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編者らが独自に発見した人体の運動の法則性に基づき,新しい視点で人の運動の概念を提唱する!

運動の成り立ちとは何か

理学療法・作業療法のためのBiNI Approach

カバー写真
  • 編集:舟波真一(BiNI Approach Center代表)
  •     山岸茂則(飯山赤十字病院リハビリテーション科リハビリテーション第一係長)
  • B5判・232頁・2色刷
  • ISBN 978-4-8306-4509-9
  • 2014年5月発行
定価 6,804 円 (本体 6,300円 + 税)
あり
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正誤表

内容

序文

主要目次

編者らが独自に発見した人体の運動の法則性と,統合的運動生成概念に基づいて運動を再定義した独自のアプローチBiomechanics & Neuroscience Integrative Approach(BiNI Approach)を開発したので紹介する.自然科学の世界で証明されている事実や法則性などに基づき,それらを統合して解釈することで,今までとは異なった新しい視点で人の運動の概念を提唱している.リハビリテーションや全ての臨床家にとっての指針となる一冊.
☆図版174点,表組9点,モノクロ写真21点,イラスト・線画35点



「このページを開いてくれた,あなたは今どのように動いていますか?」
 約72億の人が存在するこの地球で,本書を手にした事実が運命という必然であるならば,その問いに想いを巡らせてほしい.我々の目指す未来は,目の前のクライアントを治すことにある.果てのないこの道で,我々は,治療家・臨床家としての魂のエングラムに回帰する必要があった.そのためには,まず,「運動」というものを,本来の姿に戻さなければならない.人はバイアスの塊である.自分自身もそうであるから難解だが,一つ所に淀むことなく,既成概念を疑い,動的な均衡にあってその本質を考えてきた.
 運動の成り立ちとは何か?そもそも,その中身が理解されていなければクライアントが呈する問題を解決する手立ては見つからない.それは,生命を誤解なく理解しようとする思考と試行の中にこそ見えてくる.60兆個の細胞が織り成す「生きている」システムを運動として捉え,新たに訳し直すことに本書は挑んでいる.統合的運動生成概念に基づいて運動を再定義し,出来る限り論理的に言語化するよう心掛けた.制御という言葉の対義語である自己組織化の考え方を根幹に据え,既知の事実に照らし合わせながらわかりやすく解説したつもりである.日々の臨床の中で疑問が生じたとき,本書を手掛かりに考えてほしい.消化できるようなロジックが,ここには記載されているはずである.また,実際の治療に汎化していけるアイデアも眠っているだろう.それは,概念とアプローチを混同しない事に立脚しているからであり,詳しくは本書を読み進めていくうちに理解できる構成となっている.しかし,自分にとって必要だと思った章から読んでもらっても一向に構わない.すべては本書を手にしたあなたに委ねられる.運動の真理への扉は,すでに開けられたのだから.
 我々は人の運動を治療する専門家である.ならば,人を機械のように分解して扱ってはならない.現代医療において,外科や内科という科別診療がどうしても存在するならば,我々はあえて「人(ヒト)科」を標榜したい.そこでの出会いに全身全霊をもって臨みたい.そう願った14人の著者の「複雑系」がそれぞれに作用し,大域的な秩序として創発されたのが本書である.いや,我々だけではなく,今まで響き合ったすべての仲間たち,スタッフや受講生や多くのクライアントと共に創発したものだといえる.
 初期値は,山岸茂則・水口慶高と,私を含めた3人の宿命の出会いにある.彼らのおかげであり,彼らがいなければ私自身もこの本もあり得ないが,この世界が非線形であるかぎり,どうだったからこうなったという比例関係で物事を考えるのは無粋なのでやめておく.言えるのは,この小さな羽ばたきが,これからどんな形になっていくのか誰にもわからないからおもしろい,という事だけだ.
 これまでだって,止まっていたことなんてない.滝壺に深く沈んで行ったなら,その分だけ浮き上がる力になる.襲い来る不安を駆逐するため,これからだって動き続けよう.そう,流れの中にこそまだ見ぬ答えがあるはず.留まるな,解き放て.

2014年5月
舟波 真一

第1章 臨床家としての存在意義
第2章 統合的運動生成概念とは?
 1. 運動連鎖の歴史
 2. 地球という環境下における力学的法則
 3. 中枢神経系は環境からの情報をどうやって受け取るのか?
 4. バイオメカニクスと神経科学の融合
 5. 統合的運動生成概念図
第3章 姿勢・運動の力学的課題
 1. COGとCOP
  1)力のベクトルに関する決まり事
  2)COGとは?
  3)COPとは?
  4)運動生成とCOG・COP
 2. 静止と運動
  1)生命の基本は停滞せずに振動することである
  2)振動から振動へと紡がれる
  3)安定性限界とバランス
  4)停滞と運動
 3. 慣性力とPower
  1)慣性力が円滑な運動生成を実現
  2)加速度は力である
  3)慣性力とパワートランスファー
  4)慣性力生成のために
 4. ASIMOに学ぶ
 5. 角運動量保存則とは
第4章 人体の連続性からみた運動生成
 1. 骨連鎖
 2. 運動器の連続性
 3. 層間の滑り
第5章 神経科学の観点からみた運動生成
 1. 制御と自己組織化
 2. synergy
第6章  これだけは押さえておきたい!神経科学
 1. ニューロンネットワーク
 2. 細胞・生体膜
 3. 大脳皮質
 4. 中脳
 5. 脳幹
 6. 脊髄(α motor-neuron,intelligent terminal)
 7. 運動下行路
 8. 感覚上行路
第7章 先行随伴性姿勢調節(APA)の本質
 1. APAとCOPの関係性
 2. FeedforwardとFeedback
 3. コアスタビリティとは?
 4. APA減衰要件
 5. APA setting
 コラム:並進バランステストの臨床的意義と信頼性
  1.体幹機能に対する評価
  2.並進バランステストの臨床的意義
  3.並進バランステストの信頼性
第8章 人という構造体の性質
 1. 組織の性質
  1)硬度
  2)弾性
  3)粘性
  4)骨格筋における弾性と粘性の特性
 2. 並列弾性要素と直列弾性要素
  1)直列弾性要素
  2)並列弾性要素
  3)細胞外基質(細胞外マトリックス)
第9章  内なるパワー?!ポテンシャルエネルギー
 1. 衝撃緩衝
  1)遠心性収縮による衝撃緩衝
  2)弾性を用いた衝撃緩衝
  3)コアスタビリティによる衝撃緩衝
 2. ポテンシャルエネルギー
  1)歩行におけるポテンシャルエネルギー
 3. 力が身体内に保存?
 4. 関節液の対流
第10章 人の骨格がすでに運動を規定?!
 1. 塊にみえるところの重要性
 2. 受動歩行
 3. 動作における曲線的配列と可動要求の高まり
 コラム:感覚入力とリーチ距離
  1. 骨盤からの感覚入力はリーチ距離増大に貢献する
  2. 骨盤帯への揺すり運動によって,なぜ側方リーチが増大したのであろうか?
  3. 臨床で用いるときには?
第11章 歩きのメカニズム
 1. 歩行の神経科学
  1)歩行の随意性と自律性
  2)脳幹歩行中枢
  3)歩行運動の生成にかかわる神経機構
 2. 脊髄固有ニューロン
 3. CPGとは?
  1)脊髄にある歩行中枢システム
  2)4足動物にはCPGが存在する!
  3)人間の脊髄にCPGが存在するか?
  4)CPGを賦活するための求心性入力
 4. ロッカーファンクション
  1)ロッカーファンクションとは
  2)ヒールロッカー
  3)アンクルロッカー
  4)フォアフットロッカー
  5)トウロッカー
第12章 「センスがない」なんて言うな!
Senseは磨くもの
 1. 感覚入力位置特異性
  1)足底の感覚入力位置特異性
  2)治療に活かしていくためには?
  3)触り方は重要
 2. 情報伝達手段:イオン機構と液性機構
 3. 末梢神経と運動生成
  1)末梢神経と中枢神経との連続性
  2)末梢神経の構造と運動
  3)末梢神経の異常そして運動への影響
  4)末梢神経症状の評価
  5)末梢神経性疼痛の治療例
 4. 身体図式(body schema)・身体イメージ(body image)
  1)身体図式(body schema)
  2)身体イメージ(body image)
 5. 身体心理学
第13章 運動学習
 1. 臨床における運動学習の難しさ
 2. 運動学習とは?―諸理論と背景―
  1)スキーマ理論
  2)ダイナミカル・システムズ理論
 3. 運動学習の分子レベル構造と戦略
  1)Hebb則
  2)長期増強
  3)運動学習戦略
 4. 症例を通して運動学習を考える
 5. 動作の階層化とアウェアネス(気づき)
  1)動作の階層化
  2)アウェアネス(気づき)
 6. 統合的運動生成概念においての考察
 7. 運動学習と行為
  コラム:単関節筋と二関節筋
第14章 Global Entrainment
 1. 生体は環境の不確定性にどう対応しているか?
 2. 神経振動子
 3. 引き込み現象
 4. グローバル・エントレインメント(global entrainment:大域的引き込み)
第15章 螺旋性の法則
  コラム:相同性と感覚入力
第16章 BiNI Approach
 1. 基本理論(BiNI Theory)
 2. 原理と基本手順
  1)固定部位と過剰運動部位
  2)BiNI Approachの原則的手順
  3)BiNI Approachの原理(原則)
3. アプローチの実際
 A. 骨関節疾患編
  1)症例紹介
  2)アプローチの実際
 B. 脳卒中編
  1)症例紹介
  2)アプローチの実際
  コラム:Activity からみた並進バランステストの有用性
 1.「人は心と意思に賦活されて両手を使うとき,それによって自身を健康にする
   ことができる」(Reilly, 1962)
 2. Activity は力学的法則に則り,人体構造と神経・環境との相互関係により
   発現する
 3. 並進バランステスト:体幹機能と上肢機能・姿勢調節の調和を示し,
   協調的に働いているか否かを示す検査?
第17章 BiNI COMPLEX JAPAN
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