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乳腺エキスパートがあなたのギモンにお答えします!

新刊

ここが知りたい!乳癌診療現場のギモン

  • 監修:増田慎三(京都大学大学院医学研究科乳腺外科学)
  • 編集:増田紘子(がん・感染症センター都立駒込病院外科(乳腺)/臨床研究・治験センター)
  • 編集 吉波哲大(大阪大学大学院医学系研究科乳腺・内分泌外科学)
  • B5判・272頁・2色刷(一部4色刷)
  • ISBN 978-4-8306-2350-9
  • 2025年6月24日発行
定価 8,580 円 (本体 7,800円 + 税10%)
あり
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内容

序文

主要目次

このケースにこの選択は最善? 何を信じてどう説明する? 教科書にもガイドラインにもない,セミナーでも取り扱われてない,でも確実に診療の質を左右するClinical Question(CQ)に,乳腺エキスパートが「いま考え得る最適解」「私のやり方」を答えてくれました.巻末には未来を見据えたFuture Question(FQ)も収録.認定医・専門医を目指す若手医師はもちろん,ベテラン医師も,メディカルスタッフも,それぞれの診療現場で頼れる一冊.
序 文

 本書『ここが知りたい!乳癌診療現場のギモン』は,乳腺診療に携わる全ての医師に向けて,日々の臨床で直面する“かゆいところ”に手が届く一冊を目指して企画されました.
 乳癌診療の現場に立つと,私たちはしばしば思い知らされます.教科書やガイドラインだけでは答えが得られない問いが,患者さんの数だけ存在することを.
 「この選択は,本当に患者さんにとって最善だろうか?」
 「今,この瞬間,何を信じて進めばよいのだろうか?」
 本書は,そのような臨床現場での日々の葛藤と,エビデンスのみでは導けない問いに寄り添うために生まれました.教科書からもセミナーからも単純解が見つからない,しかし確実に診療の質を左右するClinical Question(CQ)に,真正面から向き合ったのが本書です.
 確立された標準治療の理解を踏まえつつ,それらをいかに実際の患者さんに応用していくか,日常診療の中で鍛え上げられた経験知と推論に基づき,第一線のエキスパートたちが惜しみなく最適解を共有しています.エビデンスをどう解釈し,その統合によりコンセンサスを築いていくのか――その思考プロセスもまた,皆さまにお届けできるものと期待しています.
 本書の読者は,これから認定医・専門医を目指す若手医師から,第一線で活躍されるベテラン医師まで,そして,乳腺診療のチームメンバーであるメディカルスタッフの皆様にも,広く想定しています.日常診療の合間に手に取り,ふとした疑問への道標として,様々な職種やキャリアの視点から,自らのご経験とお考えを織り交ぜながら,次世代へと伝えるべき「考え方」のヒントとして役立てていただければ,これ以上の喜びはありません.
 患者さん一人ひとりに寄り添う診療現場で,皆様に頼られる一冊となりますように.

 2025年5月
 増田紘子・吉波哲大
 増田慎三
STEP1~7:乳癌診断から治療構築まで
Ⅰ章 STEP1 良悪性鑑別診断のギモン
 CQ 1 乳癌を疑ったとき,画像診断はどのように進めますか?―乳腺診療における画像診断のポイント
 CQ 2 針生検(CNB)と 吸引式組織生検(VAB)はどのように使い分けますか?
 CQ 3 囊胞性病変の最適な診断方法について教えてください
 CQ 4 切除生検が推奨されるのはどのような場合ですか?
 CQ 5 乳頭異常分泌症に対する診断はどのように進めますか?
 CQ 6 mucocele-like lesionやADHと診断された場合,どのような対応をすべきですか?
 CQ 7 悪性を疑いやすい良性病変はどのような経過観察が推奨されますか?

Ⅱ章 STEP2 乳癌ステージングと治療方針決定のギモン
 CQ 8 乳房超音波検査とMRI検査の診断に乖離を認めた場合,どうすればよいですか?
 CQ 9 多発病変に対する治療の進め方を教えてください
  [Editor’s Column]同時両側乳癌でバイオロジーが異なるときにどのような治療アプローチを考えますか?
 CQ 10 腋窩リンパ節転移を疑った場合,病理学的診断は必須ですか?
 CQ 11 初診時に内胸リンパ節/鎖骨上リンパ節転移が疑われたらどうしますか?
 CQ 12 潜在性乳癌の最適な治療の進め方を教えてください
 CQ 13 特殊癌に対する最適な治療の進め方を教えてください
 CQ 14 高齢者に対して,周術期の治療方針を構築する際に,考慮すべきポイントを教えてください
 CQ 15 妊孕性温存の推奨は,年齢や再発リスクで変わりますか?
 CQ 16 HBOCを疑った場合,BRCA遺伝学的検査のタイミングはいつが望ましいですか?
 CQ 17 局所進行乳癌の最適な治療の進め方を教えてください
 CQ 18 炎症性乳癌の最適な治療の進め方を教えてください
 CQ 19 男性乳癌の最適な治療の進め方を教えてください

Ⅲ章 STEP3 術前薬物療法のギモン
 CQ 20 術前内分泌療法のエビデンスにはどのようなものがありますか?標準治療として行っていますか?
 CQ 21 手術待機中に,内分泌療法を行うことは勧められますか?
 CQ 22 Luminal乳癌における術前化学療法の適応は?至適レジメンについて教えてください
 CQ 23 HER2陽性乳癌における術前化学療法の適応は?至適レジメンについて教えてください
 CQ 24 トリプルネガティブ乳癌における術前化学療法の適応は?至適レジメンについて教えてください
 CQ 25 低悪性度のトリプルネガティブ乳癌の術前化学療法の適応について教えてください
 CQ 26 ER弱陽性(10%未満)HER2陰性乳癌は,トリプルネガティブ乳癌として治療すべきですか?

Ⅳ章 STEP4 手術療法のギモン
 CQ 27 乳頭乳輪温存乳房全切除術(NSM)はどのような症例に適応しますか?
 CQ 28 ラジオ波焼灼療法(RFA)の適応となるのはどのような症例ですか?
 CQ 29 ロボット手術の適応となるのはどのような症例ですか?
 CQ 30 センチネルリンパ節の最適な同定法は?―ICG蛍光法はRI併用法に代わりますか?
 CQ 31 色素法やRI 法の検索で,腋窩ではなく鎖骨上単独もしくは内胸リンパ節へ流れたときどうしますか?
 CQ 32 センチネルリンパ節に微小転移,もしくはマクロ転移が認められた場合,郭清は行うべきですか?
 CQ 33 センチネルリンパ節生検を省略できる症例はありますか?
 CQ 34 DCIS 症例に対してセンチネルリンパ節生検は行いますか?
 CQ 35 術前化学療法後のセンチネルリンパ節生検は安全に行えますか?
 CQ 36 levelⅢ郭清の適応はどのような症例ですか?
 CQ 37 乳房内局所再発に対して再センチネルリンパ節生検を適応しますか?

Ⅴ章 STEP5 放射線療法のギモン
 CQ 38 乳房部分切除後の放射線治療を省略できる症例はありますか?
 CQ 39 寡分割照射はどのような症例に行いますか?
 CQ 40 全乳房照射後,腫瘍床ブースト照射の適応となるのはどのような症例ですか?
 CQ 41 乳房全切除術後放射線療法(PMRT)の適応となるのはどのような症例ですか?
 CQ 42 術前化学療法後における乳房全切除術後放射線療法(PMRT)または領域リンパ節照射の適応はどのように考えますか?

Ⅵ章 STEP6 術後薬物療法のギモン
 CQ 43 DCISに対する術後内分泌療法の適応はどのように決定しますか?
 CQ 44 浸潤癌における術後内分泌療法の適応を教えてください
 CQ 45 LH-RHa 併用の適応と,その期間について教えてください
 CQ 46 再発高リスクgBRCA陰性Luminal 乳癌の治療選択は?ーS-1 とアベマシクリブ
 CQ 47 再発高リスクgBRCA陽性Luminal 乳癌の治療選択は?ーオラパリブとアベマシクリブ
 CQ 48 Oncotype DXはどのような症例に行いますか?
 CQ 49 アンスラサイクリン系薬剤とタキサン系薬剤を用いる場合,どちらから開始しますか?
 CQ 50 TC療法はどのような症例に最適ですか?
 CQ 51 weeklyパクリタキセル+トラスツズマブ療法はどのような症例に最適ですか?
 CQ 52 HER2陽性pCR症例の術後薬物療法には,トラスツズマブ+ペルツズマブ両方必要ですか?
  [Answer1]必要の立場から
  [Answer2]不要の立場から
 CQ 53 KEYNOTE-522レジメンでpCRの場合も術後ペムブロリズマブ単剤は必要ですか?
 CQ 54 KEYNOTE-522レジメンでPDの場合,術後ペムブロリズマブ投与は有益と考えますか?
 CQ 55 pCRかnon-pCRか以外に,病理学的奏効の程度で術後薬物療法を変更しますか?

Ⅶ章 STEP7 術後経過観察のギモン
 CQ 56 最適な術後の経過観察について教えてください
 CQ 57 BRCA病的バリアントを認める場合,対側リスク低減乳房切除術(CRRM)卵管卵巣摘出術(RRSO)を早急に行うべきですか?
 CQ 58 BRCA病的バリアントを認める場合,乳癌卵巣癌以外の癌の発症に対するアプローチやケアについて教えてください
 CQ 59 運動療法など,患者の予後やQOLを高める工夫はありますか?

Ⅷ章 転移再発乳癌のギモン
 CQ 60 一次治療のCDK4/6阻害薬は,パルボシクリブかアベマシクリブかどちらがお勧めですか?
  [Answer1]パルボシクリブ
  [Answer2]アベマシクリブ
 CQ 61 CDK4/6阻害薬は,PD後も内分泌療法を変更して継続した方がよいですか?
 CQ 62 カピバセルチブの使いどころについて教えてください
 CQ 63 エベロリムスの使いどころについて教えてください
 CQ 64 エリブリンの使いどころについて教えてください
 CQ 65 経口5-FU製剤(カペシタビンS-1)の使いどころについて教えてください
 CQ 66 トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)の後治療はどのように考えますか?―HER2陽性のとき
 CQ 67 トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)の後治療はどのように考えますか?―HER2低発現のとき
 CQ 68 サシツズマブ ゴビテカン(SG)の特徴と使いどころについて教えてください
 CQ 69 ダトポタマブ デルクステカン(Dato-DXd)の特徴と使いどころについて教えてください
 CQ 70 一次治療の免疫チェックポイント阻害薬(ICI)はアテゾリズマブかペムブロリズマブかどちらがお勧めですか?
 CQ 71 オラパリブと免疫チェックポイント阻害薬(ICI)はどちらを先に使いますか?
 CQ 72 オラパリブとタラゾパリブの違いについて教えてください
 CQ 73 導入化学療法から維持療法という概念の適否について教えてください
 CQ 74 臨床的完全奏効(CR)症例の薬物療法はいつまで継続すればよいですか?
 CQ 75 late line治療はいつまで継続していますか?
 CQ 76 デノスマブはいつまでも続けるべきですか?
  [Answer1]乳腺外科の立場から
  [Answer2]口腔外科の立場から
 CQ 77 脳転移に対する放射線治療とその効果について教えてください
 CQ 78 脳転移に対する薬物療法とその効果について教えてください
 CQ 79 転移病変に対する根治照射の意義を教えてください
 CQ 80 がん遺伝子パネル検査の使いどころを教えてください

Ⅸ章 支持療法のギモン
 CQ 81 術後リンパ浮腫に対してどのようなケアや治療が推奨されますか?
 CQ 82 骨密度低下に対する最適なモニタリングと治療について教えてください
 CQ 83 乳癌薬物療法による更年期症状への支持療法を教えてください
 CQ 84 卵巣機能保護目的で,化学療法中,LH-RHaの併用は必要ですか?
 CQ 85 G-CSF製剤の一次予防投与は,どのようなレジメンに行いますか?
 CQ 86 薄毛,脱毛に対する支持療法の工夫を教えてください
 CQ 87 抗HER2療法中の循環器検査(心エコー)はどの程度行うべきですか?
 CQ 88 irAEへのモニタリングはいつまでどのような検査を行いますか?

Ⅹ章 Future Question
 FQ 89 病理学的完全奏効(pCR)が予測された場合,手術省略は可能ですか?
 FQ 90 多遺伝子アッセイの今後の展望について教えてください
 FQ 91 リキッドバイオプシー(ctDNA)を用いた未来の転移再発乳癌治療像を教えてください
 FQ 92 ctDNA が上昇した時点で薬物療法を加えて再発を防ぐ未来はきますか?

索引