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慢性肝炎・肝硬変診療のスタンダード!最新の情報にアップデートされた待望の改訂版!!

慢性肝炎・肝硬変の診療ガイド2019

カバー写真
  • 編集:日本肝臓学会
  • B5判・96頁・4色刷
  • ISBN 978-4-8306-2105-5
  • 2019年4月19日発行
定価 2,200 円 (本体 2,000円 + 税10%)
あり
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内容

序文

主要目次

日本肝臓学会編集による,一般臨床医のための慢性肝炎・肝硬変診療に役立つガイドブックの最新版.慢性肝炎治療に関しては,新しい薬剤の登場による進歩が著しく,最新の情報にアップデートされ大幅に改訂されている.改訂を続けている日本肝臓学会ガイドラインに沿って,最新の診断と治療の実際を,非専門家にも読みやすく,わかりやすく解説した.肝臓専門医だけでなく,慢性肝炎・肝硬変患者の診療に携わるすべての臨床医,コメディカルにも必携の一冊.
序文

 慢性肝炎・肝硬変は,肝癌や肝不全を引き起こす一連の疾患です.わが国で頻度の高い重要な疾患であり,国民の健康上の大きな脅威になっていることから,国も「肝炎対策基本法」を制定するなど多くの行政上の施策を行っています.日本肝臓学会では,このような疾患の克服に向けて,研究・診療の両面で学術的な取り組みを行ってまいりました.多くの患者で,B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスの制御あるいは排除が可能になり,右肩上がりであった日本の肝癌の死亡者数が減少に転じたのは,学会のこのような取り組みが成果をあげてきたためだと考えています.このような治療の進歩をひとりでも多くの患者に届けるためには,市民や患者への疾患に対する啓発が必要であり,また,病状を適切に評価して必要な治療へと導く医療従事者への情報提供が重要になります.
 日本肝臓学会では,市民公開講座を都道府県単位で開催し,適切な治療を受けていただくよう周知に努めてまいりました.また,これまでに「肝がん白書」,「慢性肝炎診療マニュアル」,「慢性肝炎の治療ガイド」等を刊行するとともに,ガイドラインとして「C型肝炎治療ガイドライン」,「B型肝炎治療ガイドライン」,「肝癌診療ガイドライン」を公表しています.このたび2019年版として刊行するこの「慢性肝炎・肝硬変の診療ガイド」は2011年に初版,2013年に第2版,2016年に第3版として改訂したものを,さらに第4版に改訂したものです.個々の疾患のガイドラインとは異なり,慢性肝炎・肝硬変を一連の流れのなかで理解していただくために編集したものです.また,これまで3度の改訂を行い内容の充実を図ってきましたが,これは,B型肝炎・C型肝炎の抗ウイルス療法が急激に変貌し,肝硬変の薬物治療も毎年のように充実してきたことを背景にしています.
 本書が,日ごろ多忙な肝臓専門医あるいは非専門医の先生方の慢性肝疾患診療の一助となり,わが国の肝臓病による死亡をさらに減らすことに貢献できれば幸いに思います.

2019年4月
一般社団法人日本肝臓学会 理事長
竹原 徹郎
第1章 B型肝炎
1 概 要
 1.はじめに
 2.HBVとその感染
  memo HBVの複製過程
 3.診断と病態の把握
 4.治療の対象と目標
2 検査・診断
 1.はじめに
 2.B型肝炎の診断
 3.HBV活動性の評価
  memo HBV DNA定量法の単位について
 4.抗ウイルス療法とウイルスマーカー
  memo cccDNA
  memo HBコア関連抗原量
 5.遺伝子型(genotype)とウイルス変異
  memo 遺伝子型(genotype)
 6.その他の検査
3 経 過
 1.はじめに
 2.HBVキャリアの病期
  1 免疫寛容期(immune tolerant phase)
  2 免疫応答期(immune clearance phase)
  3 低増殖期[low replicative phase(inactive phase)]
  4 寛解期(remission phase)
   memo 米国肝臓病学会のガイドラインの分類
   memo de novo B型肝炎
 3.HBVキャリアの自然経過
 4.HBV再活性化
4 治 療
 1.B型慢性肝炎の治療方針
  1 治療の基本方針
  2 日本肝臓学会のB型肝炎治療ガイドライン(第3.1版)
 2.B型肝炎の各種治療法
  1 インターフェロン(IFN)
   1)治療効果
   2)投与対象
   3)投与方法,副作用
   4)核酸アナログ製剤とIFNのsequential療法
   5)核酸アナログ製剤とIFNの併用療法(add-on治療)
  2 核酸アナログ製剤
   1)投与対象
   2)各論
   (1)エンテカビル(ETV)
   (2)テノホビルジソプロキシルフマル酸塩(TDF)
   (3)テノホビルアラフェナミド(TAF)
   (4)ラミブジン(LAM)
   (5)アデホビル(ADV)
  3 今後の展望
第2章 C型肝炎
1 概 要
 1.C型慢性肝炎とは?
 2.診断の流れ
 3.治療の流れ
2 検査・診断
 1.疫学
 2.診断にあたって
  1 病歴
  2 自覚症状
  3 身体所見
 3.検査を進めるにあたって
 4.一般臨床検査成績
 5.C型肝炎ウイルスマーカー
  1 HCV抗体
  2 HCV RNA
  3 HCVコア抗原
  4 HCV遺伝子型(genotype)・血清型(serotype,serogroup)・薬剤耐性アミノ酸変異(resistance-associated substitution:RAS)
   memo 薬剤耐性アミノ酸変異(resistance-associated substitution:RAS)
 6.診断
  memo 非侵襲的肝線維化評価と肝発癌リスク
3 経過・予後
 1.C型急性肝炎
 2.C型慢性肝炎
 3.肝外合併症
4 治 療
 1.C型慢性肝炎治療の基本的な考え方
 2.抗ウイルス療法の治療対象
 3.抗ウイルス療法の治療効果判定
 4.直接型抗ウイルス薬(direct acting antiviral:DAA)
 5.IFN-based治療
  1 Peg-IFN+リバビリン併用療法
   1)適応
   2)治療成績
 6.IFN-free治療
  1 ダクラタスビル+アスナプレビル併用療法(genotype1)
   1)適応
   2)治療成績
   3)安全性
   4)薬剤耐性
  2 ソホスブビル/レジパスビル(genotype1,2)
   1)適応
   2)治療成績
   3)安全性
   4)薬剤相互作用
   5)薬剤耐性
  3 ソホスブビル+リバビリン併用療法(genotype2)
   1)適応
   2)治療効果
   3)安全性
   4)薬剤耐性
  4 エルバスビル+グラゾプレビル併用療法(genotype1)
   1)適応
   2)治療効果
   3)安全性
   4)薬剤耐性
  5 グレカプレビル/ピブレンタスビル(genotype1,2)
   1)適応
   2)治療効果
   3)安全性
  6 ソホスブビル/ベルパタスビル±リバビリン(genotype1,2)
   1)適応
   2)治療効果
   3)安全性
   4)薬剤相互作用
   5)薬剤耐性
  7 その他
 7.抗ウイルス療法の治療選択
  1 初回治療
  2 再治療
  3 special population
   1)HBV共感染例
   2)HIV共感染例
   3)genotype3~6
   4)腎機能障害・透析例
   5)肝移植後再発例
   6)肝発癌後症例
   7)非代償性肝硬変例
 8.肝庇護療法
 9.IFN少量長期投与
 10.一般的な注意
第3章 肝硬変
1 概 要
 1.概念
 2.分類
  1 成因による分類
   1)ウイルス性肝炎
   2)アルコール性
   3)自己免疫性
    memo 原発性胆汁性胆管炎(primary biliary cholangitis:PBC)
   4)胆汁うっ滞型
   5)代謝性
   6)うっ血性
   7)薬物性
   8)特殊な感染症
   9)非アルコール性脂肪肝炎(nonalcoholic steatohepatitis:NASH)
   10)原因不明
  2 機能的分類
   1)代償性肝硬変(compensated cirrhosis)
   2)非代償性肝硬変(decompensated cirrhosis)
  3 病理組織的分類
   1)WHO分類
   2)日本門脈圧亢進症学会による分類
 3.疫学
  1 頻度
  2 成因
 4.診断指針
 5.経過観察・治療指針
2 検査・診断
 1.症候
  1 症状
   memo Acute-on-Chronic Liver Failure(ACLF)
  2 身体所見
 2.検体検査
  1 尿検査
  2 便検査
  3 血液検査
  4 血液生化学検査
  5 成因に関する検査
  6 腫瘍マーカー
  7 線維化マーカー
   memo Mac-2結合蛋白糖鎖修飾異性体(Mac-2 binding protein glycosylation isomer:M2BPGi)
   memo オートタキシン(ATX)
 3.画像診断
  1 超音波検査
  2 CT,MRI
  3 上部消化管内視鏡検査
 4.画像診断(肝硬度診断)
  1 超音波検査による肝硬度測定(保険診療)
  2 MRI検査による肝測定(保険外診療)
 5.腹腔鏡,肝生検
 6.診断
  1 肝硬変の診断:慢性肝疾患における進展度の評価
  2 肝硬変と鑑別を要する疾患
3 経過・合併症
 1.合併症
  1 腹水
  2 特発性細菌性腹膜炎(spontaneous bacterial peritonitis:SBP)
  3 胸水
  4 消化管病変
   1)静脈瘤
   2)消化管粘膜病変
  5 肝腎症候群(hepato-renal syndrome)
  6 肝肺症候群(hepato-pulmonary syndrome)
  7 肝細胞癌(hepatocellular carcinoma)
 2.経過,予後
  1 死因
  2 経過と予後を規定する要因
4 治 療
 1.はじめに
 2.肝硬変の治療方針
 3.肝硬変の薬物治療
  1 原因に対する治療
  2 抗炎症療法
  3 栄養療法
 4.肝硬変合併症の治療
  1 肝性脳症
   memo 難吸収性抗菌薬 リファキシミン
   memo バソプレシンV2受容体拮抗薬[トルバプタン(サムスカ®錠)]の投与開始基準および治療における留意点
  2 腹水・浮腫
  3 カルニチン欠乏症
  4 亜鉛欠乏症
  5 皮膚搔痒症
   memo オピオイドκ受容体作動薬 ナルフラフィン
  6 門脈圧亢進症
  7 消化管出血
 5.日常生活の指導
 6.肝移植
   memo 身体障害者福祉法:肝臓機能障害
   memo 肝がん・重度肝硬変治療研究促進事業
5 肝細胞癌のスクリーニング
 1.はじめに
 2.肝硬変からの肝細胞癌発生リスク
 3.血液検査による肝細胞癌のスクリーニング
 4.画像診断による肝細胞癌のスクリーニング
 5.腎機能低下,造影剤アレルギーの有無による画像検査の選択
索 引