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内科医が知っておくべきアレルギー性鼻炎診療の知識がこの1冊に!

内科医が知っておきたい アレルギー性鼻炎診療(電子版のみ)

  • 編集:山口正雄(帝京大学教授)
  • B5判・112頁・2色刷
  • ISBN 978-4-8306-2038-6
  • 2016年4月5日発行
定価 4,180 円 (本体 3,800円 + 税10%)
なし
在庫
※ 増刷予定:2017年10月5日頃
電子版販売サイト

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内容

序文

主要目次

一般内科へ受診してくることが多いアレルギー性鼻炎患者について,診療のコツから知っておくと役に立つ情報まで,第一線の専門家がわかりやすく解説した.本書冒頭の症例では,実際に「ありそう」な患者をとりあげており,日常診療に直結して非常に役立つ.治療の項目では「鼻アレルギー診療ガイドライン2016年版」に基づいた最新の情報を豊富に盛り込んでいる.Common diseaseであるアレルギー性鼻炎診療に自信をもって臨むための,一般内科医必携の1冊.

花粉症やアレルギー性鼻炎の治療が上手な医師になるために

 毎年2月から3月にかけて,筆者の勤務する大学や診療所の外来では,多くの患者と花粉飛散の話題で盛り上がるようになる.また,定期的に通院中の喘息患者においては,普段から通年性アレルギー性鼻炎で治療薬を処方している方は比較的多く,さらに,花粉症の時期には喘息の発作治療薬の追加処方がしばしば必要となる.春先にはウイルス感染による上気道炎も流行するため,患者から病状と経過を詳しく聞いた上でアレルギー症状かどうか判断しなくてはならないが,いつも容易であるとは限らない.患者にとっても,ウイルス感染,花粉アレルギー,喘息症状のいずれでも咳を呈するため,本人がいずれの咳なのか判定困難に陥ることも多い.喘息以外の呼吸器疾患(たとえばCOPDや非結核性抗酸菌症など)では, 花粉症や花粉飛散期の原病の悪化が診察室で話題になることは少ない.喘息(下気道のアレルギー疾患)と鼻炎(上気道のアレルギー疾患)とは,しばしば併存するだけでなく,一方が他方の症状に影響を与え合うため,両者を併せて診療していく姿勢が必要となる.さらに,内臓疾患をもたず鼻炎症状だけであっても,春先は大混雑している耳鼻科を避けて内科あるいは種々の科を診ておられる開業医に受診する患者もかなりの数になる.さらに,スギ花粉飛散の始め頃は,軽症の急性上気道炎だけでなく,インフルエンザ流行時期とも重なってしまう.多くの診療所の待合室には,静かに座る慢性疾患(高血圧や脂質異常症など)の患者と,咳をする喘息や上気道感染症の患者,発熱・咽頭痛と倦怠感の強いインフルエンザ疑いの患者,何度も鼻をかみ,くしゃみを繰り返す花粉症の患者などが押し寄せて,大忙しの外来となる.花粉症は近年は国民病という言い方が定着し,耳鼻科以外の医師のもとに多くの患者が来院するが,決して軽症のアレルギー疾患と侮ってはならず,むしろ特定の時期に集中して強烈な症状が出現する重症の疾患であり,市販薬ではコントロールがままならないからこそ患者の側でも長い待ち時間を覚悟して来院するものと思う.
 診療を担当する医師としては,宣伝されていて知名度が高く薬局で入手できるような一般用医薬品(OTC薬)と同じ内服薬を説明なしに処方するのではなく,もっと親身に薬剤を選ぶようにしたい.知名度の高い薬剤を処方する際であっても,宣伝のうたい文句をどう評価しているのかを一言添えておくと,処方薬への信頼感は一層高まるはずである.OTC 薬やジェネリック医薬品を含む治療薬全体の数も増えているなかで,花粉症の治療を担当する医師としては,処方する薬剤に対して期待する効果や,その薬剤で効果が十分でない場合の次の一手を手短に患者に伝えることができれば,治療内容への適切な程度の期待感を患者と共有できることと思う.筆者自身も普段の診療で患者と話をするなかで,原因花粉の適切な検査,対症療法の実施だけでなく,体質改善(アレルゲン免疫療法)を含む将来を見据えてのきめ細やかな治療立案も患者が切に望んでいることを実感する.そして,医師の側から夢のような話を口に出すことは普段あまりないが,アレルギー疾患については体質改善により疾患治癒を誘導する治療,あるいは疾患の自然史(natural history)を変える治療に患者は大きな期待を寄せておられ,目先の効果が強くなくても,気長に治療を続けて頂ける患者も数多い.
 本書は, 日頃から花粉症・アレルギー性鼻炎診療に関わっている一般医師にとって,花粉症に上手に対応していくための重要な情報を項目ごとに簡潔にまとめており,どの項目から読み始めて頂いても役立つ知識・経験談が豊富に含まれている.日常診療のなかの一瞬の合間に,そして患者から質問を受けたときに,あるいは集中的に知識を更新したいときに,ぜひ,この本を役立てて頂きたい.そして,アレルギー性鼻炎・花粉症の診療の拠り所となる最新のガイドラインの説明,妊娠との兼ね合いや眠気の副作用の心配など,患者から質問されたときに,手短には答えづらいような事項に関しての現時点における最適な考え方・答え方も含まれている.時間のあるときに丁寧にお読み頂きたい項目の一つは,一般医師にとって耳鼻科医への相談,紹介を必要とするような場面の概説であろう.これら様々な内容が凝縮されている本書をぜひ,花粉症・アレルギー性鼻炎の診療の参考にして頂きたい.一方,耳鼻科の先生方におかれても,近隣の(または同じ施設内の)内科医や一般医師からコンサルトされた際は, 実は一般医師も花粉症・アレルギー性鼻炎の診療に力を注いでいることに気づいて頂き,紹介元の医師との役割分担あるいは連携に本書を活用して頂きたい.
 そして,患者さんがこの本を手にされる際は,まず冒頭の典型的患者(架空の患者さんなので,もしかしたら自分の情報が詳しく書かれているのでは,という心配は無用です)の章を読んでみて下さい. 診療のなかで患者さんから発せられる質問の主なものを選んでみました.ご自分の感じている疑問がほかの人々も共通しているのだなと感じて頂けると,ちょっと安心されることと思います.
 本書に掲載されているのは現時点で最新の診療内容と言ってよいものであるが,今後新たな検査法が開発されたり,新たな薬剤が世に出たりすることで一歩ずつ前進することも期待したい.しかし,本書が時代遅れとなるのはおそらくかなり先の話であり,この書を手にされる医師(そして患者さんも)には,ぜひとも本書を永く活用して頂くことを願っている.

平成28年3月
山口正雄
第1章 症 例
 ■ こんな症例に出遭ったら……
  CASE 1 毎年春先に鼻炎と結膜炎の症状があり,一度検査を受けておきたいと希望
  CASE 2 春先だけでなく5~6月にもアレルギー性鼻炎が生じるようになった
  CASE 3 周囲の人々と似た鼻症状がこの春に出現.今後,毎年症状が起きるのか心配
  CASE 4 喘息は治療で落ち着いているが,最近は鼻炎症状が強まっている
  CASE 5 春先の鼻炎の症状は我慢できるが,咳の方がつらいといって来院
  CASE 6 大学受験を1年後に控えて,花粉症の治療薬で集中力が落ちないか心配
  CASE 7 車の運転をするので,眠気が生じない治療を希望
  CASE 8 今使用している鼻炎の治療薬は,妊娠したら止めるべきか知りたい
  CASE 9 職場に行くと鼻炎や喘息の症状が生じる
  CASE 10 喘息とアレルギー性鼻炎がもともとあるが,最近嗅覚が低下している
  CASE 11 モモやビワを食べると喉がかゆくなる.花粉症と関連があると耳にしたのだが
第2章 診療の流れ
 1 問診のコツ
 2 診察・検査のコツ
  1) まず行う診察と検査(皮膚テスト,血液検査)
  2) 耳鼻科において行われる検査
 3 治 療
  1) 抗ヒスタミン薬
 COLUMN ジェネリック医薬品や市販薬の効果は先発医薬品と同じくらい?
 COLUMN 来年はいつ頃受診するように伝えればいい?
  2) 鼻噴霧用ステロイド薬
  3) 抗ロイコトリエン薬
 COLUMN 鼻づまりの特効薬は?
  4) 点眼薬処方における注意点
 COLUMN コンタクトレンズ使用中は点眼薬は避けるべき?
  5) アレルギー性鼻炎に対する手術治療の実際
 4 耳鼻科医への紹介が望ましい場面
 COLUMN アレルギー性鼻炎治療薬は妊娠中は止めるべき?
 COLUMN 1回の注射だけでシーズン中は快適,と同僚は言うのだが
第3章 これも知っておくと役に立つ
 1 花粉飛散量の多い天気
 2 花粉症に伴う咳の鑑別
 3 口腔アレルギー症候群と花粉
 4 職業性の喘息やアレルギー性鼻炎
 5 睡眠にも関係がある
 COLUMN 大気汚染はアレルギー性鼻炎と関係あり?
第4章 参考情報
 1 鼻アレルギー診療ガイドライン2016年版
 2 アレルゲン免疫療法施行の手引き
索引