TOPページへ

循環器病棟に足を踏み入れたあなたにまず始めに読んで欲しい1冊!

循環器診療プライマリ・レファレンス(電子版のみ)

学生と研修医のためのQ&Aで追う診療のコツ

カバー写真
  • 編著:香坂 俊(慶應義塾大学講師)
  • A5判・236頁・2色刷
  • ISBN 978-4-8306-1917-5
  • 2012年12月21日発行
定価 4,950 円 (本体 4,500円 + 税10%)
なし
在庫
電子版販売サイト

上記の電子版販売サイトのボタンをクリックすると,外部のサイトに移動します.電子版の購入方法は各販売サイトにてご確認ください.

内容

序文

主要目次

循環器診療の初心者が直面する臨床上のプリミティブな疑問点を100題セレクション.それらの疑問点・問題点を掘り下げて答えを探りつつ,著者の際立ったクリニカルパールをお伝えします.口語調のやさしい語り口と全項目に掲げた特徴的なイラストで,さらに理解が深まる紙面構成.これを読んだ読者に循環器診療の基本的な視座だけでなく,将来どんな診療科に進んでも必ず役立つ臨床力のベースアップを約束します.医学生の皆さんのポリクリ,そして初期研修での循環器病棟へのローテート,果ては集中治療室の現場に至るすべての場面で,この1冊があなたの循環器診療を心強くサポートします!
☆図版88点,表組23点,モノクロ写真4点,イラスト・線画8点
推薦のことば

 循環器診療は,虚血性心疾患,不整脈,心不全,心臓弁膜症,高血圧,脂質異常症と領域も広いうえに,救急疾患も多い.またどの診療科でも手術を受ける患者では必ず心機能が問題となることから,誰でもその重要性を理解している.初期臨床研修医は循環器領域の知識をすべてマスターすることは不可能であり,その必要もない.しかし,将来的にどの診療科に進もうとも必要最低限の知識を勉強しておくことは必須であり,将来必ず遭遇するトラブルを未然に防ぐことにもつながるものである.
 循環器内科の教科書を見ると多くの専門的な病態,診断法,治療法などが書かれているが,多くのことを学ばなくてはならない初期臨床研修医がこれを精読するにはあまりに時間がない.重要なことを要領よく理解し,すぐに実践に移すには,すべてのことが書かれていなくても気軽に通読できる教科書あるいはマニュアルが必要である. 本書は慶應義塾大学循環器内科の香坂俊講師が,こうした初期臨床研修医および若手循環器医師の要望を一冊の書物にまとめたものである.
 香坂講師は大学卒業後すぐに米国に渡って初期臨床研修,後期臨床研修を行い,さらに循環器領域の大規模臨床試験に携わった経歴をもつ,ユニークな人材である.日米欧にまたがる臨床レジストリーや大規模臨床試験を行うかたわら,医学教育にも熱心で,医学生,初期研修医,後期臨床研修医を対象にさまざま教育活動,講演活動を行っている.彼が講師を務める講演会は,どの会も多くの若手医師が集まり,盛況である.その理由は彼独特のものの捉え方が直感的で理解しやすく,多くのものが共感をもつからであろう.
 本書は,香坂講師の数多くの経験の中から,若手医師が共通にもつ質問,疑問に答えるべく,まとめ上げられたものである.このため本書には,さまざまな領域のちょっと気になること,よく知っている目上の先生に教えて欲しいこと,時間を掛けて勉強する時間はないけれども知っておきたいことがぎっしり詰まっている.初期臨床研修医,若手循環器医にはぜひ読んで欲しい一冊であり,ここに推薦するものである.

2012年12月
慶應義塾大学医学部循環器内科教授
福田 恵一
1.循環器内科 基本のキ─ローテーションが始まる前に知っておきたいこと
 Q1 初期研修を開始して3ヵ月目の医師です.循環器をどう診ていけばよいのか,よくわかりません
 Q2 循環器内科の皆さんはプレッシャーが強くて,プレゼンテーションのやり方を聞く機会があまりありません
 Q3 現代の循環器診療における問診の重要性,いかがなものでしょう?
 Q4 問診で情報を集めてくるコツは何かありますか?
 Q5 身体所見は本当に大事なの?エコーと心電図のほうが役に立つのでは?
 Q6 心不全の身体所見で頸静脈が大事だということはよくわかりました.でも,頸静脈がまともに見えたことがありません
 Q7 聴診のコツを教えてください① 本当のことを言います.S3がどうしても聞こえません
 Q8 聴診のコツを教えてください② 拡張期に何か聞こえますが,Ⅲ音でしょうか? MVPでしょうか?
 Q9 プレゼンの冒頭に一言で患者さんの現状をまとめようと思うのですが,それがうまくできません
 Q10 キラ星のごとく存在する循環器内科の教科書はどれが一番よいのでしょう?
 Q11 循環器はガイドラインも多くて,実際どう使えばよいかわかりにくいですし,ましてや覚えられません 
2.救急外来で困ったら(当直業務の前に知っておきたいこと)
 Q12 救急搬送された呼吸困難の患者,著明な起坐呼吸があり,全身に汗をかいた状態で来院.まず何を行う?
 Q13 胸部レントゲンには自信がありません.循環器内科医としてはどの程度読めたらよいのですか?
 Q14 非常に悩むのですが,心不全患者に最適な輸液のオーダーとは?
 Q15 胸痛ばっかり来る夜なのですが,系統的に診るにはどうすればよいですか?
 Q16 胸痛なら「とりあえず胸部CT」を撮るように上司から言われましたが,本当ですか?
 Q17 何でACS(急性冠症候群)という言葉は存在するのですか?
 Q18 腹痛の患者ですが,心電図をとるべきかどうか判断のポイントはありますか?
 Q19 ラピチェックって何ですか?陽性なら心筋梗塞でいいですかね?
 Q20 不整脈の王様の心房細動,根こそぎやっつけてしまえばそれでいいのか?
 Q21 頻拍性不整脈の患者を診ていてモニターの警報音が鳴りまくっています.まずどうすれば?
 Q22 やっぱり心室頻拍や心室細動にはリドカインですよね?
 Q23 失神の患者です.どのようなことに注意しなければなりませんか?
 Q24 最近改訂されたACLSガイドラインでは一体何が変わったのですか?
3.昼間の外来業務のあいまに読みたいこと
 Q25 健康診断でST-Tの非特異的低下がある,と言われた方にどうお答えしてよいかわかりません
 Q26 心房細動とはそもそも一体どういう状況でしょうか?
 Q27 抗凝固薬の適応でいつも悩みますが,心房細動の方ではどのように決めているのですか?
 Q28 納豆の敵のワーファリンですが,その維持はどのように行うのでしょうか?
 Q29 期外収縮を治療するようなことはあるのでしょうか?その見極めは?
 Q30 心不全にはACE阻害薬とARBのどちらを使用すればよいのですか?
 Q31 循環器内科医が果たすべき弁膜症での役割とは?(僧帽弁疾患)
 Q32 「誘導を取り違えた心電図」ってどういうものでしょうか?見落とさないようにするには?
 Q33 いまや有名なBrugada 型心電図,どのようなことに注意しなければなりませんか?
 Q34 失神の原因が問診だけでわかるって本当ですか?そのコツを教えてください
 Q35 感染性心内膜炎の予防が必要です.どんな症例にどんな抗菌薬をどんな量で使えばよいのですか?
 Q36 冠動脈ステント留置後の抗血小板薬をそろそろ止めたいのですが?
 Q37 安定と不安定では狭心症も扱いがだいぶ違うのでしょうか?
  コラム(1)
 Q38 ABI ってたまに見かけますが,臨床のどんな場面で役立つ検査なのでしょうか?
 Q39 降圧薬の効きが悪いのでレニンとアルドステロンを測れと言われましたが….どんな意味がありますか?
4.夜病棟での仕事が終わったあとに読みたいこと
 Q40 抗血小板療法に抗凝固療法を併用してもよいものでしょうか?なんだかやりすぎのような気もしますが…
 Q41 モニター上の非持続性心室頻拍にはどんな抗不整脈薬を使うべきでしょうか?
 Q42 高血圧も動脈硬化だし,コレステロールの問題も動脈硬化です.循環器内科では動脈硬化をどういうビジョンで捉えればよいでしょうか?
 Q43 手首から行うカテーテル検査は,大腿動脈から行うカテーテル検査とどういうところが違うのでしょうか?
 Q44 急性心筋梗塞の責任部位を詰めるプロセス,循環器内科医は具体的にはどうやっているのですか?
 Q45 急性心筋梗塞における心筋マーカーはいろいろありますが,その使い分けは?
 Q46 上司がやたらとなんでもかんでもカテーテルをしたがる…
 Q47 造影剤アレルギーがある患者さんに,冠動脈造影をする場合の前処置は?
 Q48 造影剤腎症の対策を教えてください
 Q49 急性期の心不全患者の胸部聴診を行うとき,注意することは?
 Q50 慢性期の心不全患者で下腿浮腫を診るとき,注意することは?
 Q51 心不全に強心薬,最近病棟で使われなくなっているのはなぜですか?
 Q52 逆にβ遮断薬やACE阻害薬の処方が多いのは?
 Q53 一体どのβ遮断薬を選べばよいのでしょうか?心不全の症例です
 Q54 弁膜症疾患の急性期に考えなくてはいけないことはなんでしょうか?外来とは様子が違います
  コラム(2)
 Q55 やっぱり弁膜症の手術が必要そうです.循環器内科で打つべき手は?
 Q56 タビ(TAVI)とはどのような治療法なのでしょうか?
 Q57 ペースメーカーのモードに関して,VVIとかDDDとか,いま一つよくわかりません
 Q58 心室性不整脈に静注アミオダロンと指示を受けましたが,でも怖くて使えません
 Q59 経口アミオダロンの副作用にはどんなものがありますか?どういうふうに注意すればよいかも教えてください
 Q60 植え込み型除細動器(ICD),最近とっても多いのですが,どのような方に植え込むべきですか?
 Q61 では,心臓再同期療法(CRT)はどうでしょうか? ICDと似ているけど全然違いますね
 Q62 病棟でのワーファリンの導入量はどのように決めるのでしょうか?
5.休みの日にじっくり考えたいこと
 Q63 「胸痛」+「STが変化」なら絶対に絶対カテでしょうか?
 Q64 狭窄は一体どこからが有意狭窄なのでしょう? 50%? 75%? 90%?どのあたりでしょうか?
 Q65 最近の医学雑誌を読むと「慢性期の心不全治療はパラダイムシフト…」って書かれています.どういうことでしょうか?
 Q66 循環器専門医を目指していますが,ホントに腎臓にも詳しくないといけないのでしょうか?
 Q67 エコー上で左室が元気に動いていたとしても心不全になるのですか?
 Q68 なかなかお目にかからない症例なのですが,収縮性心膜炎と拘束型心筋症の鑑別はどのようにすればよいですか?
 Q69 房室ブロック(AV block)と房室解離(AV disassociation)の使い分けはどうしているのですか?
 Q70 頻拍性心房細動に「切れ味抜群」とされる抗不整脈薬を使用したら心拍数が急に上がりました.いやどうしたことでしょう?
6.他の科から相談されたときに知っていると役に立つこと
 Q71 BNP 高値の肺炎は心不全でしょ,と言われましたが?
 Q72 術前のリスク評価を急ぎで依頼されました.どのように評価すればよいでしょうか?
  コラム(3)
 Q73 よく聞かれるのですが,術前に心臓カテーテルを行わなければならないのはどのような場合ですか?
 Q74 睡眠時無呼吸症候群(OSA)は呼吸器で扱うのかと思っていましたが,循環器とも関係あるのですか?
 Q75 PCI をした患者さんが手術をすることになりました.なぜ循環器は抗血小板薬にこだわるのですか?
7.集中治療室の瀬戸際で
 Q76 感染性心内膜炎,なぜ弁に特異的に起こるのか?
 Q77 発熱患者での感染性心内膜炎の診断プロセスは?
 Q78 呼吸困難患者での急性肺血栓塞栓症の診断プロセスは?
 Q79 急性肺塞栓症に対して血栓溶解薬はどのような時に選択すべきですか?
 Q80 では,下大静脈フィルターはいつ必要になりますか?
 Q81 サルコイドーシスが心臓に関与?どういうふうに答えたらよいですか?
 Q82 心不全の治療がうまくいきません.肺動脈カテーテルを入れたほうがよい?
 Q83 「疲れやすい…」という患者さんに多く出会います.明らかな異常所見がない方にどう説明すればよいですか?
 Q84 利尿薬で実は心不全の予後が悪くなる?本当ですか!?
 Q85 腹腔内コンパートメント症候群とはなんでしょうか?心臓と関係あるのですか?
 Q86 緊急事態です.新しい抗凝固薬ダビガトラン(プラザキサ®)を使っていた患者さんが
   出血しました!
 Q87 ワーファリン内服時に急激にPT-INRが上昇したときはどうすればよいのでしょうか?
 Q88 トロポニン陽性!これは心筋梗塞?
 Q89 心臓移植について,どういったことを知っておくべきでしょうか?
 Q90 新しい強心薬,ミルリノンは普通のカテコラミンとどう違うのですか?
 Q91 弁膜症が絡んだ心不全で,心房細動の管理に難渋しています
 Q92 弁膜症の手術のタイミングは重症例ではどう考えればよいのですか?
 Q93 心囊液が存在すれば心タンポナーデですか?
 Q94 ジギタリス効果とジギタリス中毒の違いってどんなところにあるのでしょうか?
 Q95 弁置換をした患者さんが脊椎炎になりました.どう考えればよいでしょうか?
 Q96 劇症型心筋炎への対応はどのようにすればよいですか?
8.過ぎたるは及ばざるが如し
 Q97 冠動脈造影で狭窄があれば,なにがなんでもPCIですか?
 Q98 とりあえず心不全の急性期には利尿薬… 正しいやり方でしょうか?
 Q99 植え込み型除細動器(ICD)は入れておけばそれで安心ですか?
まとめ
 Q100 臨床循環器を学ぶコツは?
あとがきにかえて
索引