世界屈指の色素レーザー治療数を誇る著者が,35年の奥義を伝授!
新刊パルス色素レーザー治療スプリーム
形成外科医・皮膚科医のために
内容
序文
主要目次
1988年,関西医科大学形成外科に,日本で初めて量産型パルス色素レーザー(Candela社SPTL-1)が納入されたときに,当時の小川豊教授から担当者を拝命したことが,筆者が初めてレーザーというものに触れるきっかけとなった.筆者はそれ以来35年間,形成外科医として人生の大部分をレーザーとともに過ごすことになる.
これまで,文光堂から「シミの治療」「Qルビーレーザー」「炭酸ガスレーザー」「ピコ秒レーザー」「脱毛レーザー」と,5冊のテキストを出版させていただいたが,実はこの「色素レーザー」こそ,本当は,一番初めに出さなければいけないと思いながら,実現できていなかった.その理由は,このレーザーは一番奥が深く,「こうすればよい」という簡明な答えの出しにくいレーザーだからである.実は筆者は10年ほど前にも,色素レーザーについて書き始めたことがある.そのとき,全国の有力な先生方にどんなパラメーターで照射しているのか尋ねたところ,実に千差万別いろいろなやり方を教えていただいて,逆に困ってしまった.こうするべしという「絶対的に正しい」やり方など存在しないし,よその病院では「どんなやり方で」「どこまで」治療できているのかなどは,全くわからないのである.何をどう書いたらよいのかわからなくなってしまい,原稿はそのまま塩漬けになってしまった.
その間にも,迷いながらもPDL治療は続けていた.ありがたいことに,膨大な数の患者が来てくれたおかげで,経験を積むことができた.大阪のレセプト審査員の先生には「大阪のレーザーのレセプトは半分以上が先生のクリニックからです」と教えてもらったことがある.なぜ,この方法が一番良いのかはわからないが,とにかく「こうするのが最善だろう」という方法が固まってきたので,それをまとめてみようと思い直したのが本書の内容である.
日本は,おそらく世界で唯一の,健康保険でCMやIHをPDL治療できる国である.だから,たぶん治療件数も世界で最も多いと考えられる.筆者のクリニックが日本で最も治療件数が多いとしたら,それは世界で最も多いと考えてよいと思われる.そこでどんなことをやっているのかを出版するのも,それはそれで意味があると,開き直ることにした.本書は筆者が35年間考えてやってきたことを残さず公開している.読者には,参考になる点だけつまんでいただければそれでよいと思っている.何も,この考え方ややり方が最善だと主張するつもりはない.ただ「筆者はこう思う」ということである.
2024年7月 酷暑の大阪にて
葛西健一郎
1.パルス色素レーザーの歴史
2.パルス色素レーザーの理論
3.現在用いられている機械の種類と冷却装置
4.パラメーター
5.今後の展望
6.血管腫のISSVA分類
Ⅱ─パルス色素レーザーによる毛細血管奇形(CM)治療
1.毛細血管奇形の治療理論
2.適応・説明・準備
3.麻酔
4.照射方法とエンドポイント
5.術後処置
6.繰り返し照射のタイミング
7.合併症とその対処
8.サーモンパッチ・ウンナ母斑
9.症例集(毛細血管奇形)
Ⅲ─パルス色素レーザーによる乳児血管腫(IH)治療
1.乳児血管腫の概念
2.説明・準備
3.照射方法とエンドポイント
4.繰り返し照射のタイミング
5.終了のタイミングとフォロー
6.合併症
7.症例集(乳児血管腫)
Ⅳ─パルス色素レーザーのその他の応用
1.毛細血管拡張症
2.酒皶
3.クモ状血管腫
4.被角血管腫
5.老人性血管腫
6.動静脈奇形(AVM)
7.下肢静脈
8.蛇行状血管腫
9.先天性血管拡張性大理石様皮斑
10.先天性血管腫
11.尋常性疣贅
12.ニキビ(尋常性痤瘡)
13.瘢痕・ケロイド
14.美容への応用
15.PDL治療の適応ではない疾患(1)顔面毛包性紅斑黒皮症(北村病)
16.PDL治療の適応ではない疾患(2)房状細胞腫
索 引