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日本の脳神経外科診療のスタンダードを示す!

脳神経外科診療プラクティス  5

無症候性脳血管障害を解く

カバー写真
  • 編集:飯原弘二(九州大学教授)
  • B5判・382頁・4色刷
  • ISBN 978-4-8306-2405-6
  • 2015年4月発行
定価 20,520 円 (本体 19,000円 + 税)
あり
在庫

内容

序文

主要目次

脳神経外科が扱う無症候性脳血管障害の中で,特に重要なものに絞って,実際の診療の流れに沿うような形で,進歩の著しい画像診断による発症前診断と症候化のメカニズム,リスクファクターの管理,内科治療の管理,外科,血管内治療などの介入の適応などのエッセンスを豊富なイラストをもとに解説した.
☆図版89点,表組61点,カラー写真40点,モノクロ写真102点

序文

 「脳神経外科診療プラクティス」シリーズは,橋本信夫国立循環器病研究センター理事長のご指導のもと,脳神経外科専門医に求められているものは何かという視点で発刊されることになりました.このシリーズは,ニューロサイエンスの視点を重視した意味で,他のシリーズとは一線を画すユニークなものです.
 今回,「無症候性脳血管障害」をタイトルとして取り上げました.MRIをはじめとする画像診断の普及,脳ドックの普及により無症候性脳血管障害を実地臨床で扱う頻度が増加しています.脳卒中は,本邦の死亡原因の第四位を占め,要介護の原因の第一位を占め,その克服は健康寿命の延伸に喫緊の課題となっています.無症候性脳梗塞が脳卒中の独立した危険因子であり,また未破裂脳動脈瘤についても,本邦やフィンランドでは諸外国に比較して破裂率が高いと報告されています.このように無症候性脳血管障害が,症候化や破裂をきたすリスクを的確に予測し,発症や破裂を未然に防ぐためには,患者さんに応じた診療計画を立てる必要があります.そのためには,疾患ごとに,発症前診断,発症前治療を目指す「先制医療」「適確医療」の観点から,「無症候性脳血管障害を解く」ことが,
ますます大切になってくると思います.
 本書は,脳神経外科が扱う無症候性脳血管障害の中で,特に重要なものに絞って,実際の診療の流れに沿うような形で,進歩の著しい画像診断による発症前診断と症候化のメカニズム,リスクファクターの管理,内科治療の管理,外科,血管内治療などの介入の適応などのエッセンスを,エキスパートの先生に豊富なイラストをもとに解説してもらう形で企画致しました.脳血管障害を扱う医師が日常臨床で遭遇する機会は多いものの,本書のような包括的アプローチで,「無症候性脳血管障害を解く」企画は,これまでありませんでした.このような観点から,内科,外科,血管内治療,神経放射線から疫学の各分野のエキスパートに執筆をお願い致しました.最初の総説で,本書の編集の意図をご理解頂けるように,先制医療,適確医療の概念を概説致しました.まずはこの総説をお読み頂くことで,どの項目を読む際にも,読者独自の視点で「無症候性脳血管障害を解く」ことが可能となると思います.一人でも多くの脳神経外科医が,多忙な臨床の合間に折にふれ,本書を手に取ることにより成長することができれば,編者として望外の喜びです.

九州大学 飯原弘二

I. 総説-「無症候性」の概念-
 1.無症候性脳血管障害を解く─先制医療,適確医療の観点から─
II. 無症候性脳血管障害のリスクファクター
 1.総論─無症候性脳血管障害のリスクをどう捉えるか─
 2.性差
 3.高血圧─内服薬選択のコツ─
 4.糖尿病─内服薬選択のコツ─
 5.脂質異常症─内服薬選択のコツ─
 6.喫煙
 7.冠動脈病変─心脳連関とは?─
 8.慢性腎臓病─脳腎連関とは?─
 9.遺伝子異常
 10.バイオマーカー
III. 無症候性脳血管障害のイメージング-症候化のメカニズムを解く-
 1.総論─無症候性脳血管障害のイメージングの選定─
 2.イメージングのリスク評価─造影剤と腎機能─
 3.MRI─現状と未来─
 4.MRI─大脳白質病変,認知症─
 5.MRI─無症候性脳梗塞─
 6.MRI─無症候性脳出血─
 7.MRI─ivy sign─
 8.MRI血管撮像─適応と限界─
 9.MRIプラーク診断─どのように活用するか?─
 10.超音波検査
 11.経頭蓋ドプラ
 12.カテーテル脳血管撮影
 13.CT─機種の選定と読影のポイント─
 14.CT血管造影─現状と未来─
 15.PET/SPECT─脳循環代謝─
 16.OCT,VH-IVUS
 17.FDG-PET─炎症を可視化する─
 18.分子イメージングの応用
 19.computational fluid dynamics
IV. 無症候性脳血管障害の内科治療と管理
 1.脳ドック受診─高リスク患者への対応─
 2.無症候性脳血管障害の内科治療─総論
 3.無症候性脳血管障害が見つかったらどうするか?─イメージングをどう活用し,病態を理解,管理するか?
  a.微小出血を持つ患者への対応
  b.poly-vascular diseaseを持つ患者への対応
  c.高次脳機能障害を持つ患者への対応
  d.無症候性病変をどう追跡し,治療適応を判断するか?
 4.無症候性脳血管障害を合併した患者の周術期管理
V. 各論-外科治療,血管内治療の適応決定-
 1.頸動脈狭窄症
  a.無症候性狭窄の成因と病態
  b.無症候性狭窄の診断
  c.無症候性狭窄の内科治療
  d.無症候性狭窄の手術適応
  e.大規模臨床試験の概要─ACST,ACAS─
  f.頸動脈内膜剝離術─手技の実際と合併症回避のコツ─
  g.頸動脈ステント留置術─手技の実際と合併症回避のコツ─
 2.頭蓋内狭窄
  a.無症候性頭蓋内狭窄の診断
  b.無症候性頭蓋内狭窄の治療方針
 3.未破裂脳動脈瘤
  a.脳動脈瘤発生・増大と破裂のメカニズム
  b.スクリーニング
  c.内科治療
  d.自然歴─大規模研究からわかったこと─
  e.クリッピング─手技の実際と合併症回避のコツ─
  f.コイル塞栓術─手技の実際と合併症回避のコツ─
  g.治療後の高次脳機能,quality of life
 4.海綿状血管腫
  a.成因と自然歴
  b.画像診断
  c.治療方針
 5.脳動静脈奇形
  a.成因と自然歴
  b.画像診断
  c.外科治療
  d.塞栓術
  e.定位放射線治療
  f.大規模臨床研究─ARUBA Study─
 6.硬膜動静脈瘻
  a.成因と自然歴
  b.画像診断
  c.治療方針─治療選択と時期─
 7.もやもや病
  a.画像診断
  b.遺伝因子と発症リスク評価
  c.自然歴─発症リスク評価と合併症回避のコツ─
 8.脳血管解離
 9.脳静脈洞血栓症
VI. 無症候性脳血管障害が与える影響
 1.高次脳機能障害
 2.Quality of life
 3.医療経済効果─費用対効果を考えよう
索引