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実践的な高齢者診療をマスターする!

BEAM(Bunkodo Essential & Advanced Mook)  

入院高齢者診療マニュアル(電子版のみ)

カバー写真
  • 編集:神﨑恒一(杏林大学医学部高齢医学教室教授)
  • 編集 BEAM(Bunkodo Essential & Advanced Mook)編集委員会
  • B5判・304頁・2色刷
  • ISBN 978-4-8306-8156-1
  • 2015年4月15日発行
定価 6,600 円 (本体 6,000円 + 税10%)
なし
在庫
電子版販売サイト

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内容

序文

主要目次

大学の講義では「高齢者診療」を学べない.本書では病棟に配属された研修医向けに,高齢者を診療する際のノウハウを一冊にまとめた.第一章 総論では,日常の高齢者診療のシーンで念頭に置いておくべき,基本となる検査,評価法をまとめ,各論では病棟でよく見かける病態への具体的な対処法の要点をまとめた.入院時の状態評価方法から,退院支援までフォローアップする内容とした.一方でコラム記事として高齢者医療に関する社会的,倫理的問題をテーマとして取り上げることにより,これからの高齢者診療がどうあるべきかについても考える一冊.
☆図版104点,表組105点,カラー写真8点,モノクロ写真3点
序文

 65歳以上の高齢者人口が3,000万人を超えた今,病院で高齢者を診ないことはありません.医療の専門化が進む中,疾患がひとつであれば,専門医療を行えばよいわけですが,高齢者は多病で,しかも急性期に複数の疾患を合併することが多いと思います.さらに,入院の長期化によって廃用が進んだり,認知機能が低下したりすると退院が困難になり,自宅に帰れなくなるケースも多いです.したがって,病棟で高齢者を診るうえで,その特徴を知り診療にあたること,その際役立つ総合機能評価などの実践的な知識を身につけ,それを多職種連携や退院支援に役立てることなどを本特集から学んでいただきたいと思い
ます.
 高齢者の特徴として,①潜在的に各臓器の機能低下がある,②多病である(慢性疾患を複数もち,急性期に複数の疾患を合併する),③個人差が大きい,④症状が定型的でない,⑤体液バランスが崩れやすい,⑥免疫,栄養状態が低下しやすい,⑦日常生活を阻害する心身の要因(老年症候群)が多い,⑧入院が長期化しやすい,などが挙げられます.これをふまえて“総論”の項では高齢者診療を実践するうえでの基本的事項を解説します.ここでは,総合機能評価,薬物療法の基本的な考え方,栄養管理,在宅に復帰するための退院支援,特に退院後の診療につながる退院支援について解説します.また,在宅医療や介護保険などの必要な知識も,コラムを使いながら解説します.
 第II章は老年症候群です.老年症候群とは高齢者でよくみられる症候で,複数の原因がかかわって起こるため対応が容易ではありませんが,放置すればQOLやADLが低下します.そこには非薬物的な介入を含めた対策が必要です.この章では,病棟でみられることが多い代表的な老年症候群を取り上げ解説します.
 第III章は高齢者でよくみられる疾患のうち特筆すべきものをピックアップしました.いずれの疾患もよく遭遇するものばかりですが,高齢者ゆえの考え方,対処の仕方について解説します.最後に,これからの高齢者医療を考えるうえで大切なことをコラムの形で解説します.
 普段“何となく”行っている高齢者診療ですが,そこにはいくつかのノウハウがあります.本書を読んで,“何となく”もっている知識を整理,使いやすくし,病棟での診療に役立てていただきたいと存じます.

平成27年4月
杏林大学医学部高齢医学教室教授
神﨑恒一
■I章 総論
 1. 高齢者の特徴と診察時の注意点
 2. 総合機能評価
 3. 高齢者の薬物療法はどうする?
  ミニレクチャー 服薬管理
 4. 高齢者の栄養管理の基本
 5. 退院支援
  コラム 退院前カンファレンスの実例
  コラム 在宅医療
 6. 介護保険制度について
  コラム 介護保険主治医意見書の書き方
■II章 入院高齢者によくみられる症候〜老年症候群〜
 1. 老年症候群
 2. 入院に伴う廃用とその予防
 3. 意識障害
 4. うつ
 5. せん妄
 6. 不眠
 7. 認知機能の低下
 8. BPSD
 9. 脱水と溢水(浮腫・心不全)
 10. 摂食・嚥下障害
 11. 便秘
 12. 発熱
 13. 排尿障害
 14. 歩行障害・転倒・転落
  コラム フレイル(虚弱)
 15. 褥瘡
■III章 入院高齢者によくみられる疾患
 1. 肺炎
 2. 心不全
 3. 末梢性血管疾患
 4. 尿路感染症
 5. 糖尿病
 6. イレウス(腸閉塞)
 7. 虚血性大腸炎
 8. 骨粗鬆症
  ミニレクチャー 偽痛風
■IV章 これからの高齢者を考えるうえで
  コラム 術前リスク評価
  コラム 認知症患者の胃瘻
  コラム 高齢者の終末期医療〜人生の集大成を支援する医療とケアの考え方〜
  コラム 高齢者の予防接種 について
■付録
Further Readings
索引

● M e m o
介護保険申請の流れ
日本老年医学会が主催する研修会
地域包括支援センター
高齢者のBMI
MNA®とMNA®-SF
平均必要推定量ならびに推奨量
四肢骨格筋量と蛋白質
医療と介護の連携
「往診」と「訪問診療」
要介護状態・要支援状態とは
老年症候群における“症候群”とは
フレイルとは
MRI上の無症候性脳梗塞と深部白質病変
エビデンスとは
問診による認知機能検査について
Lewy小体型認知症
不眠は糖尿病高血圧の危険因子
漢方による不眠症の治療
MMSEとHDS-Rはどちらを行うのか?
ベッドサイドで行える簡易認知症検査は?
TRP温度感受性受容体
Shaker exercise
便秘の分類
排尿障害に関する用語
排尿日誌
スクリーニングシート
「褥瘡」?「褥創」?
褥瘡の好発部位
deep tissue injury(DTI)とは?
超音波実技セミナー
介護施設の利用
間欠性跛行があれば動脈硬化症の全身検索を
CHADS2 scoreとは?
eGFRcreとeGFRcys
メトホルミンと乳酸アシドーシス
インスリンの分泌の評価法
緩徐進行1型糖尿病(SPIDDM)
糖毒性
グルカゴン負荷試験
診断には大腸内視鏡がきわめて有用
骨折の評価
ロコトレ
FRAX®
顎骨壊死
ヒッププロテクター