ベッドサイドで真に使えるVA超音波の技術を身につけよう!
新刊透析バスキュラーアクセス(VA)超音波実践バイブル
45のCQで学ぶエキスパートのワザと経験
内容
序文
主要目次
私が研修医を終えた1999年頃,透析医療の現場に超音波装置はほとんどありませんでした.超音波装置はとても高価な機器で,病院の検査室に置かれ,主に全身臓器の評価に使われていたのです.そんななかで,私は胎児の立体画像を得る技術を応用し,内シャント血管の立体画像を撮影する研究を提案されました.これが,私と透析バスキュラーアクセスにおける超音波研究との出会いでした.
研究を重ねるにつれ,「いつか透析施設に1 台ずつ超音波装置が置かれ,バスキュラーアクセスに活用される日が来てほしい」と夢見るようになりました.実際,その後,熟練者の経験に頼ってきた評価に超音波を導入することで,より正確で客観的な判断ができるようになりました.例えば「スリル良好」という手技の感覚的な評価に,上腕動脈血流量(FV)や抵抗指数
(RI)といった数値を加えることで,診療の質は大きく向上しました.やがてVAIVT にも超音波が活用されるようになり,その有用性は急速に広まりました.
いまでは,超音波なしでバスキュラーアクセスを維持・管理するのは難しい時代になっています.臨床検査技師だけでなく,看護師や臨床工学技士など多くの職種が超音波を学び,日常の診療に取り入れるようになりました.それに伴い,超音波バスキュラーアクセスに関する書籍も次々に出版されています.
では,そのなかで本書が目指すものは何でしょうか.私は「ベッドサイドで使える技術を一冊にまとめること」を目標にしました.もちろんEBM(科学的根拠に基づく医療)は重要ですが,現場で働く皆さんにとってまず役立つのは「実際にどう評価し,どう手を動かすか」という技術の伝承です.本書では,エキスパートの経験を学びつつ,そのまま現場で生かせる内容を集めました.
この本を手に取ってくださった皆さんが,日々の診療で自信を持って超音波を使えるようになり,そこから新しいエビデンスが生まれていくことを期待しています.そして本書が,透析医療の未来を支える若い力の一助となれば,これ以上の喜びはありません.
2026年8月
埼玉医科大学総合医療センター
腎・高血圧内科 教授/血液浄化センター長
小川智也
〈総論〉VAにおける超音波の活用
1 機能評価
2 形態評価
3 エコーガイド下穿刺-再現性をつくる3工程の思考法-
4 透析現場におけるVA管理
〈CQ〉機能評価編
CQ 1 機能評価は透析前,透析中,透析後,非透析日のどのタイミングに行うべきですか? それぞれで値が異なりますか?
CQ 2 石灰化が強い上腕動脈で血流量を測定する際のコツや工夫があれば教えてください.
CQ 3 上腕動脈血流量(FV)と抵抗指数(RI)に相関がない場合どのようなことが考えられますか?
CQ 4 機能評価を自動で測定できる装置を使用しています.マニュアルで測定すべき症例はありますか?
CQ 5 上腕動脈表在化の患者でFVを計測すると,100mL/minでした.なぜ透析時に200mL/minで脱血できるのでしょうか?
CQ 6 狭窄があるために手背枝へ血流が多く流れている場合,機能評価に意味はありますか?
CQ 7 AVGの血流量は上腕動脈と人工血管内のどちらで測定するのがよいでしょうか? 両者に違いはありますか?
CQ 8 測定部位によってFVの値にばらつきがある場合,どの値を報告しますか?
〈CQ〉形態評価編
CQ 9 吻合部の動静脈を1画面で描出するコツを教えてください.
CQ 10 人工血管の種類により,超音波画像の見え方は異なりますか?
CQ 11 超音波での瘤の評価方法はどのようにすればいいですか?
CQ 12 狭窄径を計測する際に駆血した方がよいでしょうか?
CQ 13 シェーマを書くときのポイントを教えてください.
CQ 14 狭窄の評価に収縮期最高血流速度(PSV)は有用ですか?
CQ 15 中枢の静脈は表在超音波検査でどこまでみることができますか?
〈CQ〉エコーガイド下穿刺編
CQ 16 エコーガイド下穿刺で刺入直後の針先を見失うことが多いのですが,同定する方法がありますか?
CQ 17 エコーガイド下穿刺の際に,動きやすい血管に対してどのように固定すると刺しやすいですか?
CQ 18 エコーガイド下穿刺の初心者はどのような血管で開始するといいですか?
CQ 19 エコーガイド下穿刺であれば深い血管でも穿刺できますが,上腕の深い静脈に穿刺しても大丈夫でしょうか?
CQ 20 エコーガイド下穿刺を新規導入する場合,患者に理解を得るためにはどのような説明がよいでしょうか?
CQ 21 エコーガイド下穿刺で穿刺中断を検討すべき場合はどのようなときですか?
〈CQ〉VA管理編
CQ 22 定期的なVA超音波検査を実施する間隔はどのように決めるのか教えてください.
CQ 23 透析室用に超音波診断装置の購入を考えています.どのような装置がお薦めでしょうか?
CQ 24 上腕動脈血流量(FV)が低い場合,どのタイミングでVA外来に紹介すべきですか?
CQ 25 穿刺困難時にはどのタイミングでVA外来への受診が必要ですか?
第2章 VAIVT
〈総論〉VAIVTにおける超音波の活用
1 エコーガイド下VAIVTの適応
2 エコーガイド下VAIVTの利点・欠点
3 起きやすい合併症
〈CQ〉
CQ 26 何を基準に治療を終了していますか? VAIVT直後の機能評価は有用ですか?
CQ 27 瘤や深部交通枝でガイドワイヤーがうまく描出できません.何かコツがありますか?
CQ 28 エコーガイド下VAIVTでのバルーン選択に特徴はありますか?
CQ 29 エコーガイド下VAIVTでの一人法と二人法の利点と欠点を教えてください.
CQ 30 エコーガイド下で行う経皮的血栓吸引はどのようにやるのですか?
CQ 31 エコーガイド下で行う外科的血栓除去はどのようにやるのですか?
CQ 32 VAIVT中に血管破裂を合併した際,止血できたかどうかを超音波で評価する際のポイントを教えてください.
CQ 33 VAIVT時に心臓超音波検査で確認した方がよい項目はありますか?
CQ 34 拡張部の麻酔はどうやるとよく効きますか?
CQ 35 エコーガイド下VAIVTで行う選択的皮神経ブロックはどのようにやるのですか?
CQ 36 中心静脈狭窄や閉塞で血管内超音波検査(IVUS)は有用ですか?
第3章 外科手術
〈総論〉VA関連手術における超音波の活用
Ⅰ VA作製時の超音波評価
1 AVF作製前の超音波評価
2 AVG作製前の超音波評価
3 動脈表在化術前の超音波評価
4 カフ型カテーテル留置前の超音波評価
Ⅱ VAトラブル時外科的修復前の術前検査
1 VA閉塞時の超音波検査
〈CQ〉
CQ 37 術前の動脈径,血流量,血管抵抗などの超音波パラメータから術後の過剰血流(FV>2L/min)の発症を予測できますか?
CQ 38 過去に中心静脈カテーテル留置歴がある患者において,術前超音波で中心静脈の閉塞や狭窄の有無を診断することはできますか?
CQ 39 尺側前腕のAVF作製を検討していますが,橈側で作製する場合と超音波評価の違いやポイントはありますか?
CQ 40 血管吻合が終わり血流再開後に流れがよくない場合,超音波で何をみればいいですか?
CQ 41 逆流血管を認めますが逆流血管結紮術を積極的に行った方がよい症状や超音波所見はありますか?
CQ 42 AVF,AVG感染を疑う際の超音波でみるポイントを教えてください.
CQ 43 カフ型カテーテル感染を疑う際の超音波評価のポイントと出口部変更術の適応について教えて下さい.
CQ 44 ステントグラフト内挿時に超音波で評価しておく点は何でしょうか?
CQ 45 VA作製(AVF,AVG,動脈表在化)の際の腕神経叢ブロックは有用でしょうか?
第4章 実際の症例を覗いてみる
症例 1 脱血不良
症例 2 アクセス音消失
症例 3 再循環
症例 4 上肢の浮腫
症例 5 穿刺困難
症例 6 瘤
症例 7 出血
症例 8 過剰血流
症例 9 中枢動脈狭窄
索引