計57のシチュエーションに対して「麻酔管理」「術前・術後管理」「トラブル対処」のポイントを整理!時間がない.頼れるスタッフがいない.でも,本書がある!!
麻酔科プラクティス 6
Challenge 緊急手術の麻酔
内容
序文
主要目次
【シリーズの特徴】
現在の麻酔科臨床で特に注目の集まるトピックスや新たな課題を厳選し,フルカラーの誌面でビジュアルに整理・解説.若手からベテラン麻酔科医までを対象とし,臨床で役立つ最新かつ最良の意義深いテーマを提供する.
昨年の夏より,麻酔科関連の話題を扱う新たなシリーズ「麻酔科プラクティス」の発刊が始まりました.本シリーズは,麻酔科専攻医が専門医を取得するため,また専門医取得後の先生方が知識を整理するために役立つことを目指しています.臨床で特に問題となっている点・新たな課題など,多くの麻酔科医に興味を持っていただける話題をわかりやすく提供することを編集方針としています.その第6巻が「Challenge 緊急手術の麻酔」です.
「緊急手術は麻酔科医を育てる」と言われます.患者の状態が悪く,準備の時間も限られた中で,要点を外さず患者を評価し,麻酔管理のポイントを整理して臨むことが求められる緊急手術は,麻酔科医にとってストレスもリスクも高いものです.しかしながら,その経験から麻酔科医が習得できることは多くあります.特に夜間や休日で頼れるスタッフが不在という逆境の中で緊急手術の麻酔を乗り越えることができたら,その経験は麻酔科医の大きな糧となります.
このように緊急手術麻酔は麻酔科医にとって重要な研鑽の場でありながら,それに注目した指南書は限られます.麻酔科学の成書において緊急手術に関する記述は,総論,各論の随所に散りばめられるに留まります.そこで今回は,「麻酔科プラクティス」シリーズコンセプトに基づき,既定の教科書の概念に囚われない「緊急手術の麻酔」というユニークな切り口での書籍となりました.
緊急手術には実に多様な症例が含まれます.頻度が高く管理が比較的容易な緊急手術もあります.本書では,緊急度が非常に高い,患者の全身状態が悪い,あるいは特殊な考慮を要するなどのchallenging な緊急手術の麻酔を取り上げることといたしました.
各項はその分野のエキスパートの先生にご執筆いただきました.経験が十分でない麻酔科医が,今日これから,あるいは明日の朝から臨む緊急手術の麻酔管理を適切に管理できるよう,知識や知恵を授けてくださっています.また今回取り上げた緊急手術の中には,麻酔中だけでなく,術前や術後の管理が非常に重要なものが多くあります.麻酔科医として知るべき周術期管理に関しても,ご指導をいただきました.これから立ち向かう緊急手術の麻酔管理に役立てていただければ幸いです.
最後になりましたが,熱い想いで原稿を執筆くださった先生方,役立つ本をお届けできるようにとアイデアとアドバイスをくださった編集者の先生方,文光堂の中村晴彦さん,八幡晃司さんに,厚くお礼を申し上げます.
2021年10月
昭和大学 加藤里絵
1 術前評価とインフォームドコンセント
[K&P]宗教的輸血拒否患者の緊急手術
2 迅速導入
3 抗血栓療法患者
4 血液透析患者
5 大量出血
6 トラブル発生時の対応
[T]緊急手術におけるノンテクニカルスキル
[K&P]緊急手術の麻酔に関する判例
[OPA]緊急手術で役立つPOCUS
Ⅱ 頭 部
1 脳出血
2 破裂脳動脈瘤
Ⅲ 頚 部
1 扁桃摘出術後出血
2 甲状腺摘出後出血
3 急性喉頭蓋炎・喉頭浮腫・深頚部膿瘍
4 気道異物
Ⅳ 心臓大血管
1 胸部大動脈解離
2 腹部大動脈瘤破裂
3 冠動脈バイパス術
Ⅴ 消化器
1 急性腹症
Ⅵ 四 肢
1 下肢急性動脈閉塞
2 足趾壊疽に対するamputation
Ⅶ 筋組織
1 壊死性筋膜炎
Ⅷ 母 体
1 妊娠中の急性虫垂炎・胆嚢炎・卵巣茎捻転
2 緊急帝王切開
[T]死戦期帝王切開
3 産後出血
Ⅸ 小 児
1 小児外科
1)食道閉鎖
2)先天性横隔膜ヘルニア
3)十二指腸閉鎖・小腸閉鎖
4)壊死性腸炎
5)腹壁破裂・臍帯ヘルニア
2 心臓血管外科
1)完全大血管転位
2)総肺静脈還流異常
3)左心低形成症候群(両側肺動脈絞扼術)
4)動脈管開存(PDA)
5)ファロー四徴症(BTシャント術)
Ⅹ 外 傷
1 多発外傷
[OPA]腹部コンパートメント症候群
[OPA]ダメージコントロール戦略
2 頭部外傷
3 脊髄損傷
4 大腿骨頚部・転子部骨折
Ⅺ 臓器移植
1 脳死患者の臓器摘出
2 心臓移植・心肺同時移植
3 肺移植
4 肝移植
5 腎臓移植・膵臓移植
索 引
[T]=Topics
[B]=Basic
[K&P]=Knack & Pitfalls
[OPA]=One Point Advice