国立スポーツ科学センターが長年蓄積してきたデータやノウハウを実践的かつコンパクトに凝縮した1冊!
新刊国立スポーツ科学センター
メディカルチェックハンドブック
内容
序文
主要目次
アスリートが,最大のパフォーマンスを発揮するためには,より完全で良好な健康状態(コンディション)が担保されている必要がある.スポーツ活動は肉体的にも精神的にも身体への負荷となり,この負荷が生理的適応範囲を超えると様々な外傷・障害や疾病の原因にもなる.特に競技力やパフォーマンスを競い合うトップアスリートでは,日々肉体的にも精神的にも過酷な負荷に曝されていると考えられ,定期的にメディカルチェック(MC)を行い,個々のコンディションの把握と改善に努めることが望ましい.
国立スポーツ科学センター(JISS)では,2001年の開所以来わが国のトップアスリートのMCを実施しており,現在は年間平均1,500件実施し,2020年度末までで延べ30,544件に至る.
スポーツにおけるMC の目的は,個々のアスリートに対し,各種の計測や検査および診察によって健康状態を評価し,スポーツ活動によって生命維持に直結するような重篤な疾病のリスクを除外するとともに,スポーツ活動に支障をきたしている,あるいは,きたす可能性のある外傷・障害や疾病を同定し,安全かつ良好なパフォーマンスが発揮できるよう,個別にフィードバックやアドバイスを行うことである.また,MCによって蓄積されたデータベースを整理し,アスリートの健康管理における有用な情報をまとめ,対象母集団やさらには広く社会に還元することも重要な目的の一つといえる.
MCでは,評価方法をできる限り標準化することで,比較や検討の対象を拡大することが可能となる.医療・医学は常に進歩し続けるものであり,MCの内容や解釈も適宜更新が必要と考えられるが,本書では,これまでJISSで実施してきたMCについて,現時点での具体的な実施内容とデータについて,利活用が可能と思われる情報を集約して報告することとした.当施設以外でMCを実施,あるいは検討している機関や団体,MCに関わる多くのスタッフにおいて,本書が有用なものとなれば幸いである.
2025年9月
国立スポーツ科学センタースポーツ医学研究部門長
中嶋耕平
Ⅰ 概要
Ⅱ 事前準備
第2章 メディカルチェック実施
Ⅰ 当日の流れ
Ⅱ 実施中のポイント
Ⅲ 資料
第3章 フィードバック
Ⅰ 帳票作成
Ⅱ フォローアップ
Ⅲ 資料
第4章 内 科
Ⅰ 目的と意義
Ⅱ メディカルチェックの流れ・実際
Ⅲ メディカルチェックの有効期間
Ⅳ アスリートにしばしば見られる疾病と問題がある場合の対策
Ⅴ 資料
第5章 整形外科
Ⅰ 目的と意義
Ⅱ メディカルチェックの流れ・実際
Ⅲ 資料
第6章 アライメントチェック・関節弛緩性テスト・タイトネステスト
Ⅰ 目的と意義
Ⅱ 測定方法
Ⅲ 評価
Ⅳ 資料
第7章 歯 科
Ⅰ 目的と意義
Ⅱ メディカルチェックの流れ・実際
Ⅲ 資料
第8章 婦人科
Ⅰ 目的と意義
Ⅱ 確認項目
Ⅲ 評価
第9章 臨床検査
Ⅰ 目的と意義
Ⅱ 検体項目
Ⅲ 生理検査
Ⅳ 資料
第10章 画像検査
Ⅰ 撮影における注意事項
Ⅱ 検査項目
Ⅲ 評価
Ⅳ フィードバック
第11章 薬 剤
Ⅰ 目的と意義
Ⅱ 確認の流れ
Ⅲ 確認(聴取)のポイント
Ⅳ 指導のポイント
第12章 栄 養
Ⅰ 目的と意義
Ⅱ 確認項目
Ⅲ 評価
Ⅳ フィードバック
Ⅴ メディカルチェックから得られた情報
索引