TOPページへ

美しい肉眼写真・病理写真を満載した卵巣腫瘍の病理アトラス,待望の改訂!

卵巣・卵管腫瘍病理アトラス改訂・改題第2版

カバー写真
  • 編集:森谷卓也(川崎医科大学病理学2教授)
  • 編集 手島伸一(湘南鎌倉総合病院病理診断部部長)
  • B5変型判・416頁・4色刷
  • ISBN 978-4-8306-0478-2
  • 2016年11月5日発行
定価 24,200 円 (本体 22,000円 + 税10%)
あり
在庫
電子版販売サイト

上記の電子版販売サイトのボタンをクリックすると,外部のサイトに
移動します.電子版の購入方法は各販売サイトにてご確認ください.

正誤表

内容

序文

主要目次

2004年3月の刊行以来,美麗な肉眼写真と病理写真で好評を得てきた,『卵巣腫瘍病理アトラス』の改訂版.2014年のWHO分類および2016年の「卵巣腫瘍・卵管癌・腹膜癌取扱い規約(病理編)第1版」をふまえて目次立てを構成した.今版から各組織型の項目に「21世紀の新知見」というコーナーを設け,前版からの学問上の進歩が一目でわかるようにしている.加えて,前版で好評を得た珍しい症例を解説する「こんな症例も!」コーナーも一新,更に婦人科腫瘍病理学の泰斗,S.G. Silverberg博士が疾患のとらえ方や診断のポイントを解説する「Silverberg先生のOne Point Advice」を収録するなど,非常に充実した内容である.
序文

 2004年3月に刊行された文光堂『卵巣腫瘍病理アトラス』(石倉 浩,手島伸一編)は厳選した肉眼写真,斬新な体裁,第一線の専門家による卓越した解説からなっており,肉眼像,組織像が極めて多彩な卵巣腫瘍をわかりやすく整理して解説したことによって,この10年間に多くの病理医,婦人科医,臨床検査技師の皆様から支持を得てきた.とくに,美しい肉眼写真の提示は当時の編者が最も力を入れた点であり,完成されたアトラスという感が強く印象に残った.
 しかし,その後の卵巣腫瘍病理学の進歩はめざましく,境界悪性腫瘍の新分類,卵巣癌の卵管上皮由来説,I型とII型癌の分類,microcystic stromal tumorなどの新しい疾患が誕生してきた.組織分類も2009年12月には『卵巣腫瘍取扱い規約 第1部─組織分類ならびにカラーアトラス(第2版)』,2014年にWHO分類 第4版が出版され,それを受けて2016年7月には『卵巣腫瘍・卵管癌・腹膜癌取扱い規約 病理編(第1版)』が出版されるに至った.また,それぞれの腫瘍を分子病理学的な観点からとらえる必要が生じており,本書の内容が古くなったとの印象はぬぐえない.
 このような背景から今回「卵巣腫瘍病理アトラス」の改訂を企画した.しかし初版の編者であった石倉先生が2006年に急逝されたため,手島伸一と『子宮腫瘍病理アトラス』でも編者に加わった森谷卓也との2名で編集を担当することとなった.前版でお世話になった先生方に加えて,新たに現在第一線で活躍中の若手の方々にも執筆をお願いした.
 書籍タイトルは,本書企画段階では『卵巣腫瘍病理アトラス 第2版』としていたが,刊行準備中に生じた取扱い規約の改名など,最新の状況に対応するために,最終的に『卵巣・卵管腫瘍病理アトラス 改訂・改題第2版』とした.卵巣腫瘍の病理診断については『腫瘍病理鑑別診断アトラス「卵巣腫瘍」』(本山・坂本編)をはじめ優れた書籍も多いことから,一目で『卵巣腫瘍病理アトラス』の改訂版とわかるスタイル(表紙,体裁,内容)を踏襲した.前版と同様に,肉眼写真を含めた画像にも注力したが,さらに各組織型に「21世紀の新知見」を記載していただき,前版からの学問的進捗が一目でわかるように心がけた.また,『子宮腫瘍病理アトラス』でも大変好評であったSteven G. Silverberg先生による疾患のとらえ方や実際の診断のポイント解説「Silverberg先生のOne Point Advice」を加えた.「こんな症例も!」も内容を一新した.
 以上のように,本書では前版の特徴を残しつつ,新しい書籍として昨今の卵巣病理診断学に即した内容となるよう心がけた.ぜひ多くの皆様に手に取っていただき,忌憚のないご意見,ご批判を賜れれば幸いである.最後に,本アトラスの企画・作成を担当いただき,私たちを粘り強く支えてくださった,株式会社文光堂企画部の日野水邦之氏に心より御礼を申し上げたい.

平成28年10月
森谷卓也/手島伸一
I 総 論
 1.卵巣腫瘍,卵管腫瘍の組織発生・分類
  Silverberg先生のOne Point Advice 卵巣腫瘍の病理診断を行う際の基本的アプローチ
 2.卵巣癌の発生・進展に関与する遺伝子
 3.卵巣腫瘍の画像診断
 4.卵巣がんの治療
 5.遺伝性乳癌卵巣癌
 6.卵巣腫瘍細胞診断の基礎
 7.卵管上皮内癌と卵巣癌
 8.卵巣腫瘍の取り扱いと肉眼観察の基礎
 9.卵巣腫瘍,卵管癌,腹膜癌の臨床的取扱い
 10.卵巣腫瘍の迅速診断
 11.免疫組織化学
 12.卵巣腫瘍とAFP
 13.小児の卵巣腫瘍
 14.ヒト卵巣におけるステロイドホルモン産生機構
 15.機能性間質をもつ卵巣腫瘍
 16.境界悪性上皮性腫瘍の概念とその播種
 17.性分化疾患と性腺腫瘍(卵巣腫瘍)
 18.卵巣癌治療の組織学的治療効果
II 各 論
A.正常卵巣・卵管
 1.正常卵巣・卵管
  こんな症例も! スーパーヌメラリーオバリー(多重卵巣)
B.上皮性腫瘍
 1.良性漿液性腫瘍
 2.境界悪性漿液性腫瘍
 3.漿液性癌
  こんな症例も!24年後に非浸潤性インプラントのシスター・ジョゼフ結節を生じた卵巣漿液性境界悪性腫瘍
 4.良性粘液性腫瘍
 5.粘液性境界悪性腫瘍
 6.粘液性癌
  こんな症例も! 横紋筋肉腫を伴った卵巣粘液性癌
 7.子宮内膜症・良性類内膜腫瘍・異型子宮内膜症
 8.類内膜境界悪性腫瘍
 9.類内膜癌
  こんな症例も! 内分泌細胞小胞巣
 10.良性明細胞腫瘍,境界悪性明細胞腫瘍
 11.明細胞癌
 12.ブレンナー腫瘍
 13.境界悪性ブレンナー腫瘍
 14.悪性ブレンナー腫瘍
 15.漿液粘液性腫瘍
  こんな症例も!特徴的な形態を示す漿液粘液性腫瘍の亜型MEBMMSO
 16.未分化癌
  こんな症例も! 卵巣原発の純粋な扁平上皮癌
  Silverberg先生のOne Point Advice 卵巣上皮性腫瘍の鑑別診断
C.間葉系腫瘍
 1.類内膜間質肉腫
D.混合型上皮性間葉系腫瘍
 1.腺肉腫
 2.癌肉腫
  こんな症例も!奇形腫様癌肉腫
E.性索間質性腫瘍
 1.線維腫
 2.莢膜細胞腫
 3.硬化性腹膜炎を伴う黄体化莢膜細胞腫
  こんな症例も!線維腫の悪性転化例
 4.硬化性間質性腫瘍
 5.印環細胞間質性腫瘍
 6.microcystic stromal tumor
  こんな症例も! ギナンドロブラストーマ
 7.成人型顆粒膜細胞腫
 8.若年型顆粒膜細胞腫
 9.セルトリ・ライディッヒ細胞腫
 10.輪状細管を伴う性索腫瘍
 11.門細胞腫(ライディッヒ細胞腫)
 12.ステロイド細胞腫瘍
 13.低分化な性索間質性腫瘍 
  こんな症例も! αフェトプロテイン(AFP)を産生したセルトリ・ライディッヒ細胞腫の一例
  Silverberg先生のOne Point Advice 卵巣性索間質性腫瘍の鑑別診断
F.胚細胞腫瘍
 1.未分化胚細胞腫/ディスジャーミノーマ
 2.卵黄囊腫瘍
  こんな症例も!多胎芽腫
 3.胎芽性癌
 4.非妊娠性絨毛癌
 5.混合型胚細胞腫瘍
 6.成熟奇形腫
 7.未熟奇形腫
  こんな症例も!膵組織を有する未熟奇形腫
  こんな症例も! 前立腺組織および前立腺癌を有する卵巣奇形腫
  こんな症例も! 神経膠播種
 8.卵巣甲状腺腫
 9.カルチノイド
  Silverberg先生のOne Point Advice 卵巣胚細胞腫瘍の鑑別診断
  こんな症例も!腹膜播種を示した卵巣甲状腺腫
  こんな症例も!卵巣のPNET
  こんな症例も!卵巣原発上衣腫
 10.悪性転化を伴う成熟奇形腫
  こんな症例も! 横紋筋肉腫を発生した未熟奇形腫
  こんな症例も! 卵巣悪性黒色腫
G.その他の腫瘍カテゴリー
 1.性腺芽腫
 2.小細胞癌
 3.ウォルフ管腫瘍
 4.卵巣網の腫瘍,腺腫様腫瘍
  こんな症例も! 類肝細胞癌(肝様癌)
 5.悪性リンパ腫,形質細胞腫
 6.白血病の卵巣浸潤
  こんな症例も!両側卵巣転移と腹膜偽粘液腫を生じた低異型度虫垂粘液性腫瘍
 7.転移性卵巣腫瘍
H.腫瘍様病変,その他
 1.妊娠黄体腫
 2.間質莢膜細胞過形成
 3.広汎性浮腫
 4.多囊胞性卵巣症候群
I.卵管・腹膜の病変
 1.卵管癌
  こんな症例も!子宮広間膜原発の副腎遺残性腫瘍
  こんな症例も!線維形成性小型円形細胞腫瘍
  こんな症例も!腹膜の播種性脱落膜症
 2.中皮腫瘍