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腎癌診断の要となる形態学的特徴と鑑別診断を押さえた座右の書!

腫瘍病理鑑別診断アトラス

腎癌第2版

カバー写真
  • 編集:大江知里(大阪公立大学准教授)
  • 編集 長嶋洋治(東京女子医科大学教授)
  • 監修:腫瘍病理鑑別診断アトラス刊行委員会
  • 編集協力:日本病理学会
  • B5変型判・292頁・4色刷
  • ISBN 978-4-8306-2266-3
  • 2023年11月7日発行
定価 17,600 円 (本体 16,000円 + 税10%)
あり
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内容

序文

主要目次

腫瘍病理鑑別診断シリーズ「腎癌」,待望の第2版.2021年には腎癌取扱い規約第5版,2022年にはWHO分類第5版が刊行され,当該領域を取り巻く環境は大きく変わったばかりか組織型分類は複雑さを増し,日々の病理診断に難渋することも多くなった.また分子標的治療薬などが承認され,治療選択における形態的評価の役割も増している.そうした状況を踏まえ,今改訂では,最新知見を盛り込み,精選した病理写真とともに,定義や病理診断の要点,鑑別ポイントを解説した.臨床と病理の連携を目的に,画像診断や最新の治療についても解説している.
第2版の序

 多種多様な腎癌の組織型分類を正確に行うための診断アトラスとして,2013年に『腫瘍病理鑑別診断アトラス 腎癌』初版が刊行された.本書の初版はWHO分類第3版(2004年)と腎癌取扱い規約第4版(2011年)に準拠して組織型分類項目が設けられたが,その後,WHO分類第4版(2016年)とUICC分類(2017年)に基づき腎癌取扱い規約第5版(2021年)が刊行された.さらに,2022年に出版されたWHO分類第5版では,古典的な組織型を主軸に,形態的に定義された他組織型のほか,分子学的アプローチから同定されたmolecularly defined renal carcinomasが導入された.腎癌の組織型の複雑さから,日々の病理診断において組織型分類に難渋することや,臨床的な取り扱いに苦慮することも多くなっている.
 また,腎癌取扱い規約第5版では,核小体の明瞭さに基づくWHO/ISUP組織学的異型度分類が採用され,肉腫様変化・ラブドイド変化・壊死などの組織学的予後不良因子の評価が必須となった.進行性腎癌の治療薬としては,分子標的治療薬に加え,免疫チェックポイント阻害薬が承認されたが,肉腫様変化の存在が免疫チェックポイント阻害薬の有効性と相関するとの知見が蓄積されつつあり,治療選択の観点からも予後不良因子の形態的評価の要請が高まると思われる.
 このような中で,腎上皮性腫瘍のみならず腎に固有の非上皮性腫瘍,混合性腫瘍,小児腫瘍も含めた解説ならびに最新の知見を反映することを目的として,本書の改訂を企画した.
 本書の「第1部 検鏡前の確認事項」では,腎腫瘍の分類の歴史や病理標本の取り扱いを概説する.病理学的T3aの定義の変更に伴い,適切な診断につながる病変部のサンプリングについても解説する.「第2部 組織型と診断の実際」ではWHO分類第5版に準拠しつつ,腎癌取扱い規約第5版の分類との相違を明らかにしながら,各組織型に特徴的な肉眼像や組織像を臨床的意義も含めて概説する.WHO分類第5版では,遺伝子診断は必須ではなく,依然としてHE染色所見を主体とした形態所見が重視されているため,各組織型の肉眼・形態所見や遺伝子異常のサロゲートとなりうる免疫染色などの評価を中心に提示する.「第3部 鑑別ポイント」では,鑑別に苦慮する組織型の診断のポイントを紹介する.「第4部 臨床との連携」では疫学,画像診断,最新の治療について第一線の臨床の先生方にご執筆をお願いした.
 編集にあたっては,WHO分類第5版の改訂に参画された先生方や,希少症例についてはこれを実際に経験し発表された先生方に執筆をお願いした.本書が腎腫瘍の日常診療において,適切な組織型診断や予後予測,治療戦略につながる実践的な役割を果たすことを期待している.

 令和5年10月
 大江 知里
 長嶋 洋治


 この「腫瘍病理鑑別診断アトラスシリーズ」は日本病理学会の編集協力のもと,刊行委員会を設置し,本シリーズが日本の病理学の標準的なガイドラインとなるよう,各巻ごとの編集者選定をはじめ取りまとめを行っています.

 腫瘍病理鑑別診断アトラス刊行委員会
 小田義直,坂元亨宇,都築豊徳,深山正久,松野吉宏,森谷卓也
第1部 検鏡前の確認事項
 Ⅰ.腎腫瘍組織分類の現状
 Ⅱ.病理標本の取り扱い方

第2部 組織型と診断の実際
 Ⅰ.淡明細胞腫瘍
  1 淡明細胞型腎細胞癌
  2 低悪性度多房囊胞性腎腫瘍
 Ⅱ.乳頭状腫瘍
  1 腎乳頭状腺腫
  2 乳頭状腎細胞癌
 Ⅲ.好酸性および嫌色素性腫瘍
  1 腎オンコサイトーマ
  2 嫌色素性腎細胞癌
 Ⅳ.集合管腫瘍
  1 集合管癌
 Ⅴ.その他の腎腫瘍
  1 淡明細胞乳頭状腎腫瘍
  2 粘液管状紡錘細胞癌
  3 管状囊胞状腎細胞癌
  4 後天性囊胞腎症随伴性腎細胞癌
  5 好酸性充実性囊胞性腎細胞癌
  6 腎細胞癌,NOS
 Ⅵ.分子生物学的に定義される腎細胞癌
  1 TFE3再構成性腎細胞癌(TFE3-rearranged RCC)
  2 TFEB変異性腎細胞癌(TFEB-altered RCC)
  3 ELOC変異性腎細胞癌(ELOC-mutated RCC)
  4 フマル酸ヒドラターゼ欠損性腎細胞癌
  5 コハク酸脱水素酵素欠損性腎細胞癌
  6 ALK再構成性腎細胞癌
  7.SMARCB1欠損性腎髄質癌
 Ⅶ.後腎性腫瘍
  1 後腎性腺腫
 Ⅷ.混合性上皮性間質性腫瘍
  1 腎混合性上皮性間質性腫瘍
 Ⅸ.間葉系腫瘍(成人間葉性腫瘍)
  1 古典的血管筋脂肪腫/腎PEComa
  2 類上皮性血管筋脂肪腫
  3 腎血管芽腫
  4 傍糸球体細胞腫瘍
  5 腎髄質間質細胞腫瘍
 Ⅹ.小児腫瘍 
   1.小児腎間葉性腫瘍
   (1)先天性中胚葉性腎腫
   (2)腎ラブドイド腫瘍
   (3)腎明細胞肉腫
   2.腎芽細胞性腫瘍
   (1)腎芽腫
   3.小児囊胞性腎腫

第3部 鑑別ポイント
 Ⅰ.組織型鑑別の進め方
 Ⅱ.形態に基づく鑑別
  1 淡明な細胞質を有する腫瘍の鑑別
  2 乳頭状,管状乳頭状構築を示す腫瘍の鑑別
  3 好酸性細胞質を有する腫瘍の鑑別
  4 高度浸潤性を示す腫瘍の鑑別
  5 小型細胞からなる腫瘍の鑑別
  6 囊胞状腫瘍の鑑別
 Ⅲ.免疫組織化学
 Ⅳ.特殊検索法(分子生物学的手法)
 Ⅴ.針生検による鑑別

第4部 臨床との連携
 Ⅰ.腎癌の疫学
 Ⅱ.腎腫瘍性病変の画像診断
 Ⅲ.腎腫瘍性病変の進行期と治療方針・予後(分子標的治療,免疫チェックポイント阻害薬を含む)
 Ⅳ.家族性腫瘍症候群への対応
 Ⅴ.病理診断報告書の記載

索引