借りて御礼申し上げます.特に,多大な時間をかけて問題のブラッシュアップに取り組んでくださった日本生理学会教育委員会の先生方,特に,とりまとめやブラッシュアップに奔走してくださった,東京慈恵会医科大学の南沢享先生に深謝いたします.
本書がこれからも学生さんとともに版を重ねていくことを希望しています.
日本生理学会副理事長(教育担当)
日本生理学会教育委員会委員長 鯉淵典之
1. 細胞の構成と機能
I.細胞の構造と機能
II.細胞膜
●細胞膜の機能
●細胞内液・外液のイオン組成、浸透圧、静止膜電位
●イオンチャネル、ポンプ、受容体、酵素
●能動・受動輸送
●分泌と吸収
●細胞接着
III.細胞骨格と細胞運動
●細胞骨格のタンパク質
●アクチンフィラメントと細胞運動
●細胞内輸送システム
●微小管
2. 組織・各臓器の機能
Ⅰ.組織・各臓器の構造と機能
●上皮組織と腺
●支持組織と細胞間質
●血管とリンパ管の微細構造
●神経組織の微細構造
●骨格筋、心筋、平滑筋の構造と機能
3. 個体の調節機構とホメオスタシス
I.情報伝達の基本
●情報伝達の種類と機能
●受容体による情報伝達
●細胞内情報伝達
●カルシウムイオンの役割
II.神経による情報伝達の基礎
●活動電位の発生機構と伝導
●シナプスの形態とシナプス伝達機能、可塑性
●軸索輸送
●感覚受容の種類と機序
●反射(弓)
III.ホメオスタシス
●生体の恒常性維持と適応
●恒常性維持のための調節機構・ネガティブフィードバック
●体温の恒常性維持
●体液のpHと緩衝系
●生体機能・環境のリズム性変化
IV.生体物質の代謝
●エネルギー代謝・基礎代謝
B 人体各器官の正常構造と機能
1. 血液・造血器・リンパ系
●骨髄の構造
●造血幹細胞からの分化と成熟
●脾臓・胸腺リンパ節の構造と機能
●血漿タンパク質の種類と機能
●赤血球とヘモグロビン
●白血球
●血小板・止血・凝固・線溶
2. 神経系
Ⅰ.神経系の一般特性
●中枢神経系と末梢神経系の構成
●脳の血管支配と血液脳関門
●脳のエネルギー代謝
●脳内神経伝達物質
●脳膜・脳室の構造と脳脊髄液の産生と循環
II.脊髄と脊髄神経
●脊髄の構造・機能局在と伝導路
●脊髄反射と筋の相反神経支配
●神経叢と骨格筋支配・皮膚分布
III.脳幹と脳神経
●脳幹の構造と伝導路
●脳幹の機能
IV.大脳と高次機能
●大脳の構造
●大脳皮質の機能局在
●記憶・学習の機序・辺縁系
V.運動系
●随意運動の発現・錐体路
●小脳の構造と機能
●大脳基底核の線維結合と機能
VI.感覚系
●表在・深部感覚と伝導路・関連痛
VII.自律機能と本能行動
●自律神経の局在・末梢分布・機能と伝達物質
●視床下部の構造と機能
●ストレス反応と本能・情動行動
3. 皮膚系
●皮膚の組織構造
●皮膚の細胞動態と角化、メラニン形成の機構
●皮脂分泌・発汗・経皮吸収
4. 運動器(筋骨格)系
●骨・軟骨・関節・靭帯の構造と機能
●四肢の主要筋群の運動と神経支配
●骨の成長と骨形成・吸収の機序
●抗重力筋
5. 循環器系
●心臓の構造と分布する血管・神経
●心筋細胞の微細構造と機能
●心筋細胞の電気現象・刺激伝導系・心電図
●興奮収縮連関
●体循環・肺循環・胎児循環
●心周期
●心機能曲線と心拍出量の調節
●毛細血管における物質交換
●リンパ循環
●主な臓器の循環調節
●血圧調節機序・血圧測定
●血流の局所調節
●運動時の循環反応
6. 呼吸器系
●肺循環の特徴
●呼吸筋と呼吸運動の機序
●肺気量・コンプライアンス
●ガス交換と血流
●換気血流比と血液ガス
●呼吸中枢を介する呼吸の調節
●血液によるO2・CO2の運搬
7. 消化器系
●腹膜と臓器の関係
●消化管の基本構造と機能
●消化管運動のしくみ・調節
●消化管に対する自律神経の作用
●肝の構造と機能
●胃液の作用と分泌機序
●胆汁の作用と胆囊収縮
●膵外分泌系の構造と膵液の作用
●小腸における消化・吸収
●大腸における糞便形成と排便
●主な消化管ホルモン
●歯・舌・唾液腺の構造と機能
●咀嚼と嚥下の機構
8. 腎・尿路系と体液・電解質バランス
●体液の量と組成・浸透圧
●腎・尿路系の形態と機能
●腎の機能やネフロン各部の構造と機能
●糸球体における濾過
●尿細管での分泌・再吸収・濃縮
●腎に作用するホルモン・血管作働物質
●蓄・排尿の機序
9. 生殖機能系
●生殖腺の発生・性分化
●男性生殖器の発育過程
●男性生殖器の形態と機能
●精子の構造と精子形成
●陰茎の構造と勃起・射精
●女性生殖器の形態と機能
●性周期発現と排卵の機序
10. 妊娠と分娩
11.乳 房
●乳房の構造と機能
●乳汁分泌に関するホルモン
12.内分泌・栄養・代謝系
●ホルモンの分類・作用機序
●ホルモン分泌の調節機構
●視床下部・下垂体
●甲状腺・副甲状腺
●副 腎
●膵 島
●男性ホルモン・女性ホルモン
●糖質・タンパク質・脂質の代謝
13.眼・視覚系
●眼球と付属器の構造と機能
●視覚情報の受容と伝導路
●眼球運動のしくみ
●対光反射・輻湊反射・角膜反射
14.耳鼻・咽頭・口腔系
●口腔・鼻腔・咽頭
●喉頭の機能と神経支配
●聴覚・平衡覚の受容のしくみと伝導路
●平衡感覚機構と眼球運動・姿勢制御
●味覚と嗅覚の受容のしくみと伝導路
C 全身に及ぶ生理的変化
1. 成長と発達
Ⅰ.胎児・新生児
II.乳幼小児期
III.思春期
2. 加齢と老化
●加齢に伴う臓器の構造・機能変化
索引