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本邦初の精巣腫瘍に特化した病理アトラス!肉眼から病理組織まで掲載写真は600点以上!!

精巣腫瘍病理アトラス

  • 編集:宮居弘輔(防衛医科大学校講師)
  •     都築豊徳(愛知医科大学病院教授)
  • B5変型判・256頁・4色刷
  • ISBN 978-4-8306-0483-6
  • 2021年6月発行
定価 14,300 円 (本体 13,000円 + 税10%)
あり
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内容

序文

主要目次

10万人に1人の発症とされる精巣腫瘍.しかし,15~35歳の男性においては最も多い悪性腫瘍である.本書は,多くの疾患の診断に携わる病理医が,効率よく精巣腫瘍の知識を修得し,質の高い病理診断が行えるように,アトラスとしての特徴を最大限に生かすような構成となっている.「総論」では精巣腫瘍の分類,鑑別診断および標準的な治療などについて図譜を多用して解説.「各論」では,各疾患について「臨床所見」「肉眼所見」「組織所見」の見出しを設け,必要最小限の説明とともに,美麗かつ豊富な肉眼・病理組織写真を掲載した.精巣腫瘍に対する病理診断能力の底上げを図り,患者の予後の改善を目指した病理医必携の1冊.



 精巣腫瘍は10万人に1人の発症とされる希少がんである一方,15〜35歳の男性においては最も多い悪性腫瘍である.精巣腫瘍で最も頻度の高い胚細胞腫瘍においては1970年代にシスプラチンを含む化学療法が導入されて以降,90%以上の患者が完治できる状況となり,比較的予後良好な腫瘍ととらえられている.その一方では難治性の精巣腫瘍患者が依然として存在し,原因の一つとして初期の切除検体における病理診断が適切でない場合があることが挙げられる.また,近年の分子生物学的研究成果の蓄積から,従来とは精巣腫瘍のとらえ方が大きく変貌し,診断ならびに治療にも大きな影響を及ぼしている.しかしながら,その内容が多くの病理医に十分理解されていないのが現状である.
 上記の問題が生じている主な原因の一つとして,最新の概念ならびに知識に基づいた精巣腫瘍の病理学的解説を行っている成書,特に日本語による解説書が少ないことがある.これらの状況を解決し,病理医の精巣腫瘍に対する診断能力の向上ならびに精巣腫瘍患者の予後改善に結びつけることを目的として,本書の出版を企画した.
 病理医は多くの疾患の診断に携わる一方,急激な医学の進歩に対応していくことが望まれ,効率的に深い診断能力を習得する必要に迫られている.これらの需要に対応すべく,本書では総論と各論の2部に加え,診断に役立つ免疫組織化学および遺伝子検索について記載した3部構成とすることにより,効率よく精巣腫瘍の知識ならびに診断能力が得られるように工夫をした.総論では図譜を多用し,精巣腫瘍の概論が容易に習得できるようにした.各論ではアトラスとしての特徴を積極的に生かすことに重点を置いた.具体的には豊富な肉眼ならびに組織写真の提示を中心とし,説明文を必要最小限に留めることにより,直感的に診断が可能になるように工夫を行った.ほかの腫瘍と同様,精巣腫瘍の診断においても肉眼所見が重要であるが,多くの教科書ではその掲載量は少ない.本書では肉眼写真を充実させ,肉眼所見からも精巣腫瘍診断へのアプローチが可能になることを目指した.これらの工夫により,日常業務に多忙を極める病理医にとって精巣腫瘍の診断が少しでも容易になることを期待している.
 本書は様々な面で初めての試みにより作成された内容となっており,不備や至らぬ点が存在していると思われる.読者の忌憚のない御意見を賜り,さらなる向上を目指していきたいと考えている.最後に,本書の執筆に尽力頂いた執筆者各位に感謝を申し上げたい.また,本書の企画および作成に尽力され,出版まで導いて頂いた,株式会社文光堂 鈴木貴成氏に心から御礼申し上げる.

2021年4月
宮居弘輔/都築豊徳

第1部 総論
 Ⅰ.精巣腫瘍の組織発生・分類
  1.胚細胞腫瘍
   1 歴史的背景
   2 現在の胚細胞腫瘍の分類
   3 分子生物学的観点(腫瘍発生段階)からの胚細胞腫瘍分類
   4 胚細胞腫瘍と家族性遺伝子異常
  2.性索間質性腫瘍
 Ⅱ.切除検体の取り扱いと肉眼観察の基礎
   1 基本的確認事項
   2 新鮮標本の取り扱いと固定
   3 切り出しと肉眼観察
 Ⅲ.精巣腫瘍鑑別診断のアプローチ
   1 腫瘍系統別の発生頻度
   2 腫瘍発症年齢の特徴
   3 GCNIS検索の意義と有用性
   4 腫瘍組織パターン別の鑑別診断
 Ⅳ.精巣腫瘍の標準的治療
   1 病期および予後分類
   2 病期Ⅰ精巣腫瘍の治療
   3 病期Ⅱ精巣腫瘍の治療
   4 進行期精巣腫瘍の治療
 Ⅴ.治療に伴う腫瘍の組織学的変化
   1 臨床的事項
   2 肉眼所見
   3 組織所見
 Ⅵ.腫瘍マーカー
   1 腫瘍マーカーの種類
   2 組織型の推定
   3 治療効果判定
   4 新しいバイオマーカーの開発

第2部 各論
 Ⅰ.GCNIS由来胚細胞腫瘍
   1 GCNIS
   2 セミノーマ
   3 胎児性癌
   4 絨毛性腫瘍
   5 卵黄囊腫瘍,思春期後型
   6 奇形腫,思春期後型
   7 体細胞型悪性腫瘍を伴う奇形腫
   8 複数の組織型を有する非セミノーマ性胚細胞腫瘍(混合型胚細胞腫瘍)
   9 退縮性胚細胞腫瘍
 Ⅱ.GCNIS非関連胚細胞腫瘍
   1 精母細胞性腫瘍
   2 奇形腫,思春期前型
   3 卵黄囊腫瘍,思春期前型および奇形腫・卵黄囊腫瘍混合型,思春期前型
  [コラム1]奇形腫,思春期前型の成人症例
 Ⅲ.性索間質性腫瘍
   1 Leydig細胞腫
   2 Sertoli細胞腫
   3 顆粒膜細胞腫
   4 莢膜細胞腫-線維腫群腫瘍
   5 混合型および分類不能型性索間質性腫瘍
  [コラム2]性索間質性腫瘍の診断困難例
 Ⅳ.胚細胞および性索間質成分両者を持つ腫瘍
   性腺芽腫
 Ⅴ.その他の精巣腫瘍(卵巣上皮型腫瘍,若年性黄色肉芽腫および血管腫)
 Ⅵ.血液リンパ組織性腫瘍
   1 悪性リンパ腫
   2 その他の血液系腫瘍(形質細胞腫,骨髄肉腫) 
 Ⅶ.集合管と精巣網の腫瘍
   腺腫および腺癌
 Ⅷ.傍精巣組織の腫瘍
   1 腺腫様(アデノマトイド)腫瘍および中皮腫
   2 精巣上体腫瘍
   3 その他の腫瘍(黒色神経外胚葉性腫瘍,腎芽腫,傍神経節腫)
 Ⅸ.精管および精巣付属器の間葉系腫瘍
   1 脂肪細胞性腫瘍
   2 平滑筋性腫瘍
   3 横紋筋性腫瘍
   4 線維芽細胞性/筋線維芽細胞性腫瘍およびその他の間葉系腫瘍
 Ⅹ.転移性腫瘍
 Ⅺ.腫瘍様病変
   1 精巣・精巣上体の腫瘍様病変
   2 精管・精巣付属器の腫瘍様病変
   
第3部 診断に有用な免疫組織化学および遺伝子検索
 Ⅰ.精巣腫瘍・傍精巣腫瘍に対する一般的なアプローチ
   1 精巣腫瘍・傍精巣腫瘍の組織診断に頻用される免疫組織化学抗体
   2 精巣腫瘍・傍精巣腫瘍の初期鑑別フローチャート
   3 12番染色体短腕増幅の検出とその意義
 Ⅱ.胚細胞腫瘍
  1.胚細胞腫瘍の免疫染色
   1 単一型の組織型の鑑別-セミノーマを中心に
   2 複数の構成成分の鑑別-混合型胚細胞腫瘍に多い組み合わせ
   3 その他-非浸潤性胚細胞腫瘍,病期分類や再発因子の判定
  2.FISHによる12p増幅の検出が有用であった類表皮囊腫(奇形腫,思春期前型)の症例
 Ⅲ.性索間質性腫瘍
  1.性索間質性腫瘍の診断に有用な免疫染色
   1 性索間質性腫瘍の分化マーカー
   2 非特異的であるが性索間質性腫瘍で陽性になるマーカー
   3 性索間質性腫瘍における上皮性マーカーの発現について
  2.鑑別に有用な免疫染色パネル
   1 胚細胞腫瘍と性索間質性腫瘍の鑑別
   2 類似の組織形態を示す腫瘍の鑑別
  3.性索間質性腫瘍と関連する遺伝子異常
 Ⅳ.その他の精巣および傍精巣腫瘍
  1.上皮性腫瘍
   1 卵巣上皮型腫瘍
   2 精巣網の腺腫・腺癌
   3 精巣上体の乳頭状囊胞腺腫・腺癌
  2.中皮性腫瘍
   1 腺腫様(アデノマトイド)腫瘍
   2 中皮腫
  3.血液リンパ組織性腫瘍
  4.精管および精巣付属器の間葉系腫瘍
   1 脂肪細胞性腫瘍
   2 平滑筋性腫瘍
   3 骨格筋性腫瘍
   4 線維芽細胞性/筋線維芽細胞性腫瘍
  5.転移性腫瘍

文献
索引