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運動器の躍動・病態を画像でとらえて,治療に活かす!WEB動画により運動器超音波機能解剖がますます解る!!

運動療法のための

運動器超音波機能解剖 拘縮治療との接点

[WEB動画付き]

カバー写真
  • 著:林 典雄(中部学院大学看護リハビリテーション学部理学療法学科教授)
  • 監修:杉本勝正(名古屋スポーツクリニック院長)
  • B5判・200頁・4色刷
  • ISBN 978-4-8306-4518-1
  • 2015年4月10日発行
定価 6,050 円 (本体 5,500円 + 税10%)
あり
在庫
電子版販売サイト

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内容

序文

主要目次

理学療法士が拘縮治療を行う際,有用と思われる運動器超音波機能解剖を解説しつつ,それらの所見を踏まえた技術的なクリニカルヒントについて,豊富な超音波画像,解りやすい解剖イラスト,そして動きをリアルタイムでとらえることの出来る実際の動画(WEB動画)を観ながら理解することが出来る.運動器を扱う全てのセラピストにとって必読の内容がぎっしり詰まった一冊.
☆図版16点,カラー写真92点,モノクロ写真144点
企画にあたって

 運動器リハビリテーションに携わり約30年が経過しました.この間,多くの整形外科医の指導を受けながら,関節機能解剖,拘縮治療をテーマに臨床,研究,教育に携わってきました.
 「関節拘縮」は我々運動器疾患を扱うセラピストにとって,なじみの深い機能障害です.整形外科手術後のリハビリテーションであっても,スポーツ障害をはじめとする様々な慢性疼痛症候群に対するリハビリテーションであっても,まずは関節可動域とともに関節周辺組織の硬さを評価します.可動域の評価は角度をもって表示しますから,誰が行っても基本的に差は出ませんが,周辺組織の硬さや関節を動かした時の抵抗感などは,匠の技を持ったセラピストと経験の浅いセラピストでは,その評価基準がばらつくことが容易に予想できます.この技の差が,治療成績に直結することも私たちは知っていますし,この差を埋めるべくセラピストたちは技術研修会などで勉強を続けています.
 関節拘縮に対する運動療法を考える際には,関節機能解剖を基礎に,不動ならびに炎症後の組織修復過程との兼ね合いの中で,病態を考察することが必要です.そのための重要な情報が,マクロ解剖所見とバイオメカニクス的研究であり,歴史的にそれらを総合して運動療法の技術論が語られてきました.このような背景の中,超音波画像診断装置(以下エコー)の進歩は,セラピストが治療対象とする組織を観ることを可能にし,その結果,関節拘縮を可視化できる可能性が出てきました.加えて,運動に伴う組織動態もリアルタイムに観察でき,使い方によっては可動域制限の原因を同定することも可能です.このように,生きた人間の関節動態を「観る」ことにより,今までの運動療法技術はさらに改良され進歩すると思われます.そして今後は,関節を動かした際の組織動態を科学する「運動器超音波機能解剖」がセラピストの技術を裏づける理論として注目を浴びることになるでしょう.
 関節拘縮治療に携わるセラピストに向けて本書を刊行するにあたり,最もこだわった点が超音波動態をどう読者に提供するかという点です.書籍の枠組みの中で関節動態を表現するには,動画を分割画像として見せる意外に方法はなく,動画がもつ表現力やニュアンスを伝えるにはどうしても限界があります.そこで,WEBサイトを有効利用した書籍スタイルとすることで,実際の関節動態をスマートフォンやタブレットで簡単に,しかも鮮明な動画として提供することを可能としました.本文を読み,分割写真で各組織の位置や動きの特徴を踏まえた上で動画を見る.こうした過程を繰り返すことで,格段に超音波機能解剖を理解することができるでしょう.このような関節運動の可視化は,日々の臨床で行っている技術を一歩前へと進化させ,さらに精度の高い技術へと進化させることが期待されます.セラピストの技術が洗練され,さらに高みを極めることによる恩恵は,すべて患者さんに還元されます.関節拘縮に苦しめられている患者さんを一日でも早く,少しでも効果的に治すために,エコー観察が日常診療の中で当たり前となる日はそれほど遠くないと信じています.
 運動器リハビリテーションの今後の発展を考えると,エコーは欠くことのできない評価ツールとしてその存在感を急速に増してくると思います.そのためのきっかけとして本書がお役に立てば幸いです.
 最後に,本書の企画から出版にいたるまで献身的にサポートいただきました文光堂の中村氏,監修の労をお取りいただきました名古屋スポーツクリニック院長の杉本先生に深く感謝いたします.

2015年4月
中部学院大学 林 典雄
I 総論 関節拘縮を超音波で観るとは?
(1)超音波画像を観る上での用語と画像表示のきまり
(2)関節拘縮の基本概念
(3)目的とする組織は超音波ではどのように見える?
II 各関節の超音波観察と拘縮との関連
 Ⅰ 肩関節
 1 烏口上腕靱帯の超音波観察と拘縮との関連
 2 棘下筋の超音波観察と拘縮との関連
 3 棘下筋下の脂肪組織の超音波観察と拘縮との関連
 4 烏口肩峰靱帯の超音波観察と拘縮との関連
 5 大円筋ならびに広背筋の超音波観察と拘縮との関連
 6 小円筋の超音波観察と拘縮との関連
 II 肘関節
 1 上腕筋の超音波観察と拘縮との関連
 2 上腕三頭筋の超音波観察と拘縮との関連
 3 長橈側手根伸筋の超音波観察と拘縮との関連
 4 肘関節後方脂肪体の超音波観察と拘縮との関連
 III 前腕,手
 1 回内運動における橈骨輪状靱帯の超音波観察と拘縮との関連
 2 回外運動における前腕骨間膜の超音波観察と拘縮との関連
 3 回外運動における尺骨頭の超音波観察と拘縮との関連
 4 月状骨と舟状骨の超音波観察と拘縮との関連
 5 MP 関節側副靱帯の超音波観察と拘縮との関連
 IV 股関節
 1 腸腰筋,恥骨筋の超音波観察と拘縮との関連
 2 腸脛靱帯関連組織の超音波観察と拘縮との関連
 V 膝関節
 1 膝蓋上包周辺組織の超音波観察と拘縮との関連
 2 内側膝蓋支帯の超音波観察と拘縮との関連
 3 外側膝蓋支帯の超音波観察と拘縮との関連
 4 膝蓋下脂肪体の超音波観察と拘縮との関連
 VI 足関節
 1 アキレス腱深部の超音波観察と拘縮との関連
 2 長母趾屈筋の超音波観察と拘縮との関連
 3 脛腓靱帯結合ならびに下腿骨間膜の超音波観察と拘縮との関連
 4 距腿関節前方組織の超音波観察と拘縮との関連
III 超音波診断装置を用いた組織弾性の計測
(1)理学療法の中での「硬さ」の評価意義とエラストグラフィ
(2)組織弾性の計測と拘縮との関連
文献
索引